待ち合わせは本屋さんで

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東野圭吾「手紙」

2006-09-29 | 東野圭吾
あなたが彼ならどうしますか?

あなたは彼に何をしてあげられますか?

殺人犯の兄、差別され続ける弟。希望なき世界を彷徨う人生の行方は?


不運続きの剛志は弟の学費のため強盗殺人を犯してしまう。

加害者の家族を描いた作品である。


毎月刑務所から届く兄からの手紙。

兄弟の絆とは...。

手紙が意味するものとは...。

弟が最後に選んだ道とは...。


つらい...つらすぎる。

読みながら弟が「不幸にならないでぇぇぇ」と切望するが、もちろん

打ち砕かれる。

夢 青春 恋人。真っ暗な洞窟をさまよい続ける たった一人の弟。

ジョン・レノンの「イマジン」さえもこんなふうに使う東野圭吾はやっぱりすごいな。


罪の重さ。

犯罪者の家族に対する差別。

加害者と被害者。


ラストはサンマルクカフェにて号泣。

隣のサラリーマンの視線が気になるが涙が止まらない。

チョコクロを食べながら号泣する女...さぞかし怖かったろう。


考えさせられる作品です。

10/6文庫発売 11/3映画公開  5点中3.8点

「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」

2006-09-28 | えいが
発明家のウォレスと相棒のグルミット。

このクレイアニメが長編映画になった!!


もうすぐ開かれる巨大野菜コンテスト。なのに育てた野菜を食い荒らすウサギ

が大繁殖。発明家ウォレスと、パートナーの忠犬グルミットは、町中の野菜畑

を守るのに大忙し。とはいえ、自宅の地下室は捕獲したウサギですでに満杯。

そこでウォレスは、ウサギに野菜嫌いになってもらおうとするのだが...。


超かわいいーーっす。

ジョークもGOOD!主人のために家事をこなし、仕事を手伝うグルミット。

こんな犬 飼いたいよー。


粘土の人形をあやつり1コマずつ撮影するため、1人のアニメーターが1週間で作れ

る映像はたった5秒。それに最新CG技術が融合された本作の映像はスバラシイ。

テーマは深読みすると、野生の本能とか、遺伝子とか結構深いかも...。


では私はやっぱり短編の方が好き。

凹んだ時は特にコレを見る。なんだかとっても癒される。

          ↑騙されたと思って見てっ。

「恋人はゴースト」

2006-09-27 | えいが
仕事一筋だった女医が、天国に向かう途中で運命の人に出会ってしまった。

切なくも幸せなラブ・コメディ。


妻を亡くし自分の殻に閉じこもりのディヴィト。引っ越したマンションに突然、

見知らぬ女性が現れる。エリザベスと名乗る彼女は「ここは自分のマンションだ」

と言い張るのだが、他の人に彼女は見えず、彼だけに彼女が見えることが分かる。

記憶がなく死んだかどうか分からないゴーストのエリザベス。二人は小さな手が

かりをもとに、彼女のことを調べ始めるのだが...。


ネタバレするのであまり書けませんが...。(けっこう書いてる??)


監督は「フォーチュン・クッキー」など軽快なコメディ作品に定評があるマーク・

ウォーターズの作品と聞いて納得。

面白いやん!!

