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東京目黒から山梨へ育児のためにお引越し。40代高齢出産ママの雑記帳です。

ブリヂストン美術館カイユボット展

2014年01月06日 | 徒然のこと
年末のことですが、京橋にあるブリヂストン美術館で開催されていたカイユボット展へ行ってきました。カイユボットという人を知っていたわけではないのですが、2013年夏のオランダ旅行以来、バルビゾン派や印象派に関心を持つようになっていて、「都市の印象派」カイユボットがアンテナにかかってきたというわけなのです。ブリヂストン美術館を訪れたのは平日の午後1時過ぎでしたが、チケット売り場には短めの行列ができており、隣のギフトショップには大勢のお客さんがいて、その奥の荷物用ロッカーに空きはなく、会場はたいそう込み合っているであろうことが容易に想像できました。1階のクロークルームに荷物を預け、予約していたチケットを手に、エレベーターで2階に上がり、会場に入ると、カイユボットの自画像が3点出迎えてくれました。


『自画像』1889年頃 オルセー美術館蔵

少し厳しい表情のカイユボット、40代の初めの頃だそうです。この頃は地方議員も務める地元の名士だったそうです。理性的で落ち着いた優雅な印象です。この自画像を皮切りに、カイユボットの作品約60点がテーマ別に紹介されていました。また、弟マルシャル・カイユボットの撮影による写真作品も展示されていました。


II. 室内・肖像画

主に自宅で、親しい家族や友人しか描かなかったそうですが、ピアノを弾いたり、新聞や本を読んだり、食事をしていたりといったごく平凡な日常生活を丹念に描いているところが印象的です。いろいろな視点が混ざった構図が特徴的なのだそうです。個人的には、ここに写真はありませんが、等身大の『ポール・ユゴーの肖像』は背景の水色が、刺繍をしている『マシャル・カイユボット夫人の肖像』の黒いドレスと赤いカーテンが強く印象に残りました。


『ピアノを弾く若い男』1876年 石橋財団ブリヂストン美術館蔵


『室内、読む女性』1880年 個人蔵


III. 近代都市パリの風景

近代都市パリの新しい風俗や都市風景を描いた作品が再評価されるようになっており、これまであまり有名ではなかったカイユボットにも注目が集まっているのだそうです。彼の代表作『ヨーロッパ橋』は、大げさな遠近法、近代都市らしいござっぱりとした通り、鉄橋の奥にちらほら見える近代化の印、あまり印象派らしくないタッチなどが面白いと思います。カイユボットは都市を描くときにグレーやブルーを使って洗練された風景に仕上げています。このセクションでは他に『見下ろした大通り』が印象的でした。


『ヨーロッパ橋』1876年 ジュネーヴ・プティ・パレ蔵


『建物のペンキ塗り』1877年 個人蔵


IV. イエール、ノルマンディー、プティ・ジュヌヴィリエ

少年時代に夏を過ごした別荘のあるパリ郊外のイエールや後年移り住んだプティ・ジュヌヴィリエの風景は、パリの風景を描くときとは異なり、明るく多彩な色遣いで描かれており、登場人物も生き生きとしています。個人的には『イエール川のペリソワール』と『ジュヌヴィリエの平原、黄色の丘』が大好きです。明るく元気な気持ちにさせてくれる絵だと思います。


『シルクハットをかぶったボート漕ぎ』1877-78年頃 個人蔵


『イエール川のペリソワール』1877年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵


『ジュヌヴィリエの平原、黄色の丘』1884年 メルボルン国立ヴィクトリア美術館蔵


その他、静物画や写真作品などをみて回るのにだいたい2時間くらいかかりました。