S.Boy blog

いかに生きるか いかに撮るか

眼から血

2010-10-04 | アマチュア写真家論
昔繊維の営業をやっていた頃、とある商社のデザイナーさんのところに売り込みでよく通った。
サラリーマンと思えない風貌のデザイナー氏・M課長は、おそらく契約社員だったのだろうけど、この人のデザインは社内で拒否されることはなかったと思われる。アパレルのデザインに対する情熱も腕も確かにすごかった。商売の面でもかなりお世話になったそのM課長に、商談のなかで尋ねたことがある。
「デザインの仕事は好きですか」
「そりゃ好きですよ。昔からデザイナーになりたくて、ほんでこの仕事してなんとかやってますしね。」
「ここにたどり着くまで、どんな苦労されたんでしょうか。」
「好きなことやってるから苦労じゃないんだけど、でもね、デザインの学校通っている頃や新米の頃は寝ずに必死で絵かいてましたよ。それこそ、眼から血がでるくらいにね。」
このM課長のことばは今でも強烈に自分の中に突き刺さっている。そうか、夢を実現させるには眼から血が出るくらいやらないとだめなのか。雑談のなかで、もうひとつ印象に残っていることば。
「イノウエさんも、サラリーマンやめて『そっち』の道に行った方がいいんじゃない」
それが、繊維の世界が将来ますます厳しいからという意味からの言葉か、あんたサラリーマンに向いていなよという印象を率直に表現されたのか、真意はわからない。