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感染症の集団発生等の報告基準

2013-12-21 | 感染症内科 概論

社会福祉施設等における感染症等発生時に係る報告について

1. 社会福祉施設等においては、職員が利用者の健康管理上、感染症や食中毒を疑ったときは、速やかに施設長に報告する体制を整えるとともに、施設長は必要な指示を行うこと。

2. 社会福祉施設等の医師及び看護職員は、感染症若しくは食中毒の発生又はそれが疑われる状況が生じたときは、施設内において速やかな対応を行わなければならないこと。また、社会福祉施設等の医師、看護職員その他の職員は、有症者の状態に応じ、協力病院を始めとする地域の医療機関等との連携を図るなど適切な措置を講ずること。

3. 社会福祉施設等においては、感染症若しくは食中毒の発生又はそれが疑われる状況が生じたときの有症者の状況やそれぞれに講じた措置等を記録すること。

4. 社会福祉施設等の施設長は、次のア、イ又はウの場合は、市町村等の社会福祉施設等主管部局に迅速に、感染症又は食中毒が疑われる者等の人数、症状、対応状況等を報告するとともに、併せて保健所に報告し、指示を求めるなどの措置を講ずること。

ア 同一の感染症若しくは食中毒による又はそれらによると疑われる死亡者又は重篤患者が1週間内に2名以上発生した場合 
イ 同一の感染症若しくは食中毒の患者又はそれらが疑われる者が10名以上又は全利用者の半数以上発生した場合 
ウ ア及びイに該当しない場合であっても、通常の発生動向を上回る感染症等の発生が疑われ、特に施設長が報告を必要と認めた場合

5.4の報告を行った社会福祉施設等においては、その原因の究明に資するため、当該患者の診察医等と連携の上、血液、便、吐物等の検体を確保するよう努めること。 

6.4の報告を受けた保健所においては、必要に応じて感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)第15条に基づく積極的疫学調査又は食品衛生法(昭和22年法律第233号)第58条に基づく調査若しくは感染症若しくは食中毒のまん延を防止するために必要な衛生上の指導を行うとともに、都道府県等を通じて、その結果を厚生労働省に報告すること。 

7.4の報告を受けた市町村等の社会福祉施設等主管部局と保健所は、当該社会福祉施設等に関する情報交換を行うこと。

8.社会福祉施設等においては、日頃から、感染症又は食中毒の発生又はまん延を防止する観点から、職員の健康管理を徹底し、職員や来訪者の健康 状態によっては利用者との接触を制限する等の措置を講ずるとともに、職員及び利用者に対して手洗いやうがいを励行するなど衛生教育の徹底を図ること。また、年1回以上、職員を対象として衛生管理に関する研修を行うこと。

9.なお、医師が、感染症法、結核予防法(昭和26年法律第96号)又は食品衛生法の届出基準に該当する患者又はその疑いのある者を診断した場合には、これらの法律に基づき保健所等への届出を行う必要があるので、留意すること。

 

医療機関等における院内感染対策について(アウトブレイク時の対応) 

  • 同一医療機関内又は同一病棟内で同一菌種(ここでは、原因微生物が多剤耐性菌によるものを想定。以下同じ。)による感染症の集積が見られ、疫学的にアウトブレイクが疑われると判断した場合、当該医療 機関は院内感染対策委員会又は感染制御チームによる会議を開催し、1週間以内を目安にアウトブレイクに対する院内感染対策を策定かつ実施すること。 
  • アウトブレイクを疑う基準としては、一例目の発見から4週間以内に、同一病棟において新規に同一菌種による感染症の発病症例(以下の 4菌種は保菌者を含む:バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)、バンコマイシン耐性腸球 菌(VRE)、多剤耐性 アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii))が計3例以上特定された場合 、あるいは、同一機関内で同一菌株と思われる感染症の発病症例(抗菌薬感受性パターンが類似した症例等)(上記の4菌種は保菌者を含む)が計3例以上特定された場合を基本とすること。
  • アウトブレイクに対する感染対策を実施した後、新たな感染症の発病症例(上記の4菌種は保菌者を含む)を認めた場合、院内感染対策に不備がある可能性が有ると判断し、速やかに通常時から協力関係にある地域の ネットワークに参加する医療機関等の専門家に感染拡大の防止に向けた支援を依頼すること。 
  • 医療機関内での院内感染対策を講じた後、同一医療機関内で同一菌種による感染症の発病症例(上記の4菌種は保菌者を含む )が多 数にのぼる場合(目安として10名以上となった場合)または当該院内感染事案との因果関係が否定できない死亡者が確認された場合においては、管轄する保健所に速やかに報告すること。また、このような場合に至らない時点においても、医療機関の判断の下、必要に応じて保健所に連絡・相談することが望ましい こと。 
  • 報告を受けた保健所は、当該院内感染発生事案に対する医療機関の対応が、事案発生当初の計画どおりに実施され効果を上げているか、また地域のネットワークに参加する医療機関等の専門家による支援が順調に進められているか、一定期間、定期的に確認し、必要に応じて 指導及び助言を行うこと。その際、医療機関等の専門家の判断も参考にすることが望ましいこと。 
  • 保健所は、医療機関からの報告を受けた後、都道府県や政令市等と緊密に連携をとること。
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