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吉村昭『ふぉん・しいほるとの娘〈上〉〈下〉』

2009-08-27 | や・ら・わ行の作家
世は幕末。

長崎に軍医としてやってきたシーボルト。

彼には、オランダ政府からの密命があった。

それは、鎖国状態の日本の国情を探ること。

彼は、西洋医学を身につけようとする若者たちに、最新の医学を教え

神のごとく慕われる。

そんな中、彼は17歳の遊女の其扇(お滝)と出会い、二人の間にお稲が誕生する

のだが、ある日の暴風雨が彼らの運命を変えてゆく。


美しいがゆえに、遊女に売られたお滝。

シーボルトとお滝の娘お稲。

そしてお稲の娘タダ。


幕末から明治へと、日本が大きく変わろうとする激動の時代に、過酷な運命に

翻弄されながらも、逆境に負けず、逞しく生き抜いた母子三代の物語。


さて感想。


「吉村昭の記録文学ここにあり!!」と言った感じでしょうか。

非常に面白かったです(^_^)


上巻692ページ、下巻734ページ。

吉村作品の中で最も長い作品で、がっつり読ませていただきました。


お滝やタダの人生もすごいんですが、ここではお稲の人生をご紹介します。

シーボルトの娘として生まれたお稲は、可憐で美しい聡明な女性に成長します。

青い瞳を持つ彼女は、自らの出生を恨むことはありません。

女に学問など不要とされていた時代を生きる彼女は、女の幸せは全て捨て

医師として生きる覚悟をし、修行をかさねるのですが、父の弟子に犯され

身ごもることになります。

懸命に生きる彼女に対して、運命は実に残酷でした。

おぞましい記憶とたたかいながら、それでも彼女は強く強く生きるのです。

その姿は実に美しい!!


本当に最後の最後まで、気の抜けないストーリー展開ですので是非是非。

彼女たちの人生を読み、この時代を一気に駆け抜けていただきたいです。


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