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黛信彦の時事ブログ

社説にみる 民主党議員、100億円の不正DMに関与?

2009年06月16日 | 5大紙社説
「凛の会」(現・白山会)の違法DM事件に絡み、大阪地検特捜部は厚生労働省雇用均等・児童家庭局長の村木厚子容疑者を虚偽有印公文書作成・同行使容疑で逮捕した。
この事件では、不正を黙認した日本郵便支店長らが逮捕(略式起訴済み)され、証明書類を偽造した疑いで、厚労省係長の上村勉容疑者が逮捕されている。村木容疑者は課長時代に、この係長に対して証明書偽造を指示した疑いが持たれている。

一方、郵便法違反で起訴・再逮捕されている「凛の会」会長の倉沢邦夫容疑者はかつて民主党最高顧問・石井一氏の秘書であり、更に、会長側は民主党・牧義夫議員に24万円を献金していた。
本事件で免れた郵便料金は立件された分だけで約20億円に上り、全体では100億円に達するという。
これら不正に、「官僚主導政治からの脱却を掲げている」民主党議員の影がちらつくことは、おぞましくも恐ろしくもある。

16日付5大紙社説は現役局長の逮捕を論評したが、毎日を除き「政治案件」という活字が使われていて、朝日はさらに突っ込んだ表現で「民主党幹部の国会議員」が政治案件に絡んでいると思わせる表現をしている。

■厚労省局長逮捕―「政治案件」とは何だった
見逃せないのは、この証明書が「政治案件」として扱われていたことだ。
村木局長の上司だった当時の障害保健福祉部長は特捜部の任意の聴取に対し、民主党幹部の国会議員から「凛の会」への対応を依頼され、審査を担当する部下らに伝えたと証言したという。この民主党議員のかつての秘書だった「凛の会」会長がその後、厚労省を訪れ、担当者に面会していた。

再逮捕された係長は、異動にともなって「凛の会」の案件を引き継いだ際、前任者から「政治絡み」であると伝えられたという。
元障害保健福祉部長らの証言が事実なら、事件の構図はいよいよ深刻だ。政と官はどうかかわり合ったのか。その疑惑について、政治家側にも十分に説明する責任がある。

■産経新聞【主張】厚労省局長逮捕 全体像の解明に力尽くせ
村木容疑者も当時の部長(退職)の指示を受けたとされており、この部長には、問題の障害者団体発起人と関係のある国会議員の口利きがあったという。

この障害者団体の証明書は省内では「政治案件」として扱われていたという。政治家の口利きがあると、官僚は手続きを迅速にしたり、経過を頻繁に報告したりすることになる。だが、そうした配慮に違法行為まで含まれているとなると、浮かんでくるのは、政と官のゆがんだ関係である。
捜査当局は全体の構図を国民に明らかにするとともに、病巣をすべて摘出してほしい。
しかし最も重要なのは、政治がどのような姿勢で臨むかだ。国会では、公務員制度改革が盛んに論議され、次期衆院選で政権交代をめざす民主党は、官僚主導政治からの脱却を掲げている。
国会議員と官庁の間の不健全な関係をどのようにして是正してゆくか。癒着の構図を放置していては、国民の不信は募る一方だ。事件の全容解明に政治も意思を示さなければならない。

■日本経済新聞(社説)郵便不正を生んだ厚労省の罪の重さ
省内では証明書の発行は「議員案件」として扱われていたとされる。また、白山会の代表は「厚労省への働きかけを国会議員に頼んだ」と話していたという。きわめて重大な疑惑であり、こうした点の解明なしに捜査の着地はありえないだろう。

 障害者団体向け郵便料金割引制度は、台所事情の苦しい多くの団体の活動を支えるために設けられた福祉政策の一環だ。こともあろうに障害者福祉を推進すべき立場の厚労省幹部が、その悪用に深く関与していたという今回の容疑は同省への信頼をさらに突き崩すことになろう。

■毎日新聞(社説)厚労省局長逮捕 郵便不正の闇なお深く
厚生労働省の将来の事務次官とも嘱望された村木厚子容疑者(雇用均等・児童家庭局長)はどうしてこんな危ない橋を渡らなければならなかったのか。

当時(04年)は障害者福祉に支援費制度が導入され、サービス利用が急増したため予算不足に陥り、同省障害保健福祉部は穴埋めに奔走していた。その反省で作られた障害者自立支援法は、財源を義務的経費にして財政基盤を固める一方、障害者にも自己負担を求めた。その陰で、障害者団体をかたった郵便不正に手を貸していたとすれば言語道断ではないか。

村木局長が関与したのであればどんなメリットがあったか。部長が国会議員から依頼されたという背景には何があるのだろう。凜の会から事業継承した「白山会」は08年2月までの1年間で名義使用料として1700万円を得たというが、その使途も分からない。郵便不正の全容を解明すべく徹底した捜査を望みたい。

■読売新聞(社説)厚労省局長逮捕 政治家の関与はなかったのか
(逮捕された村木厚子)局長は、容疑を否認しているという。だが、先に逮捕された部下は「国会議員からの依頼案件」と言われて偽の文書を作成し、局長に渡したと供述している。
当時、局長は障害者自立支援法につながる政策立案に取り組んでおり、与野党の国会議員への説明などに追われていた。
その過程で政治家の働きかけがあったのかどうか。事件の全容を徹底解明しなくてはならない。

この団体の元会長は国会議員の元秘書だ。
局長が課長当時の上司だった障害保健福祉部長が、議員側から依頼され、局長に団体への対応を指示したとされている。ただし、議員側は「口利きはない」と全面否定している。
この団体の後継組織が、DM発送をいったん日本郵便に断られた後、別の民主党衆院議員の秘書が団体側に同行し、日本郵便に問い合わせたことも分かっている。
政治家の関与の有無などについて、捜査当局とは別に、厚労省、日本郵便は内部調査を急ぎ、その結果を全面的に公表すべきだ。

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