コロナ禍のもとで、いかに私たちの日常生活を維持していくか、これは難しい課題です。むさしの連歌会では、ここへきて新たな取り組みを始めました。実際に集まって詠む連歌会と、インターネットで詠み継ぐ連歌会の組合せ、いわば「ハイブリッド型」の連歌会です。
むさしの連歌会が今年の4月から「リモート連歌会」を開催していることは、既にお知らせしたとおりです。毎月2回の定例開催日の決められた時間帯に、参加者全員がパソコンやスマホに向かって、メールの「全員に返信」機能を使い情報を共有しながら付けていく方法です。そして、このやり方にも徐々に習熟、11月までに13回開催して、ほぼ4巻を詠み上げました。
しかし、これだけで満足しないのが、連歌の愛好者です。「やっぱり、一緒に顔を見ながら詠みたいよう!」、そうした声が高まってきました。ですが一方では、基礎疾患をかかえている人もいますし、家族に高齢者がいる人、連歌会の会場まで電車を乗り継いで来なければならない人もいます。情熱は同じでも、事情はさまざま。そこで考えたのが「ハイブリッド型」の連歌会です。
まずは、毎月2回の開催日に会場へ来ることができる人が、実際に顔合わせして詠めるだけの句を詠む。残りは、メールによる「文音(ぶんいん)連歌」の形式で、一人ずつ詠んでは次の人に回していくというやり方です。この間、発句は、むさしの連歌会伝統の「発句コンテスト」で決めていきます。ただし、これも今はリモート。会員全員からインターネットメールで発句を募り、匿名投票で選びます。立場は違っても、全員で一つの巻を詠み上げていくという気持ちに変わりはありません。この方式を通して巻き上げたのが、第64巻の賦何草連歌です。
このように色々な形で連歌を楽しむことができれば、コロナなどには負けません。感染状況がどのように推移しても、何れかの方式で連歌を詠み続けることができると思います。戦国の世も生き抜いてきた連歌、これを愛する連衆がいる限り、疫病程度でその灯が消えるはずはないのです。
でも、やっぱり皆で集まって、花の下、ゆったりと連歌をよみたいな。他の連歌会とも交流したいな。ワクチンや治療法が確立して、早くそうした世の中になって欲しいと願っています。
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