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オーランド・ギボンズ

2005-06-20 23:26:00 | 音楽史
gibbonsORLANDO GIBBONS
Tudor Church Music
 
Philip Ledger
The Choir of King's College, Cambridge

オーランド・ギボンズ(1583-1625)は、オックスフォードに生まれた。音楽一家という環境で育ち、十代前半にはキングス・カレッジの合唱隊に入った。1606年に王室礼拝堂のオルガニストになり、ジェームズI世のプライベートな鍵盤奏者として活動した。1622年にはオックスフォードから音楽博士の称号をもらい、ウェストミンスター寺院のオルガニストとなり、音楽家として最高の名誉を得たものの、1625年、若くしてカンタベリーで死去した。

タリスやバードがときに非合法的な活動をしてまで、カトリックの信仰を捨てなかったのに対し、ギボンズの生涯は英国国教会とともにあった。宗教音楽の分野ではカトリックのミサ曲に相当するサーヴィス、モテトゥスに相当するフル・アンセム、そして独唱と合唱が交替であらわれ、オルガンや弦楽器の伴奏がなされるヴァース・アンセムを作曲し、世俗音楽の分野では、マドリガル、そして器楽合奏曲や鍵盤曲などをつくった。オルガニストとして活躍した彼は「最良の指」と讃えられるほどで、当時流行していたパヴァーヌやアルマンドといった舞曲を取り入れた楽曲やファンタジアなどは、大変な人気だったという。

ギボンズはグレン・グールドが愛した音楽家で、グールドはギボンズとバードの楽曲をグランド・ピアノで演奏したアルバムを残していて、その対位法的書法においてチューダー朝の音楽家たちをバッハの先達としてとらえている。グールドはギボンズの本領は声楽曲にあったとしているが、フィリップ・レッジャーのアルバムはギボンズの声楽曲の魅力をあますところなく示している。