待ち合わせは本屋さんで

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萩原浩「なかよし小鳩組」

2006-06-30 | 荻原浩
この本「書店ポップ術」に載っていた。オススメということで読んでみました。
ダサい表紙 さらにぱっとしないタイトルと絵(失礼?)
もったいなーーーい。かなり面白いのに。

倒産寸前のユニバーサル広告社にヤクザ小鳩組のイメージ戦略の仕事が舞い込む。
担当になったアル中バツ一のコピーライター杉山。さらに別居中の娘まで転がり込むんできて...。

彼の作品って笑いの中にホロッとさせられる作品が多い。特に語りかける作風が胸をうつのだろう。

さっすが元コピーライターだけあってリアルです。「もっちロンドンパリ」の娘の早苗といい、ヤクザの河田といい、キャラがかなり魅力的。3章まではすごーくいいのですが、4章から「ありえーーん」と思ってしまうのですが、そこは小説。
差し引いても満足する作品です。電車の中で読んでたら笑いが出てきて大変でした。5点中4点

「明日の記憶」でおなじみの萩原浩作品。最近彼の作品がお気に入り。「神様からひと言」もなかなか良かった。

瀬尾まいこ「幸福な食卓」

2006-06-26 | 瀬尾まいこ
「強運の持ち主」(6/6の日記)で初めて瀬尾まいこさんを知った。
心地よい文体で、またこの作者の本が読みたいと思った。

「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」(小説冒頭)

自殺未遂をした父、家を出て一人で暮らす母、農業をしながらフラレ続ける兄
そして梅雨に悩む主人公。独特な文体で静かに語られる日常。

主人公の学生生活がリアルなのは作者が中学校の先生だからかなぁ。
家族、そして皆の中にある心の傷、やがてやってくるクリスマス・イブ。

最終章の手紙のシーンには涙腺崩壊。吉川英治文学新人賞受賞作。
オススメの一冊。←何の知識もなく読んで下さい。下手に内容とか
読むと感動が半減します。5点中3.9点

三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」

2006-06-26 | ま行の作家
私は夫のことを「主人」と呼ぶ人は苦手である。
そういう人とは話が合わない。この小説の中にそのことが出ている。
作者もきっとそうなんだろー。

三浦しをん 今一番注目の気鋭の作家である。

主人公 多田はまほろ市駅前で便利屋を営んでいる。
そこに高校時代の同級生 行天が転がり込んできて...。

まほろ市って東京の町田市のことなのですね。うんうん。なんだかリアル。
私 この作品ものすごーく期待していたからだと思うのですが...スミマセン。
私には合いませんでした。何故かは自分でも分からないけど、のめりこめ
なかった。現代が抱える問題とか織り交ぜられていて、軽いノリだけど
けっこう重かったです。5点中2.6点

東野圭吾「容疑者Xの献身」

2006-06-22 | 東野圭吾
天才物理学者の湯川と草薙刑事コンビ第3弾。作者いわく アルマーニにグラサンが似合う湯川のモデルは佐野四郎らしい。ちょっと違わないか...?

数字で「X」は変数を表すらしい。読み進めるうちにこれはどうなるの...あっという間に読んでしまいました。人はこれほど観察力というものがあるのか。それとも私がバカなのか。石神といい湯川といい頭脳明晰で敬服してしまいます。そして完璧なアリバイ。湯川はそれをどう解き明かすのでしょう。そしてその後の石神の行動は..。

でもこれを純愛と呼ぶのかなあ。なんかひっかかる。ちなみに第134回直木賞受賞作品です。この賞とった後からブックオフの東野圭吾の値段が跳ね上がり本が少なくなってしまいましたね。5点中3.6点

朴 美景「走れ!ヒョンジン」

2006-06-22 | は行の作家
読むほどに偉大な母の愛に目頭があつくなる。翻訳しているのは拉致でも知られる蓮池薫さんだ。韓国映画「マラソン」の原作でもある。

