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吉村昭『漂流』

2009-01-09 | や・ら・わ行の作家
江戸・天明年間、シケに遭い、黒潮にのってしまった土佐ノ国(高知県)の

船乗りの長平は、仲間とともにある島にたどり着く。

そこは、水もなく、草木も生え育たぬ「死の島」だった。


さて感想。


めちゃくちゃ面白かったです!!!!!!

実話ってところが、またすごすぎる^^;


さまざまな試練。絶望が彼らの気力や体力を奪っていきます。

そして次々と仲間は死んでしまい、長平一人に…。

絶望的な孤独が彼を襲いますが、彼の持つ精神力のすごさを感じるのは

仲間を失ってからかもしれません。

孤独の中で生きることが、どれほど苛酷なことか!!!

錯乱してもおかしくないはず。

そんな中、おのれの境地を悟り、生きる覚悟を決めた彼の姿は

高僧のようで、神々しさを感じました。


長平の一つ一つの言葉が胸にきます。

彼こそ日本人の誇りとも言える人物ではないでしょうか。


その後、長平がどうなっていったのか…。

それは是非本を読んで、確かめていただきたいです^^ ★★★★★


さて、長平たちがたどりついた島は「鳥島」と言います。

江戸時代、鳥島に漂着した者はかなりの数にのぼりますが、水も食料も

ない火山島なので、帰還できたものはごく僅か、大半が死亡しています。

この「漂流」の記録された資料も、かなり少ないらしく、ほとんどが

吉村さんのフィクションによるものらしいのですが、登場人物たちに

人格があるのがすごいし、彼らの渇き、寒さ、疲労、恐怖、苛立ち、絶望

などが、リアルに読者に伝わってきます。

彼の作品には、著者の一切の感情がありません。

ただ淡々と、事実を語っているような錯覚におちいります。

本当に素晴らしい!!


ちなみにこの作品、映画になっているようです。

長平役は北大路欣也。今演じるならば小澤征悦あたりかな。

騙されたと思って是非読んでいただきたい作品です(^_^)


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