劇場未公開なんだね。なんでだろう...面白いのに..。


パワフルなヒロインを演じるのはアカデミー賞女優「キューティ・ブロンド」

のリース・ウィザースプーン。メグ・ライアン、ジュリア・ロバーツにつづく

ラブコメの女王と言われている。決して美人ではないが、とってもキュートだし

見ているとすごくキレイに見えてくるから不思議だ。


フランスの小説をもとに作られているんだね。


シスコの風景は美しいな。唯一男性の主役の人が魅力的でないのが残念。


ゴーストが見えて除霊するシーンなどはユーモアたっぷりで笑わせてもらった。


久々に「当たり」の作品だったな。

重松清「ビタミンF」

2006-09-26 | さ行の作家
このビタミンは心に効きます。疲れた時にどうぞ。「家族小説」の最高峰。

2001年直木賞受賞作品。Family、Father、Friend、Fight、Fragile、Fortune…

〈F〉で始まるさまざまな言葉を、個々の作品のキーワードとして埋め込んだ

7つの短編集とある。


疲れきった40歳前後のお父さんたちにオススメの作品やな。

コドモのいない私には実感わかないし、「ふーん。そうか」ってカンジだった。

若い世代はどう思うんだろう。


私は「母帰る」が一番良かった。実家に帰るたびに小さくなってる親を

思い出した。あんなに元気だった親も年をとるんだなぁ。


お父さんたちは、我慢して、妥協して、ときどき愚痴をこぼしながら、

小さな暮らしをなんとか支えているんだね。みなさんお父さんには優しく

してあげましょう。


この本って家族の理想なんじゃぁ...気がするけど、家族っていいなって

思ったりもする。最後には家族の温かさを感じさせてくれる。


重松清の作品は初めて読んだ。もっと年のいっている人かと思ったら

昭和38年生まれで意外と若いんだね。

しかし、文章の「しめ」がうまいよ....この作家さん。5点中3.2点


伊藤たかみ「八月の路上に捨てる」

2006-09-25 | あ行の作家
離婚するには結婚する数倍の気力と体力をともなうらしい。それなのに私のまわり

には離婚経験者がけっこういる。


芥川賞受賞のこの作品。選考者の意見がかなり酷評だったので、覚悟してのぞむ。


今や角田光代のダンナとしても名高い伊藤さん。20代で一度離婚の経験があるらし

いがコレって実話?...じゃないだろうなぁ。

別居の前日に最後のデートをして、センチに思い出にふけるなんて、たぶん

オトコの感覚だ。(8/28日記の「ランチブッフェ」を読んだ時も思ったけど)

女はきっと見るコトも、一緒に息をすることでさえも嫌だと思うから。

それにこの嫁ちょっと精神病患ってない?


フリーター文学って言われているらしいけど、そういうことはあまり感じないな。

私は主人公の想像力にはびびるけど、2作目の「貝からの風景」の方が良かった。

まぁまぁでした。5点中3.2点

映画「イルマーレ」

2006-09-23 | えいが
今日からハリウッド版「イルマーレ」がキアヌとサンドラ共演で公開される。

主演がこの2人とは...けっこう年いってないか?

韓国版に比べて大人味らしいけど...。

原点になった好評の韓国版を見ておかなくては...とレンタルしてきた。



1999年海辺の一軒家「イルマーレ」から都会のマンションに引っ越すことに

なったキム・ウンジュ。彼女は家を後にする時、これから先、越してくる住人に

一通の手紙を残す。しかし、その手紙を手にしたのは、1997年の時代に生きる

ハン・ソンヒョンだった。こうして「イルマーレ」のポストを通して、2人の時空

を超えた文通がスタートするのだが...。



「イルマーレ」とは海という意味らしい。


短いシーンで心を伝える。そこに言葉はいらない。


暖かさを感じるこのお話。めっちゃええがな!!


ファンタジーは苦手だけど、「猟奇的な彼女」よりも「八月のクリスマス」

よりも私はこの作品が気に入ったぞ。


二人の運命はどうなるのか? とにかくアレコレ書きません。


美しい映像と音楽を堪能あれ!!


明日もう一回見ようっと。

いい映画や本に出会うと得した気分になるな。


瀬尾まいこ「卵の緒」

2006-09-22 | 瀬尾まいこ
金曜はハッピーフライデー。まずコレで1週間の疲れを癒す。(ハックにも売ってるよん)

