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黛信彦の時事ブログ

5大紙社説に見る、北核実験「お遊びにつきあえない」

2009年05月26日 | 5大紙社説
北朝鮮の二回目の核実験という暴挙を、26日付の5大紙は一斉に非難した。
各紙に共通するのは、中露の責任と中国の不甲斐なさである。
特に産経と読売は、国防についても訴えた。
また、同日販売の夕刊フジによれば、中国共産党機関紙・人民日報の傘下紙「環球時報」でさえ社説で、「北朝鮮は再び危険な遊びをするな」との社説を掲げ「お遊びにずっと付き合ってはいられない」と非難したという。

敵基地攻撃 麻生首相「法理上はできる」(朝日新聞) - goo ニュース」、との情報を批判的に報じるマスコミもあるが、わが国を脅かそうとする力に対して、被害を蒙る前に、その敵基地をたたく能力を備えるべきことは当然の発露だ。

以下は、5大紙社説の項目別概要である。
■核実験の目的・背景
●朝日:本格的な核武装国家としての存在感を高めるために核技術を向上させ、誇示したいということだろう。朝鮮戦争を最終的に終わらせ、米国との関係正常化を目指すためにも、「核」をめぐる交渉に米国を引き出すことが北朝鮮の年来の狙いだ。
●産経:核弾頭小型化技術の確立を狙ったとの観測もある。
●日経:オバマ政権の注目を集め、米朝交渉につなげたいのだろう。
●毎日:その核心は、米国との関係正常化による安全保障である。北朝鮮はオバマ政権にさらなる譲歩を期待した。しかし新政権の対北朝鮮政策やスタッフの陣容は整備が遅れ、早期の米朝直接交渉に消極的な姿勢が続いている。北朝鮮にとっては当て外れであり、最近はオバマ政権への直接的な非難を始めた。
●読売:北朝鮮は先月、安保理が弾道ミサイル発射を非難する議長声明を採択した直後、「不当千万」と逆に安保理を非難した。
さらに、安保理が北朝鮮企業3社を制裁対象にすると、「謝罪と制裁の撤回」を求め、応じなければ「核実験と大陸間弾道ミサイル発射実験」を行うと宣言した。その延長線上に、今回の核実験がある。

■国際社会への要求
●朝日:北朝鮮の無謀な行動を止められなかったことについて、中国に対する失望は深い。安保理では北朝鮮に向けて強いメッセージを出す方向で、制裁の徹底実施や追加措置などの協議に主導的な役割を担ってもらいたい。
●産経:中国とロシアは制裁の履行と強化には一貫して消極的で、国連決議の義務を十分に果たしているようには見えない。
米国は金融制裁とテロ支援国家指定の再発動を真剣に検討すべきであり、中露は世界の平和と安全を担う重大な責任を自覚し、義務を果たすよう求めたい。
●日経:北朝鮮の暴走には中国やロシアも重い責任を負う。中ロは4月のミサイル発射に対して「北朝鮮を過剰に刺激すべきではない」と主張、安保理決議の採択に反対した。その結果が核実験である。06年の安保理決議の実効性が問われるのも、実際の経済制裁に二の足を踏んできた中ロのあいまいな態度が背景にある。
●毎日:オバマ大統領は究極的な核兵器廃絶を目指す方針を示した。それならば、まず北朝鮮の核の脅威を完全除去するという具体的な目標達成に尽力してほしい。北朝鮮の核保有を小規模であれ事実上認めるような事態になれば、他の国も同様に国際ルールを無視して核開発に走る危険を排除できまい。
●読売:北朝鮮が直接対話を望むオバマ米政権の責任はきわめて大きい。核を持つ北朝鮮との正常化はあり得ないことを肝に銘じさせ、核廃棄へ向かわせるよう、毅然とした態度を貫いてもらいたい。

■日本の対応は「こうあるべき」
●朝日:日朝の直接協議で事態を動かせる可能性は、いまは残念ながら乏しい。
米中の連携を促し、韓国とともに地域の安全確保へ積極的に後押ししていきたい。
●産経:米韓などとともに国連安全保障理事会の緊急協議に力を結集し、国際社会の総意をまとめて速やかに厳しい制裁を発動すべきである。
●日経:米韓などとの連携を軸に、安保理を通じた制裁決議の早期採択を目指してほしい。
●毎日:麻生太郎首相は「断じて容認できるものではない。まずは安保理から始める」と語り、韓国の李明博大統領との電話協議では国際社会が北朝鮮に厳しく対応すべきだという認識で一致した。日米韓の連携も改めて確認した。もっともなことである。
●読売:現状では、北朝鮮が経済的に依存する中国の役割が、北朝鮮に核放棄への圧力をかけるうえできわめて重い。首相は、慎重な態度を示すと予想される中国、ロシアに積極的に働きかけるべきだ。

■わが国の国防との関係
●産経:北の核再実験は日本の防衛に重大な問題を突きつけた。長距離ミサイル発射と同様に、日米同盟の抑止力が機能不全に陥っている現実をみせつけたからだ。ミサイルと核の脅威増大への備えをどうするかこそ、国の総力をあげて取り組むべき課題である。
日本の防衛力はこれまで「専守防衛」を基本とし、攻撃能力は米軍に委ねてきた。日本は自ら報復能力を持っていないが、自衛力の一環として北の核・ミサイル施設に対する先制破壊などの抑止能力を整えるべきだ。同時に、日米同盟の強化も必要である。
●読売:核を持たない日本にとって、米軍の核抑止力こそが北朝鮮に核使用を思いとどまらせる唯一の対抗手段だ。いわゆる「核の傘」が確実に機能するよう日米同盟関係の信頼性を確保する必要がある。
MDシステムの一層の充実も欠かせない。迎撃ミサイルの着実な配備はもちろん、米国との情報共有や、相互運用性の向上など、システムの実効性を高めることが重要だ。

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