晴耕雨読とか

本読んだり、いきものを見たり。でも、ほんとうは、ずっと仕事してます。

ソロー

2008年01月25日 | 
ソローといえば『森の生活』。読んだ覚えはあるけれど、中身は全然覚えていない。

今読んでいるのは『メインの森』(冬樹社)。

ソローが1800年代後半にアメリカ・メイン州の原生林をゆく話だ。ホワイトパインの森。当時は完全な原生林で、川の遡りながら奥地へと入っていく。

デジャブだ。こういう本はいくつも読んでいる。

川沿いに断片的に現れる人の痕跡。伐採人、畑、森の雑貨屋……。
ひたひたと感じる破壊の気配。

第二次世界大戦中のボルネオのキナバタンガン川流域。遡るのは日本人。
70年代のサラワク。スマトラサイを探すイギリス人。
90年代アフリカのンドキ。森をゆくのは霊長類学者。

時代も場所も超え、つねに繰り返し、拡大し、増殖する伐採跡。
悪だとは言わない。いや、言えない。本を読み、そのころの森を思うだけだ。

わたしがメイン州の森を歩いたのは、もう20年も前。
ホワイトパインの森は続いていたが、二次林なのか、木々は細く、『メインの森』の面影はもうなかった。森の中でひたすら警戒音を発するアカリスに会ったことを覚えている。

もう目を閉じ、想像するしかない。
巨樹の森、野生動物の気配、濃密な空気。
ああ、森は今どこにあるのだ。

水槽のカオス

2008年01月23日 | 生き物
今年も、、、というかたぶん去年の話だとは思うのですが、うちの水槽のシマドジョウ夫婦がまた繁殖していました。

管理不足でコケだらけの水槽で、1cmぐらいのちびが2匹。

たしか以前もちびが何匹かちょろちょろしていて、結局、いつのまにかいなくなって。死んじゃったのか、同居のモツゴが食べたのか……。今度の子たちはどうなるだろう?

淡水魚に詳しい人に聞いたら、そんなにシマドジョウは簡単には繁殖しないとこと。しかも、多摩川産のシマドジョウは今後、亜種だが別種だかになる可能性もあって、撮影するから送ってくれ、、、といわれたり。

しかし、水槽はカオスですね。貝たちはどこからやってくるのだろう? 卵にも2パターンぐらいあって、なんか2種類ぐらいはいるみたいだし、たまにカワコザラ(半透明の小さな貝)が増えていたり、ヒドラが目立ったり……。ま、買ってくる水草についてきたのは間違いないですが。

飽きないけど愛もない、というか管理が苦手(愛はあるはず、、、と自分に言い聞かせるわたし)。掃除しなくっちゃ。

シマドジョウのちびたちも大きくならないかなあ。何か特別に手を入れるつもりはないけれど……。

鳥の羽

2008年01月19日 | 生き物
寒空に羽毛が舞っていた。立ち止まって、ゆるやかに動く羽毛を見上げる。

ふと足元を目をやると、鳥の翼が落ちていた。スズメのようだ。

交通事故かカラスにやられたか、あるいはチョウゲンボウか、いずれにせよ翼が片方落ちていた。

おっかなびっくり風切り羽を何本か抜き取る。一見地味に見える鳥の羽根も、見えない部分に意外な模様があって、その繊細さと美しさに驚く。

そういえば、年末には近所でトラツグミの死体を拾って、やはり何本かの羽根をいただいた(死体は家の花壇に埋めました)。そのときも、部位によって一枚一枚いろいろ模様の違いがあって、双眼鏡で眺めているだけではわからない美しさがあった。

死体という、ある意味では悲しい出会いではあるけれど、新しい発見のある出会いでもあった。

カワラヒワとシメ

2008年01月17日 | 生き物
成人の日に、双眼鏡をぶら下げて近所の雑木林を歩く。

草原状になった斜面でカワラヒワの群れを発見。40、50羽ほどが地面をなにやらあさっている。近づくと一斉にぱっと飛び上がり、羽の黄色がきらきらとに目に飛び込んでくる。なかなかきれいだ。

よくよく見ると、周りにはシメ、シジュウカラ、ツグミ、キジバトがいた。みんな同じものを食べているのだろうか。合わせて、70、80羽の鳥たちが、コソコソ音を立てて落ち葉をめくっていて、なかなか壮観な感じ。

