○中山康樹「ビートルズの謎」(講談社現代新書)(2008)
「マイルスを聴け!」で有名な中山康樹氏の本は最近やたらとリリースされているので(「氷だけで禁煙できた!」なんて本まで書いてる)、少々食傷気味になっていたのだが、これはひさびさに読んでみたくなって入手した一冊。「定説」となっている<ビートルズ伝説>を検証しなおした本だ。
内容は以下のとおり。
第1章 レイモンド・ジョーンズは実在したか 【コラム1】《マイ・ボニー》が投げかける疑問 【コラム2】世紀のホラ吹きドラマーの嘘と真実 【コラム3】カメラマンは見た 【コラム4】『ヘルプ』ジャケットの謎解き 第2章 シタールはどこからやってきたのか 第3章 『ラバー・ソウル』vs『ペット・サウンズ』伝説の死角を検証する 【コラム5】《涙の乗車券》の謎その1:ビートルズ史から消えた女性 【コラム6】《涙の乗車券》の謎その2:12弦エレキ・ギターの魔法 第4章 "ブッチャー・カヴァー"回収騒動の真相 第5章 『リヴォルヴァー』はどうして"回転式連発銃"なのか 【コラム7】『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のジャケットにまつわる素朴な疑問 第6章 『ホワイト・アルバム』限定番号は世紀のペテンだった!? 【コラム8】スリー・ヴァージンズ? 【コラム9】なぜ《レット・イット・ビー》はビートルズよりもジャズ・ミュージシャンのヴァージョンが先行発売されたのか 第7章 映画『レット・イット・ビー』を巡る謎と推測 第8章 ビートルズ解散劇の舞台裏 |
「最新の証言や資料によって定説を検証する」といっても、読む側がその「定説」を知らないとまったくおもしろくもなんともないわけで、そういう意味でマニアックな本ではある。
しかし同時に、ほんとにハードコアなビートルマニアは、ここに書いてある「新事実」についても知っているはずなのだ。というのは、中山氏は公刊されたビートルズ関連本や雑誌などをソースに(自らの推察をまじえて)この本を書いているので。独自に関係者に取材はしていない。
だからこの本を十分に楽しむには、初心者でもなくハードコアマニアでもない、その中間のビートルマニアである必要がある。(て、あたりまえか。新書として出版されてんだから。ハードコアマニア向けだったら商売にならんよね。)
え、お前はどうだったかって?
はい。お察しのとおり、十分「新事実」を満喫しましたよ。
ブライアン・エプスタインにビートルズを教えた(とされる)レイモンド・ジョーンズが実在していて、写真まで公表されていることも、著名なセッションドラマーであるバーナード・パーディが、初期ビートルズの音源にドラムをオーヴァーダビングしたと言い張っていることも、「涙の乗車券」のイントロが、ジャッキー・デ・シャノンが書いた「ウォーク・イン・ザ・ルーム」を下敷きにしていることも、「ブッチャー・カヴァー」より先に「トランク・カヴァー」が作られていたことも知らなかったんだから。
そして「スリー・ヴァージンズ」! これにはマジびっくりした。いったい誰なんだあれは。
というわけで、ビートルマニアの自覚がある人はとりあえず読んでおいたほうがいいかも。自分のスキルを確認するために。
「I've Just Seen A Face」。この曲がアメリカ盤「ラバー・ソウル」の1曲目だったことがブライアン・ウィルソン(と「ペット・サウンズ」)に与えた影響については第3章に。
ニックネームの通り、ビートルズ大好き人間です。(ファンクラブ歴26年)
そんな私ですが、彼らについてはまだまだ知らないことは多い!
というわけで、とりあえず、ビートルズがメジャー・デビュー後、活動していた1962~1970年の8年間を、日記・記録としてまとめてみました。自分の勉強も兼ねて、です。
それが今回ご紹介するメールマガジン『Everyday Beatles』です。
この期間のビートルズやこの期間の世界の情勢なども盛り込んだ内容となっています。
もしご興味をもたれましたら、ぜひ一度ご登録をお願いします。
http://www.mag2.com/m/0000280826.html
それでは、お互いに、今後ともビートルズを愛してまいりましょう。
失礼いたしました。
彼がビートルズのレコーディングで叩いたと主張していること自体は、有名といえば有名な話。
信憑性は定かでなし、だと思っています。
ただ、ビートルズを含め当時のグループのレコーディングにセッション・メンが参加していたのが普通です。
キャプテン・ビーフハートだってSafe As Milk なんかはハリウッドのセッション・メンがかなりやっていると思っています。
このセッション・メンの仕事をきちんと最初から明らかにしてのは、ザッパでFreak Out!にはちゃんとみんなの名前を書いてあるわけです。
はじめまして。毎日のメルマガ発行、たいへんですね。私自身はメルマガという形式があまり得意でないので(登録しても読まないのです)、ブログの方を拝見させていただくことにします。すみません。
>nk24mdwstさん
おっしゃるとおりスティーリー・ダンなどの印象が強くて、バーナード・パーディは70年代の人だと思っておりました。60年代から活躍している人だったんですね。
なお、この本では、パーディ氏がドラムをオーヴァーダビングしたのは、トニー・シェリダンのバックをビートルズが務めたハンブルグ音源の4曲だけと結論付けています。
ビートルズのEMI音源で、ビートルズがクレジットのないままセッションマンを使った例ってありましたっけ。管楽器や鍵盤楽器などはクレジットがありますし…。
今は解明されているのかもしれませんが、ツアーで海外にいる間にキャント・バイ・ミー・ラヴにハイハットを重ねてる、ってのもありましたね。
中山本は趣味に合わないのですが買ってみようと思います。
よろしければどうぞ。よく知っているようでその実知らないことってたくさんあるんだなあ、と思いましたよ。
>zarankさん
おおそうですか。録音関係者からそういう話が出るってことは、実際にあったのかなあ。
しかし当時のイギリスで黒人セッションドラマーっていうのは考えにくいので、アメリカでの話でしょうか。
この本はデータ中心に展開されるので、中山本の中ではあの独特の自己主張が少ない方には思えました。
ビートルズはセッション・メンをほとんど使っていない例外的存在だったと思います。
だから、逆に、パーディはホラっぽいのです。
テンポは「青空」の方がゆっくりですけど。元ネタかな?
http://jp.youtube.com/watch?v=yXrj2DyJhlQ
みなさんよーく聞けば初期にしてはあり得ないくらいに上手な演奏に気づきませんか?
ビートルズを神格化しすぎているような気がします。
もちろん自作自演がウリですので
それを強調するような売り方で成功していますが。
特に初期はのリンゴとそうでないドラマーの違いがわかってすさまじいですね。ギターソロも同様でありましょう。