昨年改正された省エネルギー基準(以下、改正省エネ基準)。
2020年にはすべての建物に対して、この省エネルギー基準をクリアすることが義務付けられる予定です。
あと6年あると言えばある。もう6年しかないと言えばない。
この省エネルギー基準。まぁまぁ時間のかかる計算です。
計算自体は簡単なんですけど、とにかく細かくて繰り返し作業が多いので気持ちが折れるか折れないかの勝負になります。
慣れれば大したことないんですけどね。しかし、慣れると怖いのが、省エネ基準をクリアすることが目的になってしまって、いかに快適に過ごせるかの検討がおろそかになってしまう事。
つまり、基準をクリアしているんだから、快適な家になっているんだと盲目的に思ってしまう事。
先日、今年度分の住宅のゼロエネルギー化推進事業の公募が締め切られました。
昨年までは旧省エネルギー基準(以下、次世代基準)での公募でしたが、今年は改正省エネの公募に切り替わり(次世代基準でも公募可)、これが工務店さんの大誤算を生むことになります。
「昨年までクリアできていた基準が、今年はどうにもこうにもクリアできない」
実は昨年まではエネルギーの消費量を計算する時、住宅の延べ床面積を参考に算出されていましたが、今年からはLDKや個室、廊下など面積を細かく分類して、エネルギーを消費しやすい部屋が大きければそれが反映される仕組みになりました。
つまりLDKが広いほどエネルギーの使用量が増える結果となり、今まで通りのソーラーパネルを乗せてもエネルギー消費量を回収できない仕組みになってしまいました。
そこでの対応策が。
1.屋根からこぼれそうなほどソーラーパネルを乗せる。→約100万円から数百万円のアップ。
2.とにかく断熱材を厚くする。とにかくサッシの性能を上げる。→100万円以上アップの見込み。
もう大騒ぎ。
目標が高い、去年よりもレベルが高いという先入観が仕様や性能を上げようという考えになってしまいます。
性能を上げることは大切です。元々お粗末なサッシが当たり前に売られている日本ですから、サッシのグレードアップは必須とも言えます。
しかし、本当にその広さが必要ですかという問いかけが先じゃないでしょうか。
手間をかけて面積を減らせば、人件費が増えているのに請負金額が減るので、請負者からの提案はしにくいですね。発注者も面積を減らそうなんて夢にも思わないでしょう。
でもお金をかけずに、むしろ減らしながら基準をクリアさせる方法があるんです。
基準をクリアする家を作りたいんじゃなくて、快適に過ごせる家を作りたいと考えればアイディアはいろいろ出てきます。
そういったお付き合いをさせていただいています。
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