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黛信彦の時事ブログ

浜矩子語録(38)オバマへ、神のくせ球

2009年01月18日 | 浜矩子語録
妖艶なエコノミスト・浜矩子は、1月18日付毎日新聞“時代の風”欄に、「オバマ大統領誕生の時――「変化のひと」への神の難題」を寄稿した。

オバマ氏に、「神は、難題を押し付ける」と浜矩子は言う。
その「神のくせ球」を乗り越える4つのノウ・ハウを明かしたのが本編である。
この中で、大統領就任後日本に3つの難題を押し付けるといわれているオバマ氏に、浜矩子は貿易保護主義に陥らないよう、軽く諭している。
そして、「神様の意地悪は、常に神様の恵みでもある」とも書いている。

~・~・~ CHANGEの一言を掲げて登場したオバマ氏である。
さぞや、新しいイニシアチブの数々を打ち出して、アメリカを変えたいところだろう。
ブッシュ時代のくすんだアメリカ色を、すがすがしい希望の色に塗り替える作業にいち早く着手したいに違いない。しかし~~ 現実に彼が着手しなければならないのは、不況色がこれ以上深まらないための緊急避難措置であり、経済活動が死の色に染まりつくさないための生命維持対策だ。

神様はよくよく意地悪だ。
輝くような若大将を舞台中央に登場させながら、彼にこのような難題を押し付ける。単に難題だというだけではない。難題の性格がいかにも厄介で、いかにも後始末的である。
神様が投げかけたこのくせ球を、オバマ新大統領にしっかり打ち返してもらいたい。
くせ球を打ち返すための勘所はどこにあるのか。それは

●問題の所在を的確に見極めること
今回の問題の本質は、モノとカネの決別問題だ。金融が経済を置き去りにして暴走したのである。モノとカネのとの関係を修復し、正常化するか。ここに新大統領の最大の課題がある。

●目的と手段の一致を確保すること
オバマ氏自身も「メインストリートの繁栄なくしてウォールストリートの繁栄なし」モノとカネの二人三脚に言及している。それはいい。
そのために、空前の大経済対策を打ち出し、300万人分の雇用を創出するのだという。これもいい。
だが、そのために例えば自動車産業に手厚い保護措置を施すようなことになると、これは少々まずい。
ヒトとモノを窮地から救うという命題が、ビッグスリーのためにカネを大盤振る舞いすることにすり替わったのでは、若大将の名がすたる。

●開かれた視野を失わない
今世界は挙げて「自分さえ良ければ病」にかかりかけている。その蔓延を野放しすれば、結局は全員が破滅する。この点から目を背けて、自国の中だけをみる視野狭窄に陥るようだと、これまた若大将の輝きは色あせる。

●言葉に忠実であれ
(前項までの)3つのハードルをどうクリアしてみせてくれるか。しなやかに跳躍していくようであれば、それは間違いなく彼が目指すCHANGEのゴール達成につながっていくだろう。
ところで、重要な点がもう一つある。第4のポイントとして、自らの言葉に忠実であることを挙げたい。
勝利宣言の中で「私は常に皆さんに対して正直でありたい」といった。
いかなる困難に直面し、いかなる失敗を犯した時でも、この言葉に忠実であってもらいたい。そのような彼に、神様は最大限の祝福を与えられることだろう。

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