自閉症は人により症状が違うらしい。以前電車に乗っていた時、駅から乗り込んできた女の子が満員にもかからわず「座りたい」と駄々をこねて若い女の子から席を奪い取っていた。実はこれも自閉症の症状らしいという事に、この本を読んで初めて知った。

この本の主人公ヒョンジンは20才だが精神年齢は5才。自閉症でありながらマラソンやトライアスロンにも参加する鉄人なのだ。そのヒョンジンを育てた母は弱くなる自分の心を奮い立たせ、決して諦めず、問題を解決しようとする。

以前テレビで自閉症についてやっているのを見た。自閉症を持つ親たちは世間の偏見の中たくましく生きている。障害のある子は育てられる夫婦の元に選ばれてやってくると聞いたことがあるが、そんな中行く先を案じ、無理心中が多いのも現実だ。そんな人たちだけでなく全ての人に勇気や希望を与えてくれるのがこの作品。母の偉大な愛は素晴らしい。5点中3点

朱川湊人「かたみ歌」

2006-06-19 | さ行の作家
時代が変わり、はやる歌も変わる。けれど人が感じる幸せは昔も今も同じ。(本文より)

以前いろんな作家が書いた短編集を読んだ。少年たちが遠く離れた神社に願かけに行く話で、ものすごく良かった。涙がぽろぽろ出た。タイトルは忘れてしまったけど、作者は朱川湊人。「花まんま」で直木賞作家となったその人の作品と知った。

「かたみ歌」は30年以上前の東京の下町にあるアカシア商店街が舞台だ。現世では説明できない不思議な出来事が描かれている。

良かったです。かなりの「うるうる」もんでした。私は「ひかり猫」が、本好きの人なら「栞の恋」がツボにはまると思います。良かったらぜひ読んで下さーい。5点中4.3点

東野圭吾「変身」

2006-06-19 | 東野圭吾
平凡な青年・成瀬純一をある日突然、不慮の事故が襲った。そして彼の頭に世界初の脳移植手術が行われた。それまで画家を夢見て、優しい恋人を愛していた純一は、手術後徐々に性格が変わっていくのを、自分ではどうしょうもない。自己崩壊の恐怖に駆られた純一は自分に移植された悩の持主(ドナー)の正体を突き止める。
(Yahoo!ブックス書籍紹介より)

玉木宏が主演で映画化もされたこの作品。

メーカーのサービス工場に勤める小心者な彼が、手術をさかいに人格が変貌し、まわりの人たちは恐怖の目で彼を見るようになる。そんな彼を必死に支えようとするのが、彼女である葉村恵。彼女の日記には愛があふれていて、とてもせつないのだ。しかし彼女の祈りとはうらはらに、純一は変身していくのだ。かつてのドナーにむかって...。

純一はドナーについて調べ確信する。彼はドナーの亡霊に勝てるのか?彼女の愛は彼を救うことが出来るのか?人の死とは...。ラストは泣かせてくれます。今まで読んだ東野作品で一番好きかも。読んでいない人もったいない。オススメです。
5点中4.6点

新堂冬樹「黒い太陽」

2006-06-16 | さ行の作家
最近「夜王」や「嬢王」といった、夜の世界が描かれるテレビドラマが多い。
ここまで描かれると営業しづらいと夜の世界に言わせたこの作品。読んでみました。

純粋でまっすぐな青年の立花は、自分と父を捨て若い男と逃げた夜の世界で生きてきた母を憎んでいる。そんな世界を忌み嫌いながらも、彼は水を得た魚のように、夜の世界で自分が最も嫌う人間へと変貌していく。黒い太陽に向かって..。

ひゃードロドロしてまっせ。新堂作品では恋愛ものより、こうした闇の世界系の方がけっこう好きです。風俗もいっぱい種類があるのですねぇ。キャバクラが舞台のこの作品。読んでいると実際にキャバクラにいて、じーーっと見ている間に物語が展開しているのではと思うほどリアルです。あっという間に読んでしまいました。

