S.Boy blog

いかに生きるか いかに撮るか

淡路の踏切にて

2010-10-23 | 線路沿いのスケッチ
 阪急京都線の淡路駅高架工事が始まったと聞いたので、高架になるまえの駅周辺風景を撮ろうと現地へ出向いたのは夏の終わり。高架の柱が1本、今後の覚悟を示しているかのように建っている以外はほとんど進んでいない。完成には10年以上かかるだろう。安心して踏切界隈を撮っていたら、自転車に乗ったおっちゃんに声をかけられた。

「阪急電車撮ってるんか?」と聞かれたので
「いや、どちらかというと電車そのものより、高架になる前に踏切や街の様子を撮っておこうと思いまして」
「そやな、あのアングルは電車撮ってるんじゃないわな」
 私の撮影アングルを見てるとは、この方も写真好きなのだろうか。

「写真撮られるんですか?」と聞いてみたが
「いや、そんな撮らん。アンタは街撮ってるんか? ああ、電車が走る風景撮ってるんか。なるほどな。だいたい電車撮ってる人は、アンタみたいなしゃべりおらんしな。ワシか?ワシはすぐそこに住んでるや。立ち退き対象になってるんや。引越はまだまだ先や。こんなもん、いつできるかわからんし。そや、アンタ。電車も好きなんやろ。実はワシも好きや。酒井順子って知ってるか? あの人乗り鉄やねんで旅のエッセイたくさん書いてるんや。図書館行って読むねん。ええぞ。アンタも図書館行って読んでみ」

 おっちゃんの喋りは止まらず、すっかり暮れてしまったのであった。