むらぎものロココ

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ジョン・タヴァナー

2005-06-17 02:01:40 | 音楽史
gimellcdgim004John Taverner
Missa Gloria Tibi Trinitas

Peter Phillips
The Tallis Scholars

ルネサンス音楽はダンスタブルから始まったにも関わらず、イギリスは1455年から1485年までの間、いわゆる「ばら戦争」の内戦状態にあり、音楽の発展は著しく停滞してしまったが、チューダー朝の成立によって戦争が終結すると状況は大きく変わり、貿易や工業が急速に発展し、国力が充実してきた。ヘンリー8世の治世にはイタリアから雇われた宮廷音楽家が60人を超え、16世紀半ばにはイギリスの音楽文化は頂点に達する。

ジョン・タヴァナー(1490/5-1545)はダンスタブルとタリス(1505-1585)の間にあって、極めて重要な音楽家である。彼はオルガニストでもあった。1526年にオックスフォードのカーディナル・カレッジの音楽監督になったが、異端者として投獄されてしまう。すぐに釈放されたようだが、1530年にはオックスフォードを去り、以後は音楽を捨てたと言われている。
「ミサ・グローリア・ティビ・トリニタス」は宗教改革前のイギリス・カトリック音楽の典型的なスタイルで、重唱部分とフルコーラス部分とのコントラスト、拡張されたメリスマなどが特徴である。この曲のベネディクトスの後半である「イン・ノミネ・ドミニ」の部分は、独立したかたちで独奏や器楽合奏用として多くの音楽家によって編曲されることとなった。