実際食うか食われるかの世界。女は男の道具でしかない世界。テレビで見た夜の世界は美しく華やかだけど、男たちの嫉妬、女たちの妬みや嫉みがうごめいているんですね。立花は風俗王の藤堂に勝つことができるのか。あーでも最後が中途半端でちょっと残念。 5点中3.1点

奥田英朗「イン・ザ・プール」「ガール」

2006-06-16 | あ行の作家
「働く」というのは大変なことだ。「はた楽」だといいんだけど、たいがい「はたら苦」な訳で。いろんな人が会社にいるのでストレスも多い。お給料はきっと我慢料なんだろう。

まず「イン・ザ・プール」伊良部総合病院の色白デブ、注射フェチの変人精神科医 伊良部一郎。奇妙な患者たちを相手にビョーキを治すお話。彼はストレスないんだろうなぁ。近くにいて欲しくないけど、遠くから見てみたい。

かなり面白いーーー!!!笑わせていただきました。ただ後にあんまり残らないんだけど...。今まで読まなかったのは不覚です。5点中3.9点

続いて「ガール」30歳半ばが主人公。この年代って女のターニングポイントだと思う。転職も求人も35歳くらいまでだし、出産もリスクを考えるとちょうどいい頃だし。面白かったんだけど、やっぱり後に残らないねぇ。男性の思う女性の都合のいい終わり方って気をしたし。でも何で作者はこんなに女性のファッションに詳しいのか不思議だった。5点中2.8点

「あらしのよるに」 きむらゆういち 小学館

2006-06-12 | か行の作家
「あらしのよるに」レンタル店へ行くとDVDがレンタル開始になっていました。絵かなりかわいいっす。

このお話は羊のメイと狼のガブ 食うものと食われるもの 本来接点のない2匹があらしのよるに出会ってしまい、お互いの姿を見ないまま、また会う約束をする。2匹はお互い敵同士と知り相手を探りあうが、心優しい2匹は信じきれない自分を責める。天真爛漫なメイと小心者で心優しいガブ お互いは心を通わせ、真の友情を深めていく。しかしそんな2匹の秘密の関係がまわりに知れることとなり....。

ガブがメイを守ろうとする勇気。ガブとメイのその後。「命だっていつか終わりがくる。でもわたしたちが出会って、一緒にすごした時間が消えてなくなるわけじゃない。」ふっ..不覚にも泣いてしまいましたよ。絵本や映画と違う原作のラスト。賛否両論があるけど、私は原作のラストがけっこう好きです。5点中4点

夢駆ける馬ドリーマー

2006-06-10 | えいが
牧場経営とトレーナーで生活する主人公(カート・ラッセル)は、レース前に馬の異常に気づきレースの不参加を希望するが馬主は拒否。その結果馬は骨折してしまう。娘の手前安楽死させず家に連れて帰るが...。

上映中一度も時計を見なかった。それぐらい没頭できました。これって本当に実話??奇跡っておこるんですね。馬の名前のソーニャドールとはスペイン語で「夢見る人」という意味らしい。

馬のレースは迫力大。映像も音楽もキレイ。先が予測できてしまうけど話は簡潔。ウィットにもとんでるし。でもやっぱり子役がくってますわ。ダコタちゃん スクリーンに登場するだけで、パッと輝いていました。他の出演者もうまいし、かなり良かったです。見に行かれる方は来週には終わってしまうみたいなので早く見に行って下さいね。5点中4.1点

秦建日子「sokki!-人生には役にたたない特技-」講談社

2006-06-08 | は行の作家
ドラマ「アンフェア」は、なかなか良かった。原作「推理小説」秦建日子とあって、名前なんて読むのか分からなかったけど、子がつくから女だよねぇ...きっと仲間ちゃんみたいにキレイで、バリバリ働いている人なんだろう....と勝手に想像していた。しっかし、週刊誌にのっていたのはオジサンだった。

