ネットで注文して入手したザッパ研究本2冊。
○「HUNGRY FREAKS, DADDY
- The Recordings of FRANK ZAPPA and The Mothers Of Invention
Volume One 1959-1969」
○「STRICTLY GENTEEL
- The Recordings of Frank Zappa Volume Two 1970-1971」
スコット・パーカー(Scott Parker)という米国コネチカット州在住のザッパマニア(1971年生まれ)が書いた、ザッパ音源の年代順ディスコグラフィー。全8巻(予定)のうちの第1巻と第2巻である。商業出版ではなく自費出版されているもの。第1巻は2007年3月、第2巻は12月に出されている。
ザッパのディスコグラフィー本というと、Nobert Obermannsが80年代に出版した「ZAPPALOG」が有名だが(かつて白夜書房が日本版を出すという話もあった)、現在は入手困難。僕自身も実物を見たことがない。
また、90年代初期には、ドイツのファングループによって「Torchum Never Stops」という4巻本も出されている。(これも現物を見たことがない。)
著者パーカー氏によれば、今回のシリーズを始めるにあたって念頭に置いたのは、前述の「ZAPPALOG」とLuis Rey「LED ZEPPELIN LIVE」(ツェッペリンの現存するライヴ音源の解説本)だそうだ。第1巻のまえがきにそうある。
つまり彼は、オフィシャルリリースされたものだけでなく、ブートレグLP&CD、TV出演やコンサートの記録映像、そしてマニア間で流通している非公式ライヴ音源まで含めたアイテムを年代順にリストアップし、解説を加えようとしているのだ。
その成果たるや、第1巻は1959年から1969年までで337ページ。第2巻は1970年と1971年の2年間だけが対象なのに、335ページというボリューム。各巻の約半分を「THE LIVE TAPES」と題された非公式ライヴ音源のパートが占めている。しかも解説するだけではなく、ザッパによるMCの書き起こしまでやってあるのだ。
ブートレグの項でも、ジャケットに記載してある曲目を事実に沿って訂正し、その旨を併記してある。単純かもしれないが、かなり根気のいる作業。
この情熱と執念はいったいどこから出てくるのだろう。このやりかたでちゃんと全8巻を完成させられるのか心配になってくる。
第1巻に目次やノンブルがなかったり(2巻では改善されている)、印刷がインクジェットプリンタレベルだったりして、いかにも自費出版だなあと感じる部分もあるけれど、ザッパの音楽を愛する人間にはたまらない本でしょう。
実際、この本が届いてからというもの、ページをあちこちと繰りながら、持っているザッパ音源を聴きかえすのが楽しくてしょうがない。
たとえば、自分の持っているブートレグの解説ページを探しだして、いつの演奏なのかの情報を得、「THE LIVE TAPES」の章で該当音源の項を探し出す。そしてそこに書いてある記事やザッパのMC書き起こしを読みながら音源を楽しむ、といった具合。
もちろん英語で書かれているわけだが、比較的平易な文章で読みやすい。
こういう本を待っていたのだ。ああ第3巻が待ち遠しいぞ。
さて、入手方法。自費出版なのでamazon等では取り扱っていないが、著者が自分のサイトで直販しているのでそこで注文すればよい。支払はPayPalだからクレジットカード使用可。
値段は各30ドルで、日本からだと送料が1巻は16ドル、2巻は20ドルかかる。2冊買うと日本円で1万を越してしまうから、その点は自分のふところと相談が必要。
著者サイトには内容見本も掲載されているので、それを見て悩むべし。(自分もけっこう悩みました。)
ちなみに第1巻は初版を売り切って増刷分が購入可、2巻は初版250部をまだ売り切っていないようだ。
なお僕の場合、年末年始をはさんだこともあってか、注文してから本が到着するまでに約1か月かかりました。あせらず気長に待ちましょう。
おまけ。「Peaches En Regalia」(1969)PV。
※2008/05/12追記
1巻の改訂版が米amazonで販売されている。このエントリを参照のこと。
ああ、この感覚、すごくよくわかるような気がします。Andyさん、Zappa沼にはまって、溺れてしまわないでくださいね(笑)。
私もいずれ余裕ができたら入手したいと思います。
これからザッパ音源について語るときには、パーカー本がベースになるかもしれません。自分的にも世間的にも。
タイコウチさんもこの沼に一緒にはまりましょう、ぜひ。