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黛信彦の時事ブログ

浜矩子語録(170) 葬儀委員長選ぶが如き代表選

2012年09月23日 | 浜矩子語録

妖艶なエコノミスト・浜矩子は前総務大臣・片山善博と共に、23日放送のTBS・時事放談に招かれた。 司会は御厨貴、TBSアナ・岡村仁美がアシスタント。 以下は番組の浜矩子語録だが、片山氏の話も興味深かったので抄録を記録させていただいたため二部構成にし、本編はその後編である。

■原発ゼロ決定 → 閣議決定見送り

(御厨) この迷走をどう見る?

(片山) 問題点を抑えて論点を整理するという生活習慣が民主党には無いんです。 「原発ゼロ」これは良いとして、その前に、どういうところでハレーションが起きるか、経済界は反対、電気料金は倍になる、原発を輸出している政策方針とどうか、(原子力協定を結んでいる)アメリカはどう考えるか、大飯再稼働との整合性などの異論反論を吸収した上で収めるという当然のプロセスが下手なんですね。 選挙があると色んな事を言う人がありますが、それが直ぐに政策形成になってしまうところに民主党の弱さがある気がします。

(浜) 右往左往病に罹っている民主党という感じです。 色んな人がいて色んな意見が出ることはある意味良いことですが、それが全て裏目に出てしまっている。 「原発ゼロ」に関していえば、こだわり不足なのではないでしょうか。 「本当にこれを やり遂げる」というのであれば、そこに多くの問題があることに気がついてくる。 本気度の足りなさが脇の甘さに自ずと表れている。 「絶対やるんだ」というのであれば最悪の事を考えた筈です。 コミットメントの力強さに欠けています。

(片山) 民主党には、「大体これならうまくいく」ということを考えるまとめ役がいない。 求心力が集まるべき重心がないので、最後は遠心力が働くという、民主党の構造的欠陥でしょうね。

■民主党代表選

(御厨) 野田さんが圧倒的勝利しました。

(片山) 葬儀委員長を誰にするか決めているという印象でした。

(御厨) 代表選で反野田勢力が色々言っています。

(浜) あんな大差で野田さんが勝利するのだったら、なんであんなにゴロゴロ(候補者が)出てきたのか腹が立ちます。 そして、その他もろもろの人たちの言っていることは将来のためのアリバイ作りのようで、自分のことしか考えていない。 自分さえ良ければ主義に陥ってしまっているということですね。 「我々国民のことを頭の片隅にでも置いておるのか?あんたたちの世界に浸っているんじゃないぞ!」ということですね。

(御厨) 代表選では「野田首相なら次の選挙は民主党から出ない」「民主党にサヨナラを告げる覚悟を決めている」と言う人もいました。

(片山) 私が(民主党政権の)閣内にいたころから言っていることですが、民主党は一つの大きなテーマに対してちゃんとした議論をしていないんです。 どこかでマニフェストが決まった、しかし皆は共感を覚えていない、というふうですね。 「党内の草の根から議論しなければいけない」と言ってきたのですがやりません。 政治的なプロセスが非常に苦手な政党です。

(御厨) 浜さんは、民主党の政権交代に期待をかけていたと思いますが、その立場から見て、一連の体たらくはどうでしょう?

(浜) この場から逃げ出したくなります。 正視に堪えない感じです。 それでも何とかなって欲しいと思っているこのけなげな思いを何とか受け止めて欲しいものだと思いますが・・・

やはり(前回代表選後の)ノーサイドが良くなかった。 ノーサイドとは要するに何でもアリということですから、それでまとまる訳はありません。 一番駄目な組織の姿、皆が勝手に偉そうなことを言っていて、それを糾合しようと努力する人もいないという、最悪な、何事も決まらない組織の姿だとおもいます。

■自民党総裁選

(御厨) 如何でしょう?

(浜) まずは顔触れに新鮮味がない。 そして野党としての体験から何を学んだか、というようなことについて、「おっ!」と思えるようなことがない。 野党の間は空白であったかのごとき自民党語録で相変わらずモノを言っている。

(御厨) いまだに長老が出てきたりしています。

(浜) 考えようがないです、今という時代を真剣に生きているとはとても思えない言葉でしか喋っていない。 やはり頭の中が古くなれば新しい言葉で話すことはできない。 新しい状況を受け止めていなければ新しい言葉で話すことはできない訳ですが、そういう事もそのまま出てきてしまっている。 今は新しい緊張感に満ちた時代状況、これをどう思うのか?政治の中にも新しい勢力がたくさん出てきている。 そういうことに対して、政治の長い時代を生きてきた人たちがどう受け止めるのかというところで、耳に聞こえて来る言葉がないですね。

(御厨) 一票の格差について

(浜) とんでもない話、 皆さん、行政・財政サービスとはなんだ?ということが分かっていないですね。 政治とは基本的にサ-ビス業でありますから、国民に対して然るべくサービスの継続性を保証できないのであれば、それは国が国民に対して契約違反を犯していることになります。 一票の格差問題、特例公債法案の問題、こういうことを処理して行くことができないということは、国民に対する契約違反であり、国民国家を支えている者として失格ということです。

(御厨) 今選挙すると橋下新党が躍進するかどうか?

(浜) 躍進してほしくない。 躍進したら今度は、わたくし土星に行きます。

(御厨) 野田首相にこれだけは言っておきたい、は?

(浜) 「民主主義の防波堤になる時が来た、身体を張れ」と言いたいですね。 政治の中枢にいる人たちが、付け込む隙を作ってしまうことを阻むことです。


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