待ち合わせは本屋さんで

ようこそお越し下さり、ありがとうございます(^_^)

よしもとばなな「ひとかげ」

2006-10-31 | や・ら・わ行の作家
彼女のデビューの頃は新進気鋭のベストセラー作家誕生と言われ、村上春樹や



よしもとばななを読んでいないなんて、今携帯を持っていないくらいなコト



だったと思う。



でもわたしはよしもとばななを読んだことがない。スミマセン。



過去のつらい体験にとらわれ、心に傷を抱えながら愛し合う「とかげ」と「私」。



助け合いながらも、次第に息苦しくなってゆく閉鎖した関係からの脱却。深い闇で



起きた、たくましい生命の復活を描く「祈り」の物語とある。(Yahoo!ブックスより)




なんか難しそうやな。




後編には「トカゲ」がついてます。今の「ひとかげ」の方が読みやすいかも。



さて感想です。



14年前のバブルの時に、こういう作品を書いていたのはスゴイかな。



設定が少し変わっています。カタイものが少し柔らかくなった...そんな



気がしました。不思議な作品ですね。



彼女を愛した私。



自分を罰している彼女。



楽しむことがコワイと思う彼女の気持ちは、少し分かる気がします。



まぁまぁでした。わざわざリメイクが必要なのかな...とも感じましたが、



それは、よともとばななを読みこんでいないからでしょう。



生きていくだけでも辛い経験をした子供たちが、救われる国であって欲しい



と思います。           5点中2.9点


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大崎梢「晩夏に捧ぐ」

2006-10-30 | あ行の作家
成風堂で働く杏子のもとに、元同僚の美保から手紙が届く。内容は自分の勤める



老舗書店「まるう堂」に幽霊が出る...名探偵のアルバイト店員を連れて助けに



来い...というものだった。そこで杏子と多絵は長野に向かうのだが...。



事件には27年前に弟子に殺された作家の死が、からんでいるのか?



『配達あかずきん』の続編。




映画や本は続編になると、なかなか前作を超えることが出来ない。




一日千人を越える利用客がある駅ビル六階の書店「成風堂」で働く杏子。



頭はいいが、激しく不器用の女子大生のアルバイト店員の多絵。



まさに書店員さんのバイブルですな。



本屋とは、なんと奥深いことか。



本屋はこうあるべき...みたいな感じがしました。



さて感想です。



惜しい!!! 出だしはOK。でも短篇にされた方が良かったのでは?



ちょっと謎解き、ひっぱりすぎ。暗い店主がくどいし、まどろっこしい。



ラストもふーん...そうかって感じでした。



とは言え...まぁまぁ面白いのです。文章も読みやすいし。



多絵が主人公じゃないってところが気に入りました。




そう、まさにホームズとワトソンの女性版+『名探偵コナン』っぽい




あとがきを読むと著者の人柄が可愛いですね。応援したくなります。



三作目を書き始められたそうですよ。ちなみに短篇になるそうですが。



一作目を読んでいないワタクシ...これは前作読むしかないでしょう!!!



購入決定です。5点中3.2点



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垣根涼介「真夏の島に咲く花は」

2006-10-27 | か行の作家
日本から両親と移住してきた良昭、ガソリンスタンドで働くフィジアンのチョネ、


父のお土産物屋を手伝うインド人のサティー、ワーキング・ビザでフィジーに来た茜。


『真夏の島に咲く花は』というタイトルと、青春小説と聞いて素敵なお話だと


思っていたのですが...。



実際にフィジーで2000年に勃発したクーデターを背景にしているみたいですね。


メインは若者の恋愛や友情



面白くないわけではないのです。つまらないわけでもないのですが...


