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黛信彦の時事ブログ

5大紙社説にみる党首討論、友愛では間に合わない

2009年05月28日 | 5大紙社説
麻生太郎首相と、民主党・鳩山由紀夫代表の初めての党首討論、28日付5大紙が社説で取り上げたが、朝日が「政権交代に込める理念を訴える鳩山氏と、政権担当能力を強調する麻生氏。力点の違いが見えてきた」としているなど、噛み合わなかった。

自民党・鳩山邦夫総務相が「圧倒的に麻生首相の勝ち」と言い、あの毎日新聞でさえ力不足を書かざるを得ないほどに、鳩山代表の劣勢が顕わになり、民主党・渡部恒三最高顧問は「6:4で鳩山代表の勝ち」と苦肉の発言をした。

以下、社説の要点抜粋である。
■友愛では間にあわない
●朝日:鳩山氏の持論である「友愛」には意味不明、古くさいといったイメージがつきまとっていた。それをかみ砕いて説明し、格差や貧困が深刻になっている今こそ、人々のきずなに根ざした社会づくりが求められると主張した。
これに対し、首相は「時の政権にとって重要なのは、理念や抽象論ではなく、経済危機や朝鮮半島の脅威など現実問題」と切り返した。
●日経:鳩山氏は持論の友愛社会の建設を訴えるとともに、天下りの実態などを紹介しながら「麻生政権は官僚主導」という批判に力点を置いた。首相は鳩山氏の政策の具体像がわからないと切り返し、官僚主導との批判には「公務員が誇りをもって国家に尽くせるようにするのが基本だ」などと反論した。
●毎日:鳩山氏は「人の幸せを自分の幸せと思える社会を作りたい」などと言葉を重ねたが、麻生首相からは「問題は理念、抽象論ではなく現実論だ」と切り返されるだけだった。
そこで地域のボランティアが協力して小学校の授業を進めるコミュニティースクールの事例を紹介したものの、今度は説明不足だった。
結局、多くのテーマを詰め込もうとして、いずれも消化不良に終わった印象がある。
●読売:鳩山代表が持論の「友愛社会」を持ち出したのは、「小沢氏の傀儡」との見方を払拭し新味を出す狙いからだろう。鳩山氏が「友愛」について国民の理解を得ようとするなら、首相の指摘通り、具体的な政策に即してこれを語る必要がある。
首相は、抽象論ではなく、経済危機などの「現実」にどう対応するかが最も重要だ、と切り返したが、政権を担当する身として当然のことといえよう。

■小沢問題
●朝日:「一方は秘書が逮捕され、他方はおとがめなし。これが検察官僚のやることなのか。官僚国家に歯止めをかけなきゃいけない」「反省の中から、企業・団体献金を3年後に禁止したい」と、法制化に同調を求める鳩山氏に対し、首相は「企業にも社会の一構成員としての存在意義がある。現在の法律すら守っていない疑惑があるのに、制度が悪いというのは論理のすり替えだ」と批判した。
●産経:違法献金事件をめぐって代表を辞任した小沢氏が、そのまま執行部にとどまったことを、首相は「それが説明責任の取り方か」と批判した。
これに対し、鳩山氏は自民党議員の多くも西松建設側から献金を受けていると主張した。さらに小沢氏の公設第1だけが強制捜査を受けたことをとらえ、あらためて検察批判に及んだ。しかし、小沢氏や民主党の説明責任が果たされていない状況では、首相の主張の方が説得力を持つだろう。
●日経:首相は西松建設の巨額献金事件で小沢氏の公設秘書が逮捕、起訴された事件を取り上げた。首相は「鳩山代表は十分な説明責任を果たされたのか。(小沢氏が)代表代行になったのが責任の取り方なのか」と述べ、小沢氏の進退問題を巡る民主党の対応を厳しく批判した。
鳩山氏は党の第三者委員会が小沢氏からヒアリングしたことを明らかにし「やがて報告書が出るからよく読んでもらいたい」と語った。
●毎日:自民党議員に捜査が及んでいない点など捜査当局批判を口にしたが、首相が小沢氏の問題を取り上げるのは承知していたはずだ。この問題にどう対応するか、党としてきちんと整理されていない姿も露呈することとなった。

■企業献金規制
●日経:鳩山氏は3年後に企業・団体献金を全面的に禁止する考えを示し、法改正への協力を求めたが、首相は「秘書の違反を契機に、制度が悪いというのは、論理のすり替えだと思う」と応酬した。
●毎日:民主党が企業・団体による献金とパーティー券購入を3年後に廃止する法案を今国会に提出する方針を決めた点に対して、首相は賛否は明確にせず、小沢氏の公設第1秘書が逮捕・起訴された点を指摘。「今の法律も守られていないのが問題。献金廃止は論理のすり替えだ」と反論し、小沢氏が説明責任を果たしていないとも強調した。
●読売: 民主党の企業・団体献金の禁止案については、「法律違反をして『制度が悪い』というのは論理のすり替えだ」と反論し、議論はすれ違ったままだった。

