前回、久々におんぼろカメラを持ち出したのは、やっと発見したからでした。
長年そばを通って「ステキな建物だな」と思いながら全然調べようともしなかった建物。
最近、漸く至近距離で観察したら、花模様のタイルと思っていたのが動物でした
おんぼろカメラでは綺麗に撮れないので、最初の写真はウィキから
以下は自前のピンボケ写真です。
病態生化学および遺伝学センター(入り口右側には英語のプレート)
ちょっと見慣れない単語なのでネット検索したところ日本語では病態生化学でした
正面入り口
以下、正面入り口を飾る動物や植物・・・装飾レンガと言うべきか
木の扉もステキです
横に回ったところ
向い側にはアフリカ・アジア研究所
アラビア語コースの会場
市内にある歴史的建物には、壁にウィーン市の小旗が飾られ、その下に建物を説明するプレートが取り付けられています。
ところが、この建物には小旗もプレートもありません。病理生化学および遺伝学センターのHPを見ても建物の説明はありません
そこで所在地で検索したところ色々なことが分かりました(今頃になって!!!)
この建物は、もともとウィーン大学化学研究所として1869年から1872年に建てられました。今も建設当初と同じ機能を果たしており、小旗を飾る必要がないのかも知れません。
設計者はハインリヒ・フォン・フェルステルでした
日本語ウィキには記事がないので英語ウィキを御覧ください
フェルステル設計の建物
ウィーン大学本館
ヴォティーフ教会
ウィーン応用美術館(英語)
パレー・フェルステル
ドイツ語ウィキのパレー・フェルステルには内部の写真があります
なるほど、ウィーンにはフェルステル設計の建物が沢山あります。
彼は歴史主義建築を代表する建築家のひとりで、その作品は私の知る限りネオゴシックとネオルネサンスです。
(真似と言うと聞こえが悪いので「ネオ」と称したのです)
これに対しモダニズム建築への地平を切り拓いたのがオットー・ワーグナーを代表とするユーゲントシュティルの建築家です。
つまり、モダニズムの建築家からは古臭いとされた歴史主義建築ですが、フェルステルの建築は見た目に心地良く美しいものです。
ユーゲントシュティルの古い記事
走る世界遺産
現代デザインの古典
創造と想像
歴史主義建築の古い記事
とてもお洒落な装飾と造りにはググッと来るものがあります
それにしても1872年頃の建築物が現在も存在し、建物としての機能を果たしているのは物凄い事と思います。
日本にその年代の建築物・ビル等がどの程度残っているのか
ざっとみわましても多くはない、築百年以内のビルの殆どが都市整備計画の中で建て替えを行う時代となっています
昔懐かしい建物の存在は時には風情があり街並みの景観がより美しく感じられる事もあるだろうに・・・
まぁそれでも現在の都心では、年整備計画のお陰で以前に比べると緑が増えています。
その分とてつもない高層ビル出現で圧倒されますが・・・
ロンドンで泊まった友達の住まいはビクトリア女王時代の建物で、水道なども、その時代のものだったと思います。当時から、お湯と水の蛇口があり、古臭くて、ちょっと使いにくいのですが、今でも使えます。
第二次大戦のロンドン空襲では、あまり大きな被害は無かったためか、古いものが沢山残っています。
似ているのは京都で、連合軍が空爆しなかったため、明治以降の近代建築が沢山保存されています。
私の知り合いのウィーン工科大学の先生は、古いものをどんどん捨てる日本の風潮を「地震メンタリティー」と言っていましたが、それでも古い神社仏閣は保存されていますよね。
太平洋戦争の空襲で貴重な近代建築が大量に失われましたが、それは日本の古い伝統ではないので軽視されたのかもしれません。
戦後は抜本的な都市計画による都市造りが可能なチャンスでしたが、闇雲に建てたり造ったりした感じ。
ドイツの大都市の多くも壊滅的な空襲被害を受けていますが、やっぱり伝統的な街並みが可能な限り再建されているようです。
うーむ、こういう違いはどこから来るのでしょうかね