蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

東京~千葉へ①

2014年04月01日 13時36分19秒 | 日記
3/28~3/31までの四日間、東京&千葉へ。

初日は、新幹線で東京へ。
ここ3年ほど、上京する時はいつも高速バスを使用。
経費節約!

今回は、長男からバレエの発表会に招かれ
新幹線や宿泊費用も出してくると言うので
甘えさせてもらうことにした。

当初は、この発表会だけ鑑賞するつもりだったが
公演も一段落し、ちょうど時間的に余裕もある時期なので
劇団員に相談して、実家にも帰省させてもらうことにした。

東京駅で妹と合流して、両国のシアターX(カイ)へ。

東京に行くなら、一本ぐらい舞台を観たいなぁ…
と思い、事前にK氏や東京在住の舞台人Mさんに連絡をして
お勧めの舞台を伺ったところ
お二人から

 勅使川原三郎さんのダンス

を薦められた。

勅使川原三郎さんは、コンテポラリーダンス界における第一人者。
映像では観たことがあるものの、これまで生の舞台を観る機会がなかった。

夢幻工房は、ここ数年、特に身体性に重きを置いて舞台を創作中。
お二人から推薦をいただいたのも何かの縁。
芝居好きの私は、どうしても芝居を観たくなりがちだが
夢幻の今後のためにも、今回は勅使川原さんのダンスを観ようと決めた。

開演が20:00と遅い時間のため
劇場の近くでまずは腹ごしらえ。

久しぶりに会った妹と雑談しながらご飯を食べお茶をして
イザ!劇場へ!

シアターXは、何度か足を運んだことがある。
こじんまりとした観易いホールだ。

入場すると、天井から客席に向かってライトが照らされている。

 まぶしいよ~

と妹は嫌がっていたが、目潰し状態の光源のおかげで
舞台上がはっきり見えない。
つまり幕がなくても、舞台セットがわからないのだ。

 なるほど~

と、記憶にメモ♪

早く着いたので、最前列の中央寄りに座ることが出来た。

客入れの音楽が変化し、いよいよ開演。

いきなり現れたダンサーの動きに目を奪われて釘づけになった。

 凄いっ!

身体性が凄過ぎる。
軽くて、キレが良くて、しなやかで…
体幹が優れていることが一目でわかる。
スピーディーとスロー、どちらも全くぶれない。

タイトル「ドドと気違いたち
構成・演出・照明 勅使川原三郎
出演:勅使川原三郎 佐東利穂子 川村美恵 KARASダンサー

強烈なタイトル!

これは、ポーランドの作家ブルーノ・シュルツ氏の
短編を基にして創作した作品らしい。

録音かマイクかわからないが
スピーカーから声が聞こえて来る。

ドドを演じているのが勅使川原氏。
他の登場人物は、母・父・町の人々・女

非常に滑稽で強烈、拡大した表現の面白さがそこにあった。

悲しくて苦しくて切ないけど面白い
そして何より美しい…

何なんだろう、この世界…

照明の使い方は、随所で参考になった。
シンプルだけど、光に命が宿っているように見える明かりだった。
恐らく計算し尽くされている…
例えば、緻密に作られたロボットが人間の命を宿したように見える…
そんな風に私は感じた。

登場人物は、どの役も狂気的なのだが
観ているうちに、狂気的な世界が徐々に
日常に見えて来るのが不思議だった。

劇中、ドドが父に呆れ果ててつぶやく一言「ひどい気違いだ…」

僅か45分の作品だったのもビックリ。
勅使川原さんの運動量を考えれば当たり前なのかもしれないが
もっと観ていたかった。

観劇前に原作を読みたい…と思っていたが時間が取れず
これから探してみようと思っている。

ご推薦くださいましたKさん、Mさん、ありがとうございました。
非常に刺激的で世界観と視野が広がる舞台でした。

参考までに、勅使川原さんのご紹介を…

勅使川