きっとこれは彼の実体験?と思わせるほどリアルな「sokki!人生には役にたたない特技」。1980年代後半の早稲田大学を舞台に、超マイナーな「速記」に全力を捧げた青春ストーリー。主人公の本多は美女希美に釣られて速記研究会に入ることになってしまう。友人(←人の名前です)、ライバル黒田、そして仲間たちに囲まれて「これぞ青春!」って感じなのだ。ただ後半からラストにかけて、中途半端になってしまって、とっても残念。でもさすが「新鋭の新星」と言われているだけあって、心の中の声など「くすくす」と笑わせてくれるところが多い。おにゃん子や大映テレビ世代のツボをおさえてる。5点中3点


「チーム・バチスタの栄光」 海堂尊 宝島社

2006-06-06 | か行の作家
東城大学医学部付属病院は米国から心臓移植の権威 桐生助教授を迎え、バチスタ手術成功率100%の名を轟かせていた。ところが、3例続けて術中死が起こる。万年講師の田口は、病院長の依頼で内部調査に乗り出す。さてそこに隠された真実とは...。

肥大化した心臓を切り取るバチスタ手術。今テレビ「医龍」でもお馴染みですよね。この作品お医者さんが書いているだけあって描写がリアルです。出だしは読みにくい感じだけど、だんだん慣れてきます。難しそうで読もうか迷っていたのですが、頭の良くない私でもなんとかOKです。とにかくキャラが強烈(チーム・バチスタのメンバー、病院長、看護師など)。

作者が以前「王様のブランチ」に出てらっしゃいました。うーん。本人もかなり個性的です。登場人物は、まわりの人の事(あんに嫌いな人というのを匂わしていた)を書いたとおっしゃってましたけど、そんなこと言って仕事にさしさわりはないのでしょうか?

さて、この物語のすんごい所は厚生労働省の役人のズバズバ本音を言う白鳥が登場するところからピカイチに光り始めます。組織をはじかれた者同士の白鳥と田口はどうやって解決するのでしょうか...。あーシリーズ化して欲しい作品です。ちなみに「第4回このミステリーはすごい!大賞受賞作品」です。5点中4.1点

「ミーナの行進」小川洋子 中央公論新社

2006-06-05 | あ行の作家
なんかぱっとしないタイトルだったけど(失礼?)期待せず読んでみました。ところがこの本 なかなかやってくれました。

主人公の朋子が1年間 伯母さんの家に預けられ、そこで体験する豪華で不思議な芦屋での生活。これはメルヘン...それとも絵本のお話??と思っていたら、深く悲しい歴史の出来事や大冒険やそのほかいろいろな出来事が起こってきます。登場人物もばっちり想像できるし、ペットではカバのポチ子などが登場。ミーナの世界はとにかく可愛くて、とっても良かったです。それに挿絵が素晴らしい!!!!!!本から切り取って額に入れたい。5点中4.5点

ぜひぜひ読んでみて下さい。お話の中に「フレッシー」という飲み物が出てきたのですが、会社の先輩が昔 武田食品から「プラッシー」というのがあったよと教えてもらいました。ちなみにネーミングはプラスCから取ってるみたいです。皆さんご存知ですか?それを物語で使っているんだなぁと思いました。

私の頭の中の消しゴム

2006-06-05 | えいが
恋人に裏切られ心に傷を持ったスジンと孤独に生きてきたチョルス。運命的な出会いをした二人は結婚し、幸せな生活を送っていた。そんな矢先、スジンは若年性アルツハイマーと診断される。

日本のドラマのリメイクとして作られたこの作品。やっぱり韓国映画 泣かせてくれます。身体的死より精神的死の方が先に訪れる若年性アルツハイマー。愛していた人のことも、自分が誰であるかも忘れてしまうなんて悲しすぎるっ。チョン・ウソン かっこいー。こんなにかっこよかったら惚れるでしょう。この映画 賛否両論があるよう...確かに間延びするところも多いし、こうなるんじゃーという予測通りも進むけど、やっぱり手紙のシーンで全て挽回しているように思う。良かったです。

最近話題になってる「明日の記憶」も若年性アルツハイマーをテーマにしている。誰がなってもおかしくない病気ということを再認識。5点中3.5点