そして本やDVDに囲まれ時を過ごすのだ。


今日は瀬尾まいこさんのデビュー作「卵の緒」。第7回坊ちゃん文学大賞受賞作。

「卵の緒」「7'blood」の2編が収録されている。


私は「7'blood」は今までの瀬尾作品の中で一番好きだな。

高校生の七子と父の愛人の子供で小学生の七生。二人の共同生活が描かれる。

内容をだけ見るとドロドロしていてもおかしくないのに、当然のことながら

全くそんなことはない。


彼女の作品は縁側でひなたぼっこをしてポカポカしている中で、うとうと

してしまう...そんな感覚に似ている。


そしてこみあげてくるものが必ずある。

スバラシイ作家だと思う。


  セリフがいい。

  ラストも好き。

  母の愛。

  血の繋がり。


いろんなことを感じて考えさせられる。

文章が心地よく心にしみいる。

人の幸せまでも願ってしまう不思議な感覚。

とにかく読んでみてっ。5点中4.0点

PS あとがきを読んで瀬尾さんが家族にこだわる意味が分かったな。

宮部みゆき「名もなき毒」

2006-09-20 | 宮部みゆき
最近 理解不能な人が大勢いる。だから考えられない残虐な事件が起こるのかも

しれない。思い通りいかないことの方が多いのが人生なのに...。


今多コンツェルンの娘婿の杉村が主人公のこの作品。どこかで読んでことが

あると思ったら「誰か」の続編だった。


財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こしたアルバイト女性の

身上調査のため、私立探偵の北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続

無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。


このアルバイト女 病気でっせ!!!


無差別殺人により理由なく殺される人々。まぁまぁ面白いし、読みやすいが

パンチがない気がするのは、あまりにも都合のいい人(よくしゃべってくれる人)

やそういう展開が多いし、主人公に感情移入できないからか。

とはいえ宮部さん 人間の描き方がうまいっす。


目に見える人間の「悪意」=毒 

目には見えないが潜む毒 


どちらも怖いね。


そして...ラストに向けて事件は起こる。でもこのキレイな終わり方は

なんだかなぁ。続編意識してる??

点数は宮部作品にしてはちょっと厳しめの 5点中3.1点

岡嶋二人「99%の誘拐」

2006-09-15 | あ行の作家
昭和43年9月 5才の男児誘拐事件が発生する。息詰まる身代金

受け渡しに緊迫感が増す。

昭和50年被害者の父が病床に書き残した3冊のノート、

そして昭和62年のとある事故をきっかけに、翌年新たな誘拐事件が発生する。


すごーーーい。
まだ昭和の時代に、こんなことが考えられるなんて...。



絶対あり得ないよねぇ...きっと。パソコンのことも読んでてよう分から

へんし...と言いながらも、ぐんぐんストーリーにのめりこんでしまうのは

何故??


