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東京目黒から山梨へ育児のためにお引越し。40代高齢出産ママの雑記帳です。

台湾料理麗郷@渋谷

2014年01月16日 | 食べ物のこと


東京にいながらにして異国情緒を味わいたいなら、渋谷麗郷がお勧めです。レンガ造りの建物に赤い看板という店構えからしてすでに雰囲気満点なのです。中国では赤は「忠実」「勇敢」「正義」などの他に「幸運」「喜び」を表すそうで、日曜日の夕方、夕食にはまだ早い時間なのに、ほぼ満席の店内は、見知らぬ者同士が相席で円卓を囲み、広い厨房では大勢の料理人が忙しそうに注文の品を作り、湯気の立ち上る様々な料理が次々とテーブルに並び、紹興酒で乾杯しながら料理を楽しむ集団がいるかと思えば、少々ご年配のご夫婦がタバコを燻らせながら名物料理のしじみをつまんでいたり、子供連れの家族は麻婆豆腐や炒飯などの定番料理を囲んで、何ともにぎやかでカオティックで口福な空気に包まれているのでした。

お店のスタッフはけっしてにこやかではありませんが、きびきびと料理を運び、空いた席を片付け、夕食の時間が近づくにつれて徐々に長くなる待ち客の列の先頭から順番に席に案内していきます。我らは20分ほど待って、二階席の円卓で、すでに食事が終わりかけているご年配のご夫婦と相席になりました。たいていの中華料理店と同様に、麗郷のメニューブックは分厚く、日本語による説明付の、中国語の料理名がずらりと並んでいます。いつものことですが、二人だけの場合、このたくさんの選択肢の中から何を選ぶかというのはけっこう骨の折れる作業で、いつも同じにならないように、野菜・肉・海鮮などバランスがよく、適切な量になるように考えて、この日もずいぶんメニューとにらめっこしてあれこれ迷った末に、とりあえず空芯菜の炒め物、豚肉のうま煮、冬瓜のスープ、ちまきをたのむことにしました。



一番初めにテーブルに運ばれたのはこちらのちまきです。甘辛く味付けされた干し海老、椎茸、豚バラの角煮などがもち米で包まれているので、少々大きめのサイズで、ランチ時だったらこれとスープで立派な食事になります。このちまきはテイクアウトも可能です。



しばらくして豚肉のうま煮と青菜炒めが運ばれてきました。空芯菜は売り切れてしまったということで、代わりに青菜炒めになったのですが、シンプルに炒めただけの野菜というのは健康的だし、にんにくを使っているのでさっぱりしすぎず十分存在感のある一品です。豚肉のうま煮は、片栗粉をまぶして下処理した豚肉がやわらかく、タケノコのしゃきしゃきした歯触りと好対照です。全体的に茶色いところにサヤエンドウの緑がアクセントになっています。



冬瓜は夏の野菜ですが、貯蔵性が高く、夏に収穫したものが冬まで持つということで冬瓜と呼ばれるそうです。冬瓜のスープは台湾人の元ルームメイトがよく作ってごちそうしてくれた料理です。彼女は豚ばら肉を厚めに切って冬瓜と一緒にスープにしていました。手間をかけて作ってくれたスープはすっきりとした透明のスープで豚ばら肉の脂が程よくきらきら光ってとてもきれいでした。アストリアのアパートの、日がよく当たるキッチンで、彼女と向かい合って食べたあのスープが今でもはっきりとまぶたに浮かびます。冬瓜スープを食べるときは、姉妹のように過ごした彼女との時間を思い出して、ちょっぴり感傷に浸ってしまいます。



わたしたちが雰囲気と料理とおしゃべりを楽しんでいる間にも、待っているお客さんの列はどんどん長くなっていきます。一通り食べ終わったときには、お腹にも時間にも余裕があったし、まだしゃべり足りなかったので、久しぶりにカフェマメヒコに行くことにしました。