■北朝鮮核実験
●産経:鳩山氏が北朝鮮の核実験という国政上の緊急課題を取り上げたのは当然だ。だが、米国から事前に情報が伝えられたかをただし、首相が「答えられない」とするやりとりにとどまった。北の核の脅威をどうとらえ、日本の防衛体制に問題はないのか、という核心の議論に踏み込んでほしかった。

党首討論で西松問題攻撃に終始 麻生首相に政権与党総裁の矜持は無い【週刊 上杉隆】(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース

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2 コメント

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もはや どちらが首相 ? (安藤)
2009-05-29 04:09:36
麻生首相に政権与党総裁の矜持は無い

〈今日、(民主党の)政治改革推進本部というものが開かれて、岡田(克也)本部長のもとで、私どもは政治とカネの問題、確かに西松(建設の違法献金)の問題はありました。反省の中から、われわれとしては結論を出しました。企業・団体献金をパーティー券も含めて、3年後には完全に禁止をするというのが一つです。それから、いわゆる、ダミーの政治献金、政治団体からの献金。これは3年後ではなくて、今からすぐにすべて禁止をする。それから、世襲に関しても、当然、制限をする。3親等以内、同じ選挙区からは出られないことを党規で決める。このことを私たちは、三つのことをまず決めましたが、ぜひこれからですね、法案をすぐに準備をいたしますので、政治とおカネの問題に関して、自民党さん、公明党さん、与党の皆さんも、協力をして、法案の成立をはかろうじゃありませんか。国民のために〉(同産経新聞ウェブ版)

 もはやどちらが首相で、どちらが野党の党首かわからない。

 最後に、きょうの党首討論の中で、筆者のもっとも注目した発言を記しておきたい。

〈役所にだけはですよ、71億円もかけて地デジ対応のテレビを入れるっていうんでしょ。7万1000台をなんで国民の皆さま方ではなくて、役所が先に地デジ対応のテレビを入れなきゃならないんですか。エコカーにしても、なんで役所は最後でいいはずなのに、最初に1万5000台。588億円ですよ。バカにならないお金ですよ。それを、あっという間に目をつぶってハンコを押してしまう。こんなことに補正予算を使っていいんですか。補正というのは、そもそも緊急性のあるものに対して使われる予算でなければならないのに、まるで緊急性がないものに平然として使われてしまっている。この国の仕組み、やっぱり官僚任せだなあ。

 その極めつけは、役所や、あるいは独立行政法人に対する施設整備費、どのぐらいだかお分かりですか。(平成21年度)本予算で6490億円だったと思いますが、本予算でも6490億円だったのに、補正(予算案)だけで2兆8000億円ついているんですよ。なんで役所の整備のために、こんなお金があっという間につけられてしまうんですか。これはまさに官僚の官僚による官僚のための予算だといわれて、お答えできますか、皆さん。官僚の悪のり、お手盛り、焼け太り、そんな予算じゃありませんか。私たちは、だからこそこういう無駄遣いを徹底的になくすために、今日まで戦ってきたんです。あなた方が本来ならばやらなければいけないことを、野党のわれわれが協力をしてやってきたんです。そのことに対して、もっとあなた方は評価をされるべきです。ぜひ、こんな無駄遣い、一掃させようじゃありませんか。そのためにも、こんな補正予算、やめようじゃありませんか〉(同産経新聞ウェブ版)

 これは鳩山代表の言葉だ。これに対して、麻生首相は返す言葉がなかった。しかも、自ら提出した補正予算案の内容にすら触れることができなかったのである。

 国民生活のための緊急経済対策と言いながら、じつはまったくそうでなかったことが、図らずも、鳩山代表のこの指摘によって暴露されてしまったのだ。

 せっかくの党首討論であったのに、首相はいったい何を訴えたかったのだろう。自らの行なってきたこれまでの施政を振り返ることもなく、今後の日本政府の目指す方針について語ることもなかった。

 選挙目当ての詭弁を弄し、国民には無関係の野党の前代表の公設秘書を攻撃する。それが、国民の最大の関心事だと叫ぶ。

 それが、現在の日本の内閣総理大臣なのである。
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やすだ (Unknown)
2009-05-29 22:15:16
友愛とは何か。宗教であることが判りました。
どうやら皆さんがボランティア活動をすることのようです。
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