とにかく山場がない。(笑)


原住民フィジアンが何ぞやから始まります。でも、泣けないし、笑えないし、


5分の4でやっと出来事がおこる...みたいな。淡々としています。




かつて奴隷同然でフィジーにきた働き者のインド人、おおらかで無邪気な反面、


ものぐさでなまけもののフィジアン、勤勉な日本人、


育った環境が違うのです。考え方や性格が違うのは当然のことなのですが...。



クーデターの状況によって、登場人物たちの状況は、どう変わっていくので


しょうか。一度違った歯車は元に戻すことが出来るのでしょうか。


抑圧されたものが爆発すると人間はどうなるのか。


人間は何のために生きるのか。 


とってもやるせないお話でした。    5点中3.0点



彼の作品では『君たちに明日はない』だけ読んだことがあります。


まぁまぁ面白かった記憶があるのですが...。


各賞を受賞した『ワイルドソウル』ってブラジル移民のお話なんですね。


今度読んでみようかな。


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「ドライビングMissデイジー」

2006-10-26 | えいが
アメリカ南部を舞台に、白人の元教師でお金持ちの老女と、



黒人運転手の25年にわたる心の交流と友情を描いています。




ジェシカ・タンディ、モーガン・フリーマンほか共演。




地味な映画です。でも美しく優しい映画なのです。



まさに心に沁みこむ映画。




ちなみにワタクシが初めて映画館で見た映画。




この作品で映画に目覚めることになるのでございます。



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有川浩「レインツリーの国」

2006-10-25 | あ行の作家
関西から上京して3年の伸行(以後表示は伸)には忘れられない本があった。

感想を知りたくて、ネットで検索しているうちに、見つけたのはその本の

感想が書いてある「レインツリーの国」というブログ

興味をもった伸行は管理者である、ひとみにメールを送るのだが...。



ネットで本のレビューを書いている人やったら、きっと身近に感じると思うわ。

しかし、伸の関西弁が...くどすぎるなぁ。ここまでコテコテにせんでもええん

ちゃう。でも読んでいるうちに、この作品やったらそれもええかなって思うたわ。


彼と彼女をつなぐ、ネットの中の今にも切れそうな細い糸


お互い心に傷を持ってて、他人に理解されへん辛いことがあったんは分かるけど、

それにしても伸の懐の狭さや、ひとみのいじけ具合には、なんか腹立つ。

まぁ..若いからしゃあないんかなぁ。


この作品 印象に残る言葉が多かったわ。言葉の使い方がうまい作家やなと思っ

た。ちょっとウルウルくるわ。恋愛小説やから、甘いでぇぇ。青春してはる。

あぁーうらやましい(笑) こんな運命やったらロマンチックやなぁ。


彼と彼女の恋の行方は...。

ひとみのブログのタイトル「レインツリーの国」の意味とは...。


この作家さん若い女の人なんやね。結婚もしてはるんや。『図書館戦争』売れてる

ねんなぁ。戦争とかついてるから、怖い話かと思てたわ。今度読んでみよかな。


そうそうセリフの中に「女性がキレイになろうとせんのは犯罪や」ってあるねん。

なんかグサッときたわ。ほんまやなぁ。最近はパンツルックばっかりやし、ヒール

もあんまり履かへんし、マニキュアもせんようなったし...反省やな。


本の中で書いてたけど、確かにハッピーエンドで終わった話より、救いのない

ラストを迎えた方が印象に残るってのは、ほんまやなぁ思ったわ。


なんか恋するってええなぁ。まぁまぁ面白いんとちゃうかな。5点中3.2点


ふふふふっ。

本に影響され、感想を関西弁で書いてみました。読みにくかったらスミマセン。

『図書館内乱』の中に、この「レインツリーの国」が登場するらしいのです。

ちなみに私は『図書館戦争』も『図書館内乱』も読んでいません。

表紙は紙飛行機が飛んでいて、とっても素敵ですよ。

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坂木司「シンデレラ・ティース」

2006-10-24 | さ行の作家
歯医者が大嫌いな大学二年生の咲子ちゃん。そんな彼女が夏休みに歯医者さんで

アルバイトをすることになってしまうのだが...。


このクリニックでは患者を「お客様」と呼び、診察券を「メンバーズカード」と言う。

トイレとは別にパウダールームもあり、荷物を預けられるクロークシステムも

設置。こんなクリニックだったら私だって行ってみたーい(笑)