で...どうなるのと気になってしょうがなかったです。まぁ面白かった。


ハイテクコンピュータを使い、警察の裏をかき、犯人が成し遂げたかった

こととは....。

岡嶋二人って共同作品なのね。5点中3.7点

東野圭吾「白夜行」

2006-09-14 | 東野圭吾
1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局

事件は迷宮入りする。被害者の息子と容疑者の娘、二人の周囲に見え隠れする、幾

つもの恐るべき犯罪。だが、何も証拠はなかった...。


今さらながらですが「白夜行」。山田孝之と綾瀬はるかでドラマ化になり、毎週

楽しみに見ていた。面白いのに視聴率はイマイチだったのは、話が暗いからか。

それにしても、笹垣刑事役の武田鉄也が主役の2人を完全にくってましたわ。

さすが金八つぁん やるな。


ドラマでの登場人物の大幅カットはしかたないし、多少の脚色はあったにしても、

原作をうまく、ほぼ忠実に再現したドラマだったんだと、原作を読んで思った。

でも...ドラマを見る前にこれを読みたかった。もっと楽しめた気がする。

暗い眼をした少年 亮司と並外れて美しい知的な少女 雪穂。全く違う道を歩む

二人は見えない細い糸でつながっていた。すべてが計算しつくされた上で成り立っ

ている。


東野圭吾は大阪府大出身だから天王寺や難波周辺など「ミナミ」と言われていると

ころが、主に書かれているんだな。いたるところに、伏線が張りめぐらされてい

る。昭和48年のオイルショックから物語に時代の流れをうまく取り混ぜているの

だ。黒電話やキャッシュカードの話などは昔はこうだったのだなとあらためて認識

したな。うまい。うまいぞ!東野圭吾。


人は決して公平ではない。人は時代も国も性別も親も兄弟も何一つ自分

で選ぶことは出来ない。ただ唯一公平なこともある。何も持たずに一人で生まれ、

何も持たずに一人で死ぬ。そして皆平等に年をとる...。


雪穂のような悲しい少女時代を送るなんて、考えただけで恐ろしい。でもそういう

人はこの世の中にはきっといるのだろう。悲しい。悲しすぎる。だからと言って彼

らの生き方を肯定できないのだが..。


印象に残ったセリフがある。

「あたしの上に太陽なんかなかった。いつも夜。でも暗くはなかった。太陽に代わ

るものがあったから。太陽ほど明るくはないけれど、あたしには十分だった。

あたしはその光によって、夜を昼と思って生きてくることができたの。」


偽りの昼を生きた二人の人生は凄まじいぞ!!!5点中3.9点(ドラマ見てたので点数低め)


横山秀夫「動機」

2006-09-07 | や・ら・わ行の作家
署内で一括保管される三十冊の警察手帳が紛失した。犯人は内部か、外部か。

第53回日本推理作家協会賞受賞作の「動機」ほか、「逆転の夏」「密室の人」

「ネタ元」など四篇を収録。

8/23紹介の「出口のない海」に続く横山秀夫作品。


「動機」は『木を隠すなら森へ』的発想やな。親子についてもちゃんと

描かれていて、横山さん ちゃあんとポイントおさえてはるわ。


あと「逆転の夏」。真実は何なのか...最後まで分からない。

追い詰められた小心者の男がとった行動とは....。

ドキドキしながら読みました。やるなぁ...横山秀夫。


やっぱり面白いぞーっ。


彼の作品ってよくテレビでやってますよね。

主役は...そう...なんだかとっても熱い男 上川隆也

彼の演技が目に浮かぶわ。5点中3.7点

あさのあつこ「The manzai 1」

2006-09-06 | あ行の作家
サッカー部の次期キャプテンと噂される秋本に呼び出された転校生の瀬田。

彼から「おつきあい」を申し込まれるのだが...。

(ちなみに秋本も瀬田も中学生の男の子です)


「ラッシュライフ」「風林火山」と頭を使う系の本が続いたので、軽く読める

本を選んだ。『あさのあつこ』と言えば女優さんしか思い浮かばなかった。

スミマセン...。どうやら児童文学作家さんらしい。それに主人公が中学生の

少年なんて、感情移入できるのか...と思いつつ..あさのさんの作品を初めて

読んでみました。


かるーい青春小説かと思わせつつ、なかなか奥が深いっす。

子供の心は大人が思うほど単純じゃない...一人一人抱えている

ものがある。そういうことを認識させてくれる作品でした。


・瀬田は何故漫才をする気になったのか?

・文化祭は成功するのか?


関西弁が心地よく、会話もウィットにとんでいて、くすくす笑わせてくれる。

なんだかとっても爽やかだぞ!

こんな理想的な中学生たちおれへんやろーって本来なら嘘っぽくなる

ところだけど、そんなことは全然ないのです。優しい目線で子供たちを

描けるのは、3人のお子さんのお母さんだからかな。


それにしても....


あさのさん すごすぎます。「バッテリー」も読んでみたいっ。

これを読むとお好み焼きが食べたくなるな。すぐに読めちゃいますよ。5点中3.7点

井上靖「風林火山」

2006-09-05 | あ行の作家
食うか食われるかの戦国時代に生まれていたら、きっと姫様ではないだろう。

今少ない収入の中から大量の税金を差し引かれていることを思うと、小作人

っぽい気がする。


来年の大河は「風林火山」。武田信玄かと思いきや、主人公は山本勘助。

「で...それ誰やねん!!」てな訳で読み始めました。

ちなみに主人公は内野聖陽、あと市川亀治郎(誰?)、千葉真一(もぅ67歳なのかっ)

上杉謙信にGackt(ドラマ初出演)、由布姫に柴俊夫と真野響子の娘(女優デビュー

作らしい)。ドラマ初出演の人が多いのは気のせい?

はっきりいって...NHKさん やる気ありますか???って感じだ。


話が大きくそれてしまった。


山本勘助...小柄で色黒、眼はすがめでちんば、顔は傷だらけ。つまりとっても

醜い男らしい。物語のはじめなんて、のし上がろうと人を騙して仕組み、とり

入るのだ。小説では兵法に明るく城取り、剣の達人というのは全くの嘘らしい。

(まぁ本人が言ってるのではなく噂を否定しないだけなんだけど)

年齢で言うと、50歳ぐらいから69歳まで信玄に仕えることとなる。

一見ペテン師かと思いきや、直感を信じる。もちろん時の流れも見逃さない。

なお、当て推量なことを「ヤマカン」と言うのは、彼の名前を略した俗説らしい。


命をかけ武田信玄と由布姫を愛した男。彼が見た壮大な夢とは..。


父を殺した男(信玄)の側室にならなければならなかった美しい娘由布姫。

叶うことはない彼女を一筋に思い続ける勘助。馬にまたがり、野山をかけめぐる

勘助が目に浮かぶ。謙信との攻防。川中島の死闘。ラストは泣くぞ!!5点中3.4点



伊坂幸太郎「ラッシュライフ」

2006-09-04 | あ行の作家
伊坂幸太郎。1971年生まれ。人気作家。

『重力ピエロ』『チルドレン』『グラスホッパー』『死神の精度』
『砂漠』と5作品で直木賞に落選されてる。

彼の作品を初めて読んだ。


ラッシュライフ...豊潤な人生


仙台を舞台にカモを物色する泥棒、父の自殺により神に憧れる青年、夫と離婚

し不倫相手との結婚を望むカウンセラー。野良犬を拾う家族に見捨てられた

リストラ男。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生。


伊坂さん....賢すぎです。話が次々と変わっていくのですね。しかも登場人物

多数。アホな私は最初理解できず、頭ぐるぐる状態ですわ。読むの疲れてきた。


しかし後半から無数の点が1つにつながっていく。フムフム。

「あーヤラレター」と実感。あれもそれもこれも、伏線だったのか...。

だいぶ読むの慣れてきたよん。

殺人トリックとかではないのです。でもトリックトリックなのです。

でも...この四つの物語結構つらくない?

一匹狼の泥棒さんはかっこよかったです。5点中3.5点

瀬尾まいこ「温室デイズ」

2006-09-01 | 瀬尾まいこ
教室に神飛行機が飛びはじめる。始まりの合図だ。もうすぐ崩れだす。(中略)

この温室のどこかに、出口はあるのだろうか。


小学校の時いじめにあう優子。彼女は転校する。中学校の時には、みちるが

いじめにあう。彼女はいじめられ続けても学校に通い続ける。

で...どうなるのか。学校は変わるのか。気になって一気に読んじゃいました。


学校崩壊で教師も生徒も大変だな。


私たちの時代でもまだ教師は立派だと親たちは思っていた。でも今は違う。親が

教師をなめきっている。だから子供もそう思うのだ。少し子供に何かあると教育

委員会へ電話する。これじゃ先生も病気になってしまうわな。とはいえ、ロクでも

ない教師がいるのも事実なんだけど...。


この物語のテーマはいじめ。とはいえ、今も昔もいじめはあったが、年々悪質化

するのは気のせいか。それに登場人物にもいるヤクザの子やパシリにされる子も

いた。ただ...今の子供は落ちていくと止まらない。

今までの「ほんわか癒し系」の作風でないのは、瀬尾さん自身が訴えたいことや

叫びが物語になっているからかもしれない。

瀬尾さんは近年念願の教師になられた。本当に教師という仕事が好きでなければ、

9年も講師を続けられなかったろうな。

でも最後は「えっ...これで終わり」って感じだ。もう少し読みたかった。

「努力は人を裏切らない」って言葉が印象に残ったな。5点中3.3点