むらぎものロココ

見たもの、聴いたもの、読んだものの記録

Quinka, with a Yawn

2005-02-12 01:28:31 | 音楽その他
quinkaQY7
 
 

Quinka, with a Yawn 
 
たまに聴きたくなるアルバムで、ここ2、3日は眠る前に聴いている。
Quinka, with a Yawn は元エスレフノックの青木美智子のソロ・ユニット。この覚えにくいユニット名はヤマハのモバイル・シーケンサーQY70に由来するもので、imamuアルバム・ジャケットにもQY70のキー部分のイラストが描かれている。このジャケットは紙を折り返しただけというもので、CDの保護としては甚だこころもとないが、ユニークで面白い。デザインを手がけたのはDEVILROBOTSのキタイシンイチロウ。この二人はHASIBAMIというユニットとしてTシャツのデザインなどもしている。
エスレフノックは基本的にはギター・ポップであり、ラストアルバムになった「yes」ではそれまでと違った面を打ち出したものの、いずれにしても Quinka, with a Yawn の音楽はエスレフノックのフォーマットではできないものだ。サウンド的にはキーボードが主体となり、もともと唯一無比であった彼女の歌声は表現の幅を増し、微妙な感情や内省的な歌の世界を表現できるものとなった。とりわけこのアルバムの最後の曲である「ナポリ」は、幼稚園で習う「おべんとうの歌」のようなメロディーから始まりながらもまるでビーチ・ボーイズの「サーフズ・アップ」のように怒涛の展開を見せる名曲で、最初はこの曲を無性に聴きたくなるということだったのだが、今ではアルバムに収録された曲すべてが好きになった。



フランソワーズ・アルディと散乱する紙くず

2005-01-29 23:30:44 | 音楽その他
hardyLes Annees Vogue
Francoise Hardy Best Selection 
 
 
Francoise Hardy



このアルバムは「男の子女の子」でデビューした1962年から67年までのヴォーグ・レーベルに残した音源からセレクトされたベスト盤。60年代のフランスでは従来のシャンソンにロックンロールをかけあわせた音楽、いわゆる「イエイエ」が流行したが、アルディも最初はイエイエを歌うアイドル歌手としてスタートした。彼女はブリジット・バルドーやフランス・ギャルとは違った、アンニュイで中性的な魅力が持ち味で、自分で曲作りもするアーティスティックな面も備えていた。hardy00
70年代に入るとアイドルから脱皮し、シンガー・ソングライターとしてより充実した音楽活動をするようになるが、フォトジェニックなルックスに加えて大人の女としてのカッコよさを体現するようになっていく。例えば「私生活」というアルバムの裏ジャケのように、紙くずが散乱し、酒のビンが置かれた部屋というやさぐれたシチュエーションであってもギターを抱えている後姿がとてもサマになっている。
ango1このようなやさぐれたシチュエーションはその昔の日本においては原稿用紙を前に格闘する、やさぐれを通り越した生き様のすごみを見せつける文士にのみ許された領域であった。この林忠彦が撮影した坂口安吾の写真はそういう文士のイメージを決定づけたものだろう。
minercところが、この領域をポップに侵してしまったのが嶺川貴子で、「roomic cube」のジャケットでの紙くずの散乱した部屋はやさぐれたシチュエーションではもはやなく、アルディへのオマージュであることを示す記号でしかない。だから彼女がギンガムチェックのシャツを着ていたとしても別に違和感はない。それは様々なノイズ、調子はずれの音、そして時に絶望的なまでの破壊的なサウンドを繰り広げながら、あくまでもロリータ・ポップであるアルバムのイメージにマッチしている。
散乱する紙くずは、かきむしられてぐしゃぐしゃになった髪の毛、酒や煙草のにおい、眠らずに迎えた太陽のまぶしさとともに、創作する過程における生みの苦しみを表わすものだったはずだが、それはもう遠い昔のこと。



SMILE(too much)Romantic

2004-12-22 02:14:54 | 音楽その他
-古きものを打砕き
砕け散った破片を集めてつぎはぎの家を作る、
これなら人間にも出来ぬことはない。
籠や手桶をぶらさげて、石の上に石を積み、
滴に滴を加えていって、
それを人間は芸術と言い学問と呼んでいる。
神は無から創造する、だが俺たちは廃墟から創造する。
俺たちがなんであるか、俺たちに何が出来るかを知る前に、
俺たちはまずわが身を打砕かなくてはならないのだ。
-恐るべき運命よな。-がそれも止むを得ぬ。
(クリスティアン・ディートリッヒ・グラッベ「ドン・ジュアンとファウスト」現代思潮社)

Brian Wilson  SMILE

至高のポップ・ミュージックというファンタスム

そのシミュラクルとしての「スマイル」
smiley smile, simile smile

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