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新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

四季がある場所

2020-09-02 19:30:49 | 建物探訪
今日は重川社長のお声がけで住学メンバーと角田の妙光寺さんの見学に行ってきました。
いや、今は重川先生ですね。
この緑が似合う方。

きっかけは県産材をもっと見直していこうという動きの中で、まずは木や瓦の使い方を学ぼうという流れから重川社長に企画していただきました。

これを嫌いな日本人はいないでしょう。
木と瓦と左官と。

重心が低く、ウチとソトの流れが緩くて、自然と調和した建物。

家族葬として、宿坊として、県外からのお墓参りの宿泊場所として利用されているそうです。

そして、今では当たり前になった家族葬。
それを日本でいち早く取り入れたのは、セレモニーホールではなく、実は妙光寺さん。

といっても、いわゆるセレモニーホールでのお葬式というのは「バブルの遺産」なだけで、
元に戻しただけというのが院首のお話。

セレモニーホールでのお葬式って、「お別れは盛大に」みたいな雰囲気がありますが、
そもそもお葬式って、看病に疲れた家族が、ほっと一息つきながら、ゆっくり体を休めながら亡くなられた方を見送る場所なんですって。

看病に疲れた体や泣き疲れた心に鞭打って盛大なお葬式を開くなんてナンセンスらしいです。

たしかに。

その体を休ませてくれるのが、木と瓦と左官と、そしてお庭。

改めて、建築の意義というのを感じることができました。

続いて築250年の客殿へ

そこに建った瞬間引き込まれる空気。

しかし、これは木造ではありません。

築250年の客殿を丸っと復元するのではなく、元の客殿を鉄骨で覆ってしまうという、ぶっとんだ発想の建物。
だから、建物の中にもう一つ建物がある様な造りになっていて、現代的でありながら、歴史が十分に感じることができました。
っていうか、逆にきれいに復元されていたら築250年と言われてもピンと来なかったかもしれない。
250年がそのまま残っているんです。



こんなモダンなノスタルジックを自宅から40分くらいの所で感じられるなんて。

最後に本堂を見学させていただきました。

敷地的には大きな本堂を建てるスペースがあるんだけど、客殿とのバランスを考えると本堂はコンパクトにするべきだと思ったそうです。

その代わりに本堂前に大きなウッドデッキを設けて、ウッドデッキも本堂の一部として表現することでコンパクトさを補ったのだとか。

インナー本堂とアウト本堂?
ファースト本堂とセカンド本堂?

ウチとソトの境がない本堂。

だから、普通お寺って観光地でもない限り、行事がないと閉まっていることが多いのだけれど、妙光寺さんはいつでも開きっ放しになっているとの事。

だから、檀家さん以外にもふらっと誰かが訪れてお参りするなり休んで行くのは大歓迎と言ってました。

ですよね。

お寺って敷居の高いところじゃなくて、拠り所的な場所であってもらいたいですよね。

皆さんも是非訪れてみてください。

緑と建物に癒されます。

すごく、もっと何かをしなければと思い立つ日にもなりました。


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