異次元の量的緩和
日銀は昨年3月末の91.3兆円から今年6月末の166.7兆円まで長期国債の保有額を75兆円も増やした。異次元の量的緩和のために国債を大量に買い増したのだ。
一方、民間銀行、公的年金、生命保険はそれぞれ46兆円、4兆円、1兆円減らしている。国は、もはや国民が労働などで得たお金を銀行経由で借金をしているのではない。日銀に紙幣を刷ってもらって、その分で借金を賄っていることになる。
来年度も四十数兆円の赤字予算が組まれる。誰かが国債を買い増さなければならない。
日銀では現在179.8兆円(9月末)にまで国債の保有が膨らんだ。それがまだまだ大幅に増やさざるを得ないのだ。輪転機がグルグルまわり新しい紙幣が町にあふれ出ていく。
今回の「さらなる量的緩和」の本質は国の「資金繰り倒産」の回避が目的であり、「マネタイゼーション」(財政ファイナンスのこと。国の発行した国債を中央銀行が引き受けることである)そのものなのだ。
「2%の消費者物価指数の上昇を確実にする」という理由づけは、そのカムフラージュにすぎない。市場が日銀の決定を「マネタイゼーション」と認識すれば、日本売りが起きる。円、債券、株の強烈なトリプル安だ。
ハイパーインフレは想定外なのであろうか?
* * *
「喫茶店のコーヒーの値段が、飲み始めたときは1杯6千マルクだったのに、飲み終わったときには8千マルクになっていた」という話がある。1月に1個250マルクだったパンが、年末には3990億マルクになった1923年のドイツの話だ。この値上がりのすさまじさは、タクシー初乗り2キロ700円が1兆1千億円になったと換算できるほどだ。
給料も毎月上がるだろうが、パンの値段は毎時間上がる。それでは今日、明日のパンは買えたとしても、3日目以降のパンは買えなくなってしまう。このようなハイパーインフレになってしまうと穏当な政策では沈静化できないため、預金封鎖と新券発行という暴力的な方法で資金を吸収せざるを得なくなる。
タクシー初乗り1兆円になれば、1039兆円の国の借金は、実質なきに等しくなる。国の財政は再建されるが、国民生活は悲惨である。
1923年のドイツのハイパーインフレは、戦争のせいだという識者もいるがそうではない。理由は何であれ、戦争時に紙幣を刷りまくり、市中にばらまいたせいだ。
そして、日本は大震災と原発事故と高齢化と人口減少、あとオリンピック開催など、大きな財政負担を抱えて、異次元の量的緩和で紙幣を市中にばらまいている。
「異次元の量的緩和」は、大衆迎合の末の「あとは野となれ山となれ」の政策である。
伝説のトレーダー 藤巻健氏史 の一連の論評より
射程の短い株式会社方式国家経営の末の日本滅亡シナリオではないだろうか??
そして、ものの見えない日本国民はこの政策を推進する安倍、麻生政権を今度の選挙でも、又認証して、手負いのトラを野に放してしまうのだろうか??
今度の選挙の安倍、麻生にとっての大儀は、ココにありと看た。
今度の選挙で安倍が勝ったら、やりたい放題、フリーハンドを与えたことになる。
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