登場人物は品川院長をはじめ、個性豊かなスタッフたち。そこにやってくるのは、

なんだか怪しい感じの患者たちです。


『風が強く吹いている』で充実感いっぱいなので、軽めの本をチョイスしました。


甘ーーーい。ゆるーーーい。嘘っぽーーーい。でも...かわいい

それにまぁまぁ面白ーい。


サクサク読めちゃいます。文章も乙女チックで、絵文字やハートマークが出て

きそうな勢いです。女心をつかむ作品ではないでしょうか。


笑顔と丁寧な接客を怠らない咲子ちゃん。夏が終わる頃、受身の彼女の人生は

変わっているのでしょうか?


歯科技工士の四谷君がホームズみたいです。


『シンデレラ・ティース』『ファントムVSファントム』『オランダ人のお買い物』『遊園地のお姫様』

『フレッチャーさんからの伝言』の全5編の短編集。私は『遊園地のお姫様』が良かった

ですね。いつも相談にのってくれる親友の浩美ちゃんは沖縄でバイト中。この浩美

ちゃんの夏休みの模様が後日、本になるようです。楽しみでーす。


歯科治療恐怖症という病気があるのはご存知ですか。歯医者さんの怖い人はネットで

チェックしてみて下さーい。ストレスと疲労は唾液の分泌を減らすから虫歯のもと

らしいです。皆さーん 注意しましょうね。   5点中3.2点

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三浦しをん「風が強く吹いている」

2006-10-23 | ま行の作家
才能に恵まれ走ることを愛しながら、走ることから見放されかけていた清瀬灰二と

蔵原走。偶然の出会いから、二人は無謀にも陸上とかけ離れた者たちと箱根駅伝に

挑むことになるのだが...。友情やまわりの人に支えられ成長していく青春小説。


1920年から続く伝統の箱根駅伝。先日行われた箱根駅伝予選会。4年連続シード落

ちの名門早稲田。昨年は屈辱の10秒に敗れた城西は無事19校に名をつらねた。問題

は去年10位の拓殖大。今年もまさかの10位。9位との差はたった1秒だった。泣き崩

れる部員をテレビで見て、涙が止まらなかった。以前の私なら、このニュースを気

にも止めなかったろう。土曜日にこの本を読み始め、徹夜で読みきった日曜の朝が

くるまでは...。


ワタクシ かなりのコーフン状態でございます。オススメします!!

