夜中 雨音で目が覚めた うたごえがあった日は 脳が喜びで興奮しているのだろう
いつかは私もピアノを弾けなくなる 身体が動かない いろいろのケースが浮かぶ
その時 私の表の人生は終焉 あとは 無限の闇にただ生きているだけかもしれない

コロナ以前 私は依頼があれば 休日が無くなっても 施設へ訪問に行った
音楽が 歌が どんな状況でも ヒトの脳に 遺伝子として残っている筈と思う
太古の昔でも 人々は手を打ち 踊り 太鼓を鳴らしたり叫んだり 音楽の起源かも
音楽療法という言葉があるように 認知症でも 病にあっても 音楽はきっと役に立つ
軽度の認知症は回復もあれば 少なくとも進行を抑える効果は 医学的にも証明される
うたごえの活動 添乗員の合間に 介護施設の音楽訪問 数々訪れ実際に確かめてきた
重度の認知症が殆どの施設が記憶に残る 添乗の終わりに若い女性から依頼された
ディのクラスは ただ施設に預けている 寝る 会話もない スタッフは食事介助だけ
最初は戸惑った 何をしたら心に響くのか 他のボランティアも全く来ない
まずは ただ懐メロ 童謡などを弾いて聴いてもらう だがテーブルは向きが様々
お願いして 私の時間は 全員私に対面するようにして貰った まず目を合わすこと
祈るような気持ちで 皆さんの眼を見ながら弾く そのうち 語りかけるようにした
いつか 歌える方も出てきた 懐かしいわねと聞こえてくる 嬉しかったなぁ
一つのメロディを思い起こせば 芋づるのように 失っていた記憶が断片的に出る方も
怖いくらいの眼付きの方が 柔和になってくるのを覚えた 手を合わす方も居る
反応が無いから 他のボランティアは避ける 拍手や喜ぶ顔が見たい
数年 通い続けていたら スタッフの動きも私に合わせ 時には嬉しい報告もある
一番疲れる施設だが 挫折することなく通えた コロナで全施設が外部と遮断になった

小さな施設 ここは数名のディ 時間で送迎するだけ テレビを見たり 寝るだけの方
やはり認知症の方か 2.3人は歌える方が居て 昔の歌を歌う
ある女性 終わるとすぐに帰りたがる まだ指定時間ではない
何を急いでいるのと私が聞く 主人が帰ってくる時間なの あゝ仕事ね
仲の良いご夫婦 そう私が言う 後でスタッフ曰く あの方のご主人 数年前に天国よ
もう一人の90代の女性 いつも奥のベッドで寝た切り 起きたことはないという
こちらの歌は多分聞こえていたはず ある時 ベッドのそばへ行き 私が語り掛けた
知っている歌は無かったかい? 時には起きて参加しない? と 手を差し伸べた
なんと私の手を握る わっ嬉しいね あったかい手だねと握り返す 両手で包む
次に訪れた時に スタッフが先生来たわよ~ し声をかける
私もそばへ行くと なんと立ち上がってよろめく 私が抱きしめる ハグだよね
みんなのテーブルまで私が介助して座らせる 嬉しそうだった 歌は歌わないで聴く
後日談 家族が嬉しい報告をされたそうだ それ以来 彼女は元気になって散歩もする
そうかぁ ハラスメントなんと言わないでほしい ハグも彼女にとって幸せな時だった
今は介護施設は どこへも行かない 皆さん どうしているのだろう
家の近くの介護施設へは 唯一 踊りのグループと組んで通い続けた
踊りの時間掛け終わると 私のキーボードで歌の時間 歌詞は模造紙に書いた
その模造紙を踊りのグループの方が 率先して貼り付けてくれた
コロナが終わって 一昨年 その方と街で会った 久しぶりと声をかけた
帰ってきた言葉が どなたさまでしょうか 完全に忘れられているのだ
あれほど一緒に活動した仲間 私の誕生日会までしてくれた方
グループのまとめ役の方にも昨年会った あれ以来活動していないの
亡くなってしまったり ボケてしまったり バラバラ 寂しいわと言っていた
認知症 これだけはなりたくない 人間の尊厳まで失ってしまう
多分 私がうたごえを辞めたなら 私はボケ街道まっしぐらかもしれない
昨日もうたごえ 私は皆さんに支えられている 皆さんもうたごえを楽しみにされる
お互いに 歌で元気に そして仲間意識も強められ ともに生きているんだと思う
リクエスト曲
雨降り 灯台守 早春賦 線路は続くよ すずかけの径 東京キッド 絶唱
蛙の笛 かわいいさかなやさん 故郷を離るる歌 森のくまさん 惜別の歌
なみだ恋 ともしび 青い山脈 遠き山に日は落ちて 青春時代 瀬戸の花嫁
銭形平次 世界はふたりの為に 遠くへ行きたい 戦友 五番街のマリーへ
人生の並木道 山のけむり ここに幸あり この広い野原いつぱい 好きだった
砂山(山田耕作) レッツ・キッス
ブロ友 りらさんの歌声で 聴いてください
五番街のマリーへ (高橋真理子カバー)
灯台守 cover rira77 + オカリナ べる