最近、今更ながら近所でバードウォッチングをするようになって、シメが意外とふつうにいることを発見。『とりぱん』(講談社)に出てくるあのシメがこんなに見れるとは……。あと、ぽんちゃんことアオゲラも。

小鳥を見るのは心が和むな~。ヒレンジャクとか見てみたい今日この頃。

『THE DEEP』

2008年01月14日 | 
深海生物の大型写真図鑑『THE DEEP』(The University of Chicago Press)を購入。

もう、とんでもない本で最高! これまでの日本語の本なんかはまったく問題外。
とにかく写真の質が高く、印刷も良い。なにより、見たことのない生き物がいっぱい! 一応、手に入る深海生物の本はいろいろ持っているので(少なくとも日本語の本は)、ある程度いろいろ見ているはずなのに、この本は開くたびにめくるめく深海生物の世界が!

タコがすごい、タコが。コウモリダコとか、なんかもっといろいろいるみたい。
Dumbo octpus とか。ダンボタコ? めちゃくちゃかわいいです。

著者はフランスの女性ジャーナリストで映像ディレクターでもあるClaire Nouvian氏。『CREATURES OF THI DEEP』(FIREFLY)のエリック・ホイト(この人の本はオルカの本が日本訳になってます)もジャーナリスト執筆でしたね。この本はテキストが多い本だったけど……。この手の本は、執筆は学者じゃなくて、ジェーナリスとの領域なんでしょうか? 日本の『深海生物ファイル』(ネコ・パブリッシング)もそうでしたね。

しかし、わがJAMSTEC(海洋研究開発機構)の画像が1枚しか入っていないのは、どうしてだろう? コラムで、藤岡換太郎、ドゥーグル・J・リンズィーのJAMSTECの両氏が執筆されていますが……。

ま、そんなことはさておき、とにかくお薦めの1冊です。

ムナーリ

2008年01月08日 | 
さっき本屋で『芸術新潮』(新潮社)の1月号を立ち読み。特集は「ブルーノ・ムナーリ入門」。ほんとうにいろいろな分野のデザインで活躍した人なんだな。

で、家に帰って、年末、妻の誕生日に買ったブルーノ・ムナーリの『木をかこう』(至光社/須賀敦子)を改めて見直す。

須賀敦子訳というのもびっくりだけど、やっぱり中身がいい。この人が単純なイラストレーターとかデザイナーではないことがよく分かる。よく木を見ている。枝の伸び方、風や雪といった環境での木の動き……。タイトル通り、この本でどんな木も描けるし、逆に野外で実際に木を見たときに、その木の生きてきた過程も想像できるかも。

優れたアーティストは、優れたナチュラリストでもあるのかな。





コリン・フレッチャー

2008年01月05日 | 
正月は3日から今日まで霧ヶ峰に滞在。鷲ヶ峰ひゅってのおいしい食事を堪能し、天気の良い霧ヶ峰の自然を満喫。

で、鷲ヶ峰ひゅってで実家から持って帰ってきた『時を超えた旅人』(コリン・フレッチャー/冬樹社)を読了。

『遊歩大全』で有名な人だが、本書は2ヶ月をかけてグランドキャニオンを歩いて横断する話だ。

彼は、この旅がいかに自分の自然観に、精神性に影響を与えたかが、しきりに語るのが少々鼻にはつくが、それでも歩く旅の話としてはおもしろい。

石清水や雨が岩のくぼみに溜まったものをたよりに、ずっとずっと歩き続ける…。まぁ、飛行機による補給を受けたりもするのだが、それでも2ヶ月間も歩き続けるのだからすごい。

装備は全部で30キロ弱。歩いたのは1963年。装備は今よりもいろいろ重いはずだが、彼はカメラはおろか、双眼鏡とか鉱物観察用のルーペだとかを持っていくのだから恐れ入る。

本書によるとグランドキャニオンは700万年をかけてできたという。場所によっては10億年以上前の地層が見られるという。

つまり、グランドキャニオンを降りていく旅は、時代をゆっくりと降りていくことと同義であり(川はもっともっとゆっくり大地を削るが)、人類や地球の歴史を遡ることになるのだ。

コリン・フレッチャーは旅の前から、そのことをかなり意識して、道中、一所懸命、その意味を捉えようとこころみるわけだ。それが多少“鼻につく”ことが否めないのだが、成し遂げたことを考えると、それはやはり心して読むべきなのだろう。