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WHO World Malaria Report 2013

2013-12-21 | Malaria

Malaria Fact Sheet on Dec 2013

要点
2012年には、推計で62万7,000人(47万3,000人-78万9,000人)がマラリアで死亡し、そのほとんどがアフリカでの小児。
2013年12月に公表された最近の最新によれば、2012年のマラリア患者数は、約2億700万人(1億3,500万人-2億8,700万人)で、推計62万7,000人(47万3,000人-78万9,000人)が死亡した。
マラリアによる死亡者は、2000年以降、世界で45%減少し、アフリカでは49%減少した。
死亡者のほとんどはアフリカに住む小児で、アフリカでは1分に1人の小児がマラリアで死亡している。
アフリカの小児におけるマラリアの死亡率は、2000年以降、54%減少したと推計されている。

薬剤耐性
近年、アルテミシニンに対する耐性が大メコン圏のカンボジア、ミャンマー、タイ、ベトナムの4か国で報告されている。
薬剤耐性が発生及び拡大の要因として、経口アルテミシニン単剤療法の使用が重要な要因であると考えられている。
WHOは、2011年にアルテミシニン耐性抑制計画(GPARC)を公表。

排除
2015年までにマラリアの感染者数を2000年よりも75%減少させる目標が世界保健総会で採択されており。、52か国は順調に計画が進んでいる。
近年では、2007年にアラブ首長国連邦、2010年にモロッコとトルクメニスタン、2011年にアルメニアの4か国が、WHOから排除認定を受けた。

ワクチン
RTS,S/AS01ワクチンが、アフリカの7か国で大規模臨床試験の評価中。
このワクチンの使用に関するWHOの推奨は、大規模臨床試験の最終結果により決定される。
最終結果は2014年後半にまとまる予定であり、既存のマラリアを制御する方法に加えて、このワクチンを使用するかどうかについての推奨は2015年後半に決定される予定。

2012 World Malaria Report 

2011年に104のマラリア流行国から情報を取得
99か国でマラリア感染を認めた

2010年には2億1900万人(1億5400万-2億8900万人)のマラリア感染と66万人の死亡(21-97.1万人)が報告され、90%の死亡がアフリカで起こっている
2000年から2010年にかけてマラリア死亡率は26%減少、特にアフリカでは33%減少し、110万人の死亡を回避できた。

資金
過去8年間において、マラリア対策のための国際資金は急激に増加、2011年には推定23.3億米ドルが対策資金として利用できた。一方で適切な対策には2020年までに毎年52億米ドルの資金が必要とされる。

流行国
貧困との関連疾患であり、全体の症例の80%を占める17か国の流行国の改善が必要。特に6つの高度マラリア流行国であるナイジェリア、コンゴ民主共和国、タンザニア、ウガンダ、モザンビーク、コートジボワールでは、1億人(47%)の症例が報告されている。

東南アジアはアフリカに次いでマラリアが多い地域であり、インドが2400万人と最も症例が多く、次いでインドネシア、ミャンマーで多い。

マラリアを2015年までに2000年を基準に75%減少させる目標達成段階に50か国があるが、それらの国は全体の症例の3% (700万人)に過ぎない。

現在のところ、調査によって全体推定患者数の約10%が報告されているに過ぎない。41カ国では調査システムの不備により信頼できる評価を行うことができない。

World Malaria Report 2012からは、国ごとのマラリア症例及び死亡数を提示し、2013年12月に情報を更新する。

介入
LLINsへのuniversal accessを達成するために、7億8000万人がサハラ砂漠以南においてLLINsを必要とし、1億5000万帳の蚊帳が毎年必要となる。

2011年には、マラリア感染リスクのある人口の5%に当たる1億5300万人がIRSによって予防された。アフリカにおいては、11%に当たる7700万人がIRSを受けた。

2005年には1100万回分、2010年には1億8200万回分、2011年には、2億7800万回分のACTが供給された。

薬剤・殺虫剤の耐性
抗マラリア薬の耐性はマラリアをコントロールするために大きな問題となる。アルテミシニン耐性の熱帯熱マラリアがカンボジア、ミャンマー、タイ、ベトナムの4カ国で報告されている。耐性マラリアを広げないための対策が緊急で必要とされている。1つ以上の殺虫剤に胎勢を示す蚊は64カ国で確認されている。2012年3月にWHOはGlobal Planを公開し、大きな5つの方針によって殺虫剤耐性の脅威に対処することを勧めている。

マラリアは2010年の現在も重要な熱帯感染症の1つ
- 世界人口の約半数がマラリア罹患のリスク
- 毎年2億5千万人がマラリアに罹患
- 毎年86万人がマラリアにより死亡
- 死亡症例の約85%アフリカに住む小児
[Malaria World Report 2009]

Malaria World Report 2010によると
2009年にはマラリア症例数は2億2500万人、死亡数は78万1千人。

Malaria World Report 2011
106カ国のマラリア流行国から2010年のデータを収集。
結果、流行地域は99カ国。
マラリア対策基金は増加を続け2011年には20億ドル。
サハラ砂漠以南に2000年に3%だったITN普及率は2011年には50%まで上昇した。
2010年の症例報告数は2億1600万人で症例の約81%がアフリカ。マラリアによる死亡報告は65万5千人で死亡の91%がアフリカ、86%が5歳以下の子供。
マラリアの症例数は2000年から17%減少、死亡率は25%減少(アフリカでは33%減少)している。
アルテミシニンの耐性報告は東南アジアで増加している。

三日熱マラリア感染は全体の約40% [Guidelines for the treatment of malaria, second edition; WHO, 2010]

 


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