加地尚武の佐倉新町電気街

「福音の少年 Good News Boy」シリーズ(徳間書店 徳間デュアル文庫)著者による電脳生活と意見。

【CD】しばらく「タン塩」はやめようか。「ミート・イズ・マーダー」

2005年04月17日 18時53分13秒 | 音楽・映画のこと
そういえば「菜食主義」とは言っても「肉食主義」とは言わないな。

こんな場合、人間本来の性向により近い方は「主義」とはならない。イデオロギー化するのは人間の自然なありように反する主張のほうである。人間は嗜好物の中毒になるものだ→「禁煙主義」といったぐあいに。

人間はベジタリアンとして進化してきたのではない。サバンナに住んでいたわれわれのご先祖はおそらくハイエナのご先祖と肉食獣の食べ残した腐肉の奪い合いをしてきたにちがいないし、ふだん木の実を食べていても部族をあげての「儀式的な狩り」を定期的に行うという習慣は、それこそ一部の類人猿も持つことが確認されている、言わば本源的なものである。

「本能だから○○主義なんて意味がない」と言いたいわけではない。そんなことを言っていたら文明を石器時代に戻さなければならない。

そもそも、そんなに難しいことを息抜きのブログに書くほどのパワーはわたしには無い。単にあるCDを紹介したいだけなのだ。

とうに解散したロックグループ「スミス」の、「ミート・イズ・マーダー」というCDを紹介したいのである。
この表題曲「ミート・イズ・マーダー」、まるで肉食をする人々へのイヤミとしか思えない曲である。のっけから牛がモーモーいい、豚がブーブーいい、羊がメエと啼く(実際にSEとして入っている)。暗いメロディに、死んでいった動物たちの呪詛のように繰り返される「ミート・イズ・マーダー」というリフ。曲の終わりには、我々に殺されるだろう無数の動物たちのざわめき。

この曲を平然と聴き通せるのは生粋のベジタリアンだけなのではないかと思われるほどに、肉食をする(おまけに大好きな)わたしには不快に思える曲である。もちろん、それはモリッシー(ボーカル/作詞)の思うつぼなのだろうが。

大変こまったことに、この曲は美しいのだ。だから、アルバムを聴き通すとき、この曲をスキップできない。
ほかの曲もすばらしい。ザ・スミスのアルバムとしては「クィーン・イズ・デッド」に並ぶ代表作だと言っていい。もし「ザ・スミス」を聴いたことがないのなら、ライブ盤の「ランク」か、このCDから入ることをすすめたい。傑作である。

だからわたしは何度も聴く。そして、そのたび不快になったり当惑したりするのだから、われながら単純な人間だと思う。

好物の「ねぎタン塩」を、しばらく控えようか。

ミート・イズ・マーダー
スミス
ワーナーミュージック・ジャパン

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