native dimensions blog

新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

計画的な換気のはなし。

2016-01-15 00:12:09 | 温熱環境
前回は、過剰な水蒸気は計画的な換気で排出することができるまで話しました。

今日は計画的な換気を実現するためのお話です。

まず、よく聞かされるのが、気密をよくし過ぎちゃうから化学物質過敏症とかいう現代病が起きてしまうんじゃないのか。
気密がよすぎると息苦しくて、部屋がこもって気持ち悪い、とか。

だから、ある程度のすきまがあった方が常に空気が流れて気持ちがいい。
ちゃんと通風すれば化学物質過敏症なんて起きないし、風通しが良くて気持ちいい、とか。

ちょう、それっぽく聞こえます。

つまり、こんな感じ。

適度な隙間だったり、窓さえ開ければ自由に風が通り抜けて換気ができることを想像します。

ところが、

皆さん、すっご--------く寒い時に窓開けますか?

開けてる場合じゃないですよね。
通風は換気を兼ねていますが、通風でしか換気できないのは問題ありですよね。

そして、適度な隙間があった場合、こんなに空気は通り抜けるんでしょうか。
空調用語とかに「ショートサーキット」という言葉があります。
直訳すると短い循環。

適度な隙間がある場合、その隙間から入った空気はすぐ近くの隙間から再び外に出ていくなんて事もあり得ます。
隙間から入った空気が室内をきれいに循環して出ていくなんて、誰かその光景見ました?

要はこんな状態。

出たり入ったりする割に室内が適切に換気されない状態が起こります。
確かにこんな状態が続けば、数時間に1回窓を開けて空気を入れ替えたくなります。

逆に言えば空気が入れ替わっていない実感があるから窓を開けたくなるんじゃないでしょうか。

だから、
建物の気密をきちんととって、空気の入り口と出口を明確にしてあげるんです。
入口と出口が遠くなるように。


これが計画的な換気です。

もちろんこの技術はすっご--------く寒くて窓を開けたくない時に空気がちゃんと入れ替わる様にするための技術でもあります。
温度や湿度がちょうどいい季節には普通に窓を開けて通風を楽しんでも、全然かまいません。

むしろ、そうした方がいいと思います。

といった感じで今日はここまで。

適切な換気とは建物の気密を良くすることで実現できます。まで。

次回、まとめです。



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