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ADD?傾向のある塾教師がADHDやアスペルガー症候群の子にどうかかわり教えたらいいのか模索していくブログです。

学校環境に適応できない子…昔はどんな職業に就いていたの?

2008-08-31 15:28:26 | 教育論
少し古い本になりますが、「無気力症」井上敏明 (朱鷺書房)
という神戸税関長賞を受賞した心理カウンセラーの先生の著書の中で興味深い話を
見つけました。


『生徒指導』(学業出版)という月刊雑誌(昭和五十二年四月号)の中で
下村哲夫氏が、教え子の二十年後を追跡調査した、
かつて三重県にある村立小学校に奉職しておられた篠塚安久教諭の
発表内容を、こう書いておられる。

「小学校を卒業してから20年、幸い子供たちはひとりも
欠けることなく、すでに33歳を迎え、
社会の中堅として活躍している。
驚いたことに、いわゆる社会的成功を収めていたのは、
篠塚安久教諭がひそかに期待されたであろうような学校秀才ではなかった。
農業・工業などの独立経営者が23人(67.6パーセント)を
占めていたが、
小なりとも社長と呼ばれていた5人は、
いずれも学力5段階評定が2と3の者ばかりであった。

分数はむろん、四則計算すら満足にできなかったK男は、
十数人の行員を使う鉄工所を経営し、設計、見積もりから施工までを
こなしている。
学力評定が一で、九九がどうしてもいえず、どもりで気が弱く、
教師の前では口もきけなかった男は、
洋服屋にでっち奉公に入り、
現在では服地問屋の敏捷な販売部長である。

それにひきかえ、学力評定の高かった者は、もちろん
それなりに努力はしたのだろうが、少なくとも
20年後の現在ではあまりはかばかしい成功をしるしていない。
本人も教師も適職と認めた職業を選んだにもかかわらず、
その後の転職が多く、
学力評定 5の者の平均収入は9.3万円で、
学力評定 3の者の平均収入 20.4万円の半ばにも満たない

この結果…!!
やっぱり昔…今から、30年近く前の世の中では、
学校での成績に関わらず、
だれもが働くチャンスがあり、そこでがんばっていく道が開かれていたんですね。
もちろん就職差別や貧富の差は今以上に厳しい時代なのでしょうが…。

こうした話を読むと、
学校時代に成績がどんなに悪い子も、
一生をかけて成長し続け、自分の能力を開花していくことが
可能なことがよくわかります。
ただ、現代の社会は、
スタート地点で人をふるいにかけて、
最初から努力すらできないシステムになっていることが、とても残念です。
社会が少しずつ良い方向に向かっていくことを願っています
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