武 順子(Take Junko) ひとり語りのひとりごと

わがままな朗読家の我がままなひとりごと。「縁側の猫を枕に日向ぼこ」…猫が好き。詩を書く人でもあります。

出会いと別れ

2007年03月29日 14時19分55秒 | Weblog
桜が咲いた。
日々、桜の木の色が変化するこの時期、風や陽射しが気になってしようがない。

遠くから眺める桜は美しいが、枝を目元に引き寄せて、蕾に話しかけてみるのも、楽しいものです。
じっと、聞いていてくれます。

ずうっと、昔のこと、とても不器用な友達がいました。私はその友達が、いとおしくって、いとおしくってね。
不器用なのに、よくしゃべる。夢を語る。
私は彼女の話を聞くのが大好きで、いつも、いつも、聞いていた…

桜の蕾に話しかけながら、ふと考えた。
この桜のように、うん、うん、と聞いてあげられればよかったのになあ。

話を聞きながら、ゆらゆらと揺れていたかったなあ。

もう二度と、あの優しい声を聞くことはできない。

今度は、あなたに聞いてもらう。
桜になった、あなたに、聞いてもらう番です。
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空の はなし

2007年03月14日 21時48分40秒 | Weblog
空が好きである。
広い空をぼおっと眺めているだけで、雲の流れを追っているだけで、心が洗われるような気がする。
さっきまで、くよくよとしていた思いが、するするっと、ほどけていく。理屈なし、大好きである。

子ども達を駅まで送り迎えするようになって、まる10年である。冬になると、朝焼けを見ることが出来る。これが嬉しい。この時ばかりは、ああ、ここに住んでいてよかったとしみじみ思う。年に何度か、空も山も街も、全てがオレンジ色に染まる瞬間がある。東に向かって走る車の中で、子どもとともに、きれいだ!と歓声を上げる。
後ろを振り返ると、西の山々も、赤く染まっている。
同じ時間に見える空の色で、四季を感じる。
そんなこと、覚えているだろうか、、子ども達は。3人分の送り迎えをしたとしたら、彼らの3倍、空を楽しんでいる。幸せな母だ。

家の中の、リビングの窓から、夕陽が見える。
窓の外には畑が広がり、その向こうに隣家の蔵が見える。
蔵の向こう側が、真っ赤に燃える。
色合いは、刻々と変化する。瞬きをするのも惜しいくらい。
部屋の明かりを、つけたくない時もある。

雨や雪が降る。車のガラス越しに、上を見る。
降ってくる降ってくる!空から落っこちてくることを、再確認する。

雪が降りそうだって、誰かが言っていた。
少しの雪だったら、傘をささずに、外へ出て、空を見てみて。
まるで空を飛んでる気分になれるよ。
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息子の結婚 その2

2007年03月07日 18時50分46秒 | Weblog
先日夜、両家揃っての顔合わせ食事会をした。

そんな日に限って…昼間掃除をしているときに、大きな紙袋を見つけた。なんだろうと開けてみると、中には、子ども達のお宮参りから七五三の写真が。どれも写真スタジオで撮った、立派な写真である。

ついつい見入ってしまった。そして、新しい生活を始める息子を思い遣り、ぐっと、こみ上げてきた。

末の子が7歳の時、息子は反抗期の真っ最中であった。気だるそうな顔つきの息子と、疲れ切っている私の顔。この頃は、ストレスで、最も太っていた。家族が、皆、素直な表情にはなっていない。
よくぞ切り抜けて、ここまで来た。

う~ん、言葉がない。

がんばれよ、と、祈るだけだ。
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毎月、ひとり語りを…

2007年03月06日 23時55分04秒 | Weblog
結―yui―というギャラリー喫茶が、地元にあります。とても素敵な喫茶店です。集まる人たちも、何故か素敵なの。

ここで、毎月第4水曜日午前11時から、ひとり語りをすることになりました。
しばらくのあいだ、宮沢賢治を、読みます。

コーヒーを飲みながら、素敵な中庭を眺めながら、聞いていただけたら。
ただただ、ぼわんとした時間を過ごしてください。

私の声が、賢治の物語が、すうっと、あなたの中に入って行くことができたら、うれしいな。

まずは、3月28日(水)11時から。飲み物付きで千円です。
小さいお店なので、予約をしてくださいね。
演目は、まだ決定ではありませんが、『よだかの星』『やまなし』を読もうかな、と思っています。

春休みでお忙しくても、来月があるさ!

いつか、聞きにきてね。
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弥生! だから?

2007年03月03日 22時31分44秒 | Weblog
今週は、2回も、語ってしまいました。
あっちとこっちで。

1週間に2回語るのは、ちょっとキツイかもしれない。
いつも週一のペースを守ってきました。
それ以上になると、精神的にもたなくなります。

そんなに弱いことじゃあ、だめでしょ!と叱られそうですが、心も体も、忙しさに振り回されてしまって、ボロボロになります。たっぷり充電しないと、次へ進めないのです。
不器用で…。

東京まで、稽古に通っています。
まだまだ、稽古をつけてもらう時間が楽しくて、学ぶことが楽しくて、師匠の話を聞くのが楽しくて、通っています。語りの稽古は、うまく語る方法を学ぶのではなく、物語をなぞっていく作業です。たとえば、登場人物が、怒りをあらわにする。私なら、あなたなら、その時どうするか。怒りの対象は、本当に相手なのだろうか。どこに向けた怒りなのだろうか。そもそもこの怒りは、本当に怒りなのだろうか。どんどん、泥沼にはまっていきます。でも、この作業があるから、おもしろい。また、底の知れない泥沼を持つ作品に興味を引かれます。

夏に向けての、近松門左衛門の稽古に入りました。
『冥途の飛脚』新口村の段。ちりばめられた地名をたどって、大阪の天満宮から奈良の橿原神宮近くの新口村まで、歩いてみたいものだと考えていましたが、春になってしまいました。来年の冬、雪が降る頃に、訪れてみたいと計画しております。
実は、原作は、雨の中の親子の再会なのですが、義太夫や歌舞伎では(映画も!)、演出都合のためか、雪になっています。
雪は、美しいが、原作どおり冷たい雨の中のドラマが、切なく悲しさを誘うのになあ、と、マイナーなことを考えてしまいます。
って、内容をご存知の方なんて、いないものねえ。
このへんで!
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