加地尚武の佐倉新町電気街

「福音の少年 Good News Boy」シリーズ(徳間書店 徳間デュアル文庫)著者による電脳生活と意見。

「ゴジラ」は進化する!そして「ニッポン」も進化する。~『シン・ゴジラ』を観て。

2016年08月02日 19時12分57秒 | 音楽・映画のこと
映画『シン・ゴジラ』公式サイト

日曜日に『シン・ゴジラ』を観た。
すぐにブログに感想を書こうと思ったのだが、二日間寝かせてみた。
観た直後はテレビ版の『エヴァンゲリオン』の第14話を観たときのように異常に興奮していて、マトモな文章にならないと思ったからだ。
あ、いまもマトモじゃないね(笑)

いや~よかった~(しみじみ)

二日寝かせてこれしか出てこない。

ぼくは『エヴァンゲリオン』の二次創作がきっかけで小説家としてデビューした人間です。
最初の本はいまは潰れてしまった「ぺんぎん書房」という出版社から「福音の少年」という題名で出した。
元は「ニフティサーブ」というパソコン通信サービスのアニメ掲示板の中で連載していた「錬金術師ゲンドウ」という二次創作小説で、それをオリジナル小説として加筆修正したものだった。

出版社の方と本の宣伝について打ち合わせするときに、「PRのために庵野秀明さんと対談しますか?」と言われて「と、とんでもないです」とあわててお断りしたことを憶えている。ひょっとすると冗談だったかもしれないけど、本気だったら、それこそとんでもないことだと思った。
ぼくはアニメ史に燦然と輝く『新世紀エヴァンゲリオン』のいちファンが高じて小説らしきものを書いたにすぎない。そんな人間が庵野氏と対等に話していいわけがない、そこまでヒクツじゃないけど、それに近い感情を抱いていた。

その庵野氏がまたまたすごい作品を世に送り出した。「総監督」というのはたいてい「名義貸し」のようなもの、という先入観があるのだが、『シン・ゴジラ』はあきらかに映像作家としての庵野秀明の刻印がある作品だと思う。
それは進化を続けるゴジラの各形態のモーションであるとか、台詞であるとか、カット割りであるとか、構図であるとか、指摘すればきりがないほどだけど、これは「庵野秀明の映画です」といって差し支えないのではないか、と思う。

脚本も言うことはない。見事な脚本だと思う。
一級のエンターテイメントでありながら、優れた日本人論になっている。

「現場力」「個人よりも組織」「根回しによる合意形成」、巷間に溢れる日本人論を表層的になぞっただけじゃないか、と批判するのは簡単かもしれない。しかし、この映画に描かれた政治家たちや自衛隊員たちには、抗いがたいリアリティがある。

劇中、この新しいゴジラは急激に進化していく。だが、ニッポンもまた「ゴジラ」という最強最悪の外圧により急激に進化を遂げるのだ。それも「明治維新」や「太平洋戦争の敗戦」といった過去の歴史を上回るスピードで。

ネタばれは避けたいが、あえて「共存」という言葉を浮かびあがらせたラストもいい。
火山だらけのちっぽけな島国で日本人は「荒ぶる神」の「神威」とともに生きてきたのだ。とてもすっきりとした結論だと思う。

この文章をここまで読むような人はとうに観ていると思うが、もしまだなら、ぜひ映画館で観ることをすすめたい。

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1 コメント

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株主優待のタダだったので (横着星)
2016-09-18 16:50:45
MX4D初体験してきたですが中々興味深かったです^^。
3・11(福1)とEVAとゴジラ混ぜるとこうなるのかと終始考えながら見てました。
しかし考えてみると郷里で映画見たのは数十年前のカリ城とこれだけなので何とも貴重な体験でした^^
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