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メジナ虫症: dracunculiasis (Guinea worm disease)

2010-12-02 | Helminth
メジナ虫症: dracunculiasis (Guinea worm disease)

疫学:1986年にWorld Health Assemblyがメジナ虫症の根絶を提唱、その時点で1億2000万人に感染のリスクがあり、20か国に推定350万人の感染者がいたが撲滅運動により現在は減少している

原因:Dracunculus medinensisによる感染

感染理由:幼虫に汚染された生水の飲水

流行国:スーダン2733件、ガーナ242件、マリ186件、エチオピア24件 (2009年症例報告数)
撲滅宣言できていないかつての流行国:ブルキナファソ、チャド、コートジボワール、ケニア、ナイジェリア、トーゴ(3年連続で報告がなければ撲滅)

潜伏期間:汗腺3か月後に交配、オスはその後死亡、メスは8-10か月かけて結合組織の中を移動(主に下肢だが、体表のどこにでも移動する)

症状:幼虫の移動中に近傍の関節痛が出現することあり
皮膚を貫通して出てくる数日前から水疱状の盛り上がり、灼熱感や痒みを自覚する
患部が水と接触がある時に幼虫が皮膚外部に排出される
排出後の二次感染や潰瘍化が問題になることがある

診断:皮膚に出現するメスの虫体の確認、免疫血清診断の臨床的意義は低い
好酸球増多はよく観察され、体内で死んだ虫体が石灰化して画像所見で指摘されることがある

治療薬:なし
治療方法:伝統的に皮膚から出てきた虫を棒に縛り付けて体内に戻らないようにして、徐々に排出を待つ方法が取られる(虫体を破壊しないように)
患部を清潔に保ち、抗菌薬を用いて二次感染を予防、破傷風ワクチンの接種が推奨される
可能であれば外科的に摘出されることもある

予防薬:なし
予防方法:水に関する設備の拡充、安全な飲水の確保、飲水を煮沸・濾過(布やポリエステルの生地)

References:
CDC 2010. Progress Toward Global Eradication of Dracunculiasis
Saunders Ltd.; 22版. Manson's Tropical Diseases: Expert Consult Basic

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