ものすごく面白いです!!!!  1200枚で読みごたえも十分です。


駅伝はたった1人で身体の機能を全て使って、プレッシャーと戦うスポーツだ。

それでいて、1つの目標に向かって10人が力を合わせる。個人戦でいて団体戦

でもあるのだ。


ハイジ 走 双子 ニコチャン ムサ ユキ キング 神童 王子

それぞれが作品の中で輝いている。一人一人に過去があり、ドラマがある。


走り続けることは、簡単なことではない。途方もなく無謀な挑戦に挑む彼ら。


予選会でさえ、緊張や息づかいが伝わる。ゴールの瞬間が目に浮かぶ。


そして迎える1月2日の往路 どこまでも歩道に並ぶ沿道の小旗をふる人々。

流れるテレビ中継。緊張はピークに達していた。それぞれの区間、雰囲気に

のまれながらも、10人は立ち向かう。

一夜が明けて1月3日復路 激突の時。絶対諦めない。届いてみせる。

読んでいる私は泣いたり笑ったり大忙しだ。

仲間が仲間を思いやる気持ち。是非レースのシーンを読んで体感して欲しい。

この作品心をうつセリフが多いのも特徴だ。

『いまのきみ自身が走るんだ。惑わされるな。振り向くな。もっと強くなれ。』

『俺たちが行きたいのは、箱根じゃない。走ることによってだけたどりつける、
 どこかもっと遠く、深く、美しい場所。』

『走っても走らなくても、苦しみはある。同じくらい喜びも。だれもが、
 それぞれの悩みに直面し、なしとげられないとわかっていてももがいている。』


6年かけて緻密に取材をかさねて創りあげられた三浦しをん渾身の作品だ。とても

若い作家が書いたとは思えない。間違いなく今年NO1だし、賞も受賞するだろう。

最初「まほろ駅前多田便利軒」が全く私と合わなかったので読む気はなかった。

ソルトさんのオススメで読むことになった。ソルトさんありがとう♪

本当に読んで良かった。表紙がまた素晴らしい!!ものすごく絵が細かく、

登場人物の特徴もとらえている。


もう一度箱根駅伝前にじっくり読みかえそうと思う。


来年1月2日から素晴らしい本物のドラマが繰り広げられるんだろうな。

今から楽しみだ。5点中4.6点

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光原百合「十八の夏」

2006-10-20 | ま行の作家
この作品 ブックオフの店頭にオススメ本として置いてあったのですが...。

第55回日本推理作家協会賞を受賞

2003年版このミステリーがすごい!第6位


本当に良い本に巡りあいました。この作家の作品全て読んでみたいです。

ただの恋愛ものかと思って読んでいたのですが、いい意味で裏切られました。


特に『ささやかな奇跡』これは5点中4.5つけたいくらいの作品です。

5年前に妻に先立たれ、一人息子を抱えた35歳の水島。父子が出会ったささやかな

奇跡の顛末とは...。登場人物がいい人ばかりなのです。あぁーやられました。

うるうるしっぱなしです。小さな書店を舞台にした、あったかいお話なのです。


『十八の夏』 

浪人生の信也と年上の女性紅美子(クミコ)のお話。朝顔の鉢植えの本当の意味

とは。18歳の青春です。この夏、ドラマにもなったみたいです。
 

『兄貴の純情』

背丈・バイタリティ・情熱にはあふれるが、自制心・遠慮・デリカシーが全くない

兄貴。そんな兄貴が恋をした。この兄貴 愛すべきキャラクターです。


『イノセント・デイズ』

少女と少年に襲った押し寄せる不幸。主人公の塾講師は成長した少女と再会する

のだが...。この作品はちょっと辛かったです。


花をモチーフにした4作品切なくて優しい連作ミステリーですが、

恋愛小説の部分もあるのです。 

ゆっくりかみしめて読みたいそんな作品です。 5点中3.9点 


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唯川恵「息がとまるほど」

2006-10-19 | や・ら・わ行の作家
彼女の作品を読むと、

きっと女性の悩みはいつの時代も同じなんだろうな..と思う。


テーマは「若さを失った女性」 そう...30代がメインに描かれています。


妬み、僻み、嫉み、恨み...女性にあるさまざまな感情。

女性の醜さ、悪意。

その行き着く先とは...。


どきどきしながら一気に読めました。

さすが女性の性(さが)を描くのがうまい作家です。


『無邪気な悪魔』    計算高い女性のその後とは。

『ささやかな誤算』  何故女は不幸な女に優しくなれるのか。

『蒼ざめた夜』    それは悪意に満ちていた。

『女友達』      彼女を慕う女友達とは。

『残月』       夜にも朝にも見放されてしまった月を残月という。

『雨に惑う』    マグマのようにつきあげてくる怒りの行く先は。

『一夜まで』      一年に一度の逢瀬。

『あね、いもうと』  ちょっとホラーっぽいです。


私は計算外の出来事『無邪気な悪魔』と、女性のしたたかさを描いた

『ささやかな誤算』が良かったですね。


軽くサクサクと読めました。まぁまぁ面白かったです。5点中3.4点


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川上弘美「センセイの鞄」

2006-10-18 | か行の作家
ワタクシ 現在読まず嫌いをなおすべく、今まで読んだことのない(ほとんど

ないも含む)作家強化月間でございます。川上弘美さんもその一人。


「センセイの鞄」第37回谷崎潤一郎賞受賞作。


高校時代のセンセイと飲み屋で十数年ぶりに再会したツキコさん。

以来、二人は憎まれ口をたたき合いながら肴をつつき、酒をたしなむ。

年の差を超え、せつない心をたがいにかかえつつ流れてゆく。


以前柄本明とキョンキョンでドラマ化もされたそうですが...。


はたして...30才以上も上の人を恋愛対象として見れるのか?

本当に???


しかし...燃え上がる愛ではなく、ゆっくりゆっくり進んでいくそんな

中ならありかも...と思わせるのが、この作品でした。ちなみにワタクシ

児玉清、田村高廣(死んじゃったケド)、杉浦直樹、小林桂樹このあたり

ならOKです(笑)


このセンセイ役は三國連太郎が浮かびましたね。

ツキコさんは原田知世で決まりです。


物語の中の酒の肴が美味しそうです。ビールと合いそう。

お互いの酒やつまみに立ち入らないのが二人のルールです。

会話がやさしくて、コトバが美しく凛としています。

本当にあったかい淡い恋のお話なのです。

ぐふふふふと笑わせるところもあります。


キノコ狩り、お正月、お花見、梅雨、島へなど四季を感じられますね。

私は『こおろぎ』のラストが好きです。


秋の夜長にゆっくり味わって読みたいそんな一冊でした。5点中3.8点

荻原浩「四度目の氷河期」

2006-10-17 | 荻原浩
僕はフツーの子供とは違う。だからトクベツな子供になることにした。


母さんと僕(ワタル)は、田舎町で差別されながら生きてきた。


人間は何も選べずに生まれてくる。その中でいかに生きていくかが

問題なのかもしれない。ワタルもあることを思い込み...決断する。


皆に見えているものと、自分に見えているものは同じなのか?

「普通」とは何か?


出だしからなんかツライんですけど...。


そこに現れる救いの女神(サチ)の登場。


まぁまぁ面白いです。ぐふふっと笑えるシーンも多いし。でも

3分の1ぐらいカットしてもいいかも...と思ってしまいました。

なんかもったいないです。クロマニヨンが長すぎる...。


「なかよし小鳩組」の時も思いましたが、荻原さん子供を描くのが

ウマイです。

ワタルは子供から少年へ...そして青年へ。ちょっと変わった青春小説です。

男の子の成長が結構詳しく描かれています。


思春期の男の子はいろいろ大変ですね!


ラストは「えーーーっそうきますか」って感じでした。5点中3.5点




秦建日子「アンフェアな月 刑事雪平夏見」

2006-10-16 | は行の作家
バツイチ、子持ち、大酒飲み、捜査一課検挙率No.1、そして「無駄に美人」。

本の中の彼女は時折ギャクも言う人間味あふれる人物でした。とっても

かっこいいです。


生後3ヶ月の幼女が誘拐され、雪平は母親の不審な行動に疑いを持ちます。

そこに一本の電話がかかってくるのですが...。

誘拐犯の目的は? 赤ちゃんの安否は??


脚本みたいな構成で、文字数が少ないからかもしれませんが、3時間ほどで

読めました。誘拐事件なので、警察の緊張がこちらにも伝わってきます。

そして物語は思いもかけない方向に展開していきます。場面がコロコロ

変わるので、読みにくいところもありますが、スピード感もあるし、

まぁまぁ面白いです。登場人物は皆怪しげですが...(笑)。


私は前作「推理小説」を読んでいません。ドラマはとびとびながら

見てました。この前スペシャルあったんですね。見忘れました。

ちなみに映画にもなるそうです。テレビの先入観のない方の方が、

なお面白いかもしれません。


原作者は秦建日子です。以前「sokki!」を読んだことがあります。

ドラマでは「ドラゴン桜」映画では「チェケ・ラッ・チョ」などを手掛ける

今超売れっ子の脚本家さんです。今後に注目です。5点中3.7点

「フラガール」

2006-10-13 | えいが
ソルトさんのブログで紹介されていた「フラガール」観てきました。


昭和40年、炭鉱が次々と閉山していく中、福島県いわき市の炭鉱会社は、地元

の温泉を活かしたレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」の計画を進めていた。

目玉となるのは、フラダンスのショー。KSDの平山まどかを東京から招き、地元の

娘たちのダンス特訓を始める。しかし、今まで山で生きてきた炭鉱の人たちは

この計画には大反対で...。


炭鉱の男たちのプライドと厳しい現実、女がダンスで生きることを決意した

少女たちの成長が描かれている。


ダンス講師を演じた松雪泰子 ホントいい女優さんになったなと思いました。

60年代ファッションもオシャレに着こなしています。

しずちゃんが意外に重要な役で、頑張ってました。

ただ母親役の富司純子は、気品がありすぎて炭鉱で生きてきた女という感じは

難しいなと思いましたが...。 

この映画なんと言っても蒼井優。彼女の演技は素晴らしかった!!!

はじめは福島弁の冴えない田舎娘だったのに、美しいフラガールに変身して

いきます。キラキラ輝いてましたね。今一番旬の女優さんじゃないでしょうか。


ラストのダンスはそばで見ているような錯覚におちいります。やっぱり映画は

大画面で見ないとね。笑いあり涙ありのあっという間の2時間でした。


それぞれに事情を抱えながらも、皆懸命に生きていた。そんな古き良き時代を

存分に味わうことができた作品です。





重松清「流星ワゴン」

2006-10-12 | さ行の作家
リストラされ家庭も崩壊。死んでもいいと思った38才の僕はその夜

5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われる。

時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。

「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。


さとぽんさんオススメのこの作品。読んでみました。


死んじゃってもいいかなぁ...そう思っているあなた。

終電のあとの駅前にワインカラーのオデッセイが停まっていたら

迷わず乗り込んで下さい。

「あなたにとっての大切などこか」へ連れて行ってくれるはずです。


現実にはありえないお話...でもあったらいいな...そう思わせる作品でした。


何故気づかなかったのか、どこで違ったのだろう...と思うことは誰にでも

あります。後悔を背負った人たちが、筋書きの変えられない過去をもう一度

なぞっていきます。


そして過去を振り返ります。

つらい現実だけど、向き合うことも必要なんだね。


分かっているのに変えられない...そう過去は変えられないのです。

そして父は立ち上がります。過去を変えるために...。

果たしてやり直しは叶えられるのでしょうか?


とても面白いです。ググッときます。

目頭が熱くなりますね。うるうるきます。

やはりこの作家 コトバのしめがうまい!

母親の描き方が少し残念でしたが...。


このタイトルも素敵です。ちなみに車の名前 オデッセイとは「冒険」という

意味もあるそうです。

東野圭吾の「時生」に似ているなと思いました。


久しぶりに実家に電話してみようかな...そう思わせる作品です。5点中3.8点

横山秀夫「第三の時効」

2006-10-11 | や・ら・わ行の作家
登場人物それぞれが本の中で息をころしている。

そして感じる...男たちの葛藤、安堵、怒り、落胆、逮捕への執念


生々しいです。それだけにとっても面白いのです。


構成される1班から3班には、笑わない朽木、公安あがりの楠見、

たたきあげの村瀬をはじめ、個性色々な面々が顔をそろえています。


本当に一気に読めちゃいました。ページをめくる手がとまりません!


警察VS記者も見どころの一つです。横山秀夫の得意分野ですけれど...。


事件は地味なのに、読んでいて思わず息を呑む展開が多いです。




『沈黙のアリバイ』 勝つはずの裁判。しかし、犯人の一言で事態は一変する。


『第三の時効』 殺人事件の時効成立目前。巧妙に仕組まれた第三の時効とは..。


『囚人のジレンマ』 点と点がつながる。やはりそこは砂漠なのか。


『密室の抜け穴』 密室はなぜ破られたのか。


『ペルソナの微笑』 13年前の未解決事件。刑事の少年時代の出来事とは...。


『モノクロームの反転』 1班と3班の対決。一家三人刺殺事件の真相とは...。




『囚人のジレンマ』もイイです。『第三の時効』もヤラレました。でも私の

イチオシは『ペルソナの微笑』かな。面白かったです。5点中3.8点