加地尚武の佐倉新町電気街

「福音の少年 Good News Boy」シリーズ(徳間書店 徳間デュアル文庫)著者による電脳生活と意見。

【えいが】父は子に。子は父に。「スーパーマン・リターンズ」

2007年01月20日 18時04分57秒 | 音楽・映画のこと
昨年の夏から映画館というものに行っていない。
田舎に住んでるので、近くの映画館まで往復で一時間半以上かかるし、いろいろあってなかなか気分が乗らなかったのだ。

で、開封していないDVDがたまっていく。あれほどゲームはするのに、ゆっくりDVDを観る時間くらいありそうなものなのに、なかなか観られなかった。

今日、子どもたちが家庭教師さんと勉強している間に、ヘッドホンをして、下のDVDの封を切って観た。
「スーパーマン・リターンズ」である。

スーパーマン リターンズ

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1978年制作のリチャード・ドナー監督、故クリストファー・リーブ主演の「スーパーマン」の続編である。わたしはこの映画が大好きだった。とても感動したので、2,3,4と続いていくうちにクソ映画になっていくのが悲しくてならなかった(2はまあマシだけど「スーパーマン4」なんか「映画秘宝」におもしろおかしく書かれて当然のバカ映画だった。3は「楽しもうという姿勢」があればおもしろい映画といえる)。

30年近く経って、名作は、ようやく納得のできる続編を得たと思う。
X-MENとX-MEN2と優れたヒーロー映画を手がけたブライアン・シンガー監督は、この初代「スーパーマン」への愛情と尊敬にあふれた続編を作ったと思う。

ストーリーも初代ファンとして期待以上のものだった。
DCコミックスの一方の雄、「バットマン・ビギンズ」がそうであったように、最近のアメリカのヒーロー映画らしく、「父と子」というのが重要なテーマになっている。
1930年代に生まれた世界最初の超人ヒーローである「スーパーマン」が下敷きにしたワイリーの古典的なSF小説「闘士」(傑作)も、父の期待と影響の大きすぎる超能力の狭間で悩む男の話だったから、もともと構造的なものかもしれない。

ロイス・レーンとの関係も、最初は(スーパーマンとおなじく)とまどったが、クライマックス~ラストまで観ると、とても感動的だった。というか、「さよなら」の言えないスーパーマンの「さよなら」から、最後の一言まで、もう、ウルウル泣きながら観た。

「さよならは言えないよなあ、カル・エル」「しかしアンタは言わなければならなかったんだよ」とか、心の中で話しかけながら観てしまう。

もう、なんだか、年寄りが健康センターで芝居観ているような(笑)。

エンディング・クレジット。
当然のようにするだろうと思っていた、あるひとに捧げられた献辞。
やっぱり泣く。年甲斐もなく泣いてしまう。


残念ながらこの「リターンズ」の続編は作られないようだ。
しかし、まあ、いい。
78年と2006年。親子のように年の離れたこの二本の映画があれば「スーパーマン」はじゅうぶんではないか。