ゲリラ的に進められる「見えないリストラ」
今回は、「見えないリストラ」について私の考えを紹介します。リストラは通常、多くの社員に見えるものです。経営状態が悪化し、経費の削減が全社的に行われます。その状況を見つつ、希望退職制度のもと、退職者を募ります。その後、退職勧奨に進みます。
一方で、ゲリラ的に進められるリストラがあります。ごく少数の、5人前後の管理職が1人の非管理職の社員を狙い、退職に追い詰めます。多くの社員が知らない間に粛々と行われ、非管理職の社員が退職をしていきます。数週間ほどたったのち、噂になりますが、その内容は事実であるのか、わからないのです。
「見えないリストラ」を最近、取材先の労働組合や企業で耳にしました。はるか前から行われているものですが、ここ5~6年は一部の企業を中心に増えているように感じます。背景には、自分の要求水準に現実がついていかない、虚栄心の強い管理職の存在があります。
専門商社(正社員数2000人)の取材で知った「見えないリストラ」のアウトラインを説明します。この会社は30年以上前から事業部制をしいています。6つの事業部があり、それぞれの事業部は社員数が200~400人。1つの中小企業のようになっています。担当役員や本部長などが社長のような立場になり、様々な権限を握ります。その下に、10~15人の部長がいます。部長の下に、課長、そして非管理職が並ぶという構造です。
1つのポイントは、ほかの事業部への人事異動が10年以上前に比べると難しくなっていることです。人事部員によると、扱う製品や商品などが専門化しているために、10~15年という期間は1つの事業部にいないと、きちんとした仕事ができないのだそうです。異動が難しくなると、上層部が強力な権限を持つことになります。役員や本部長やそれに近い数人の部長たちのことを意味します。人数でいえば、5~6人ほどです。
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妙なヒエラルキーが出来上がる職場には要注意
この専門商社は中堅・大企業であるがゆえに、賃金などは相対的に高く、福利厚生も整っています。入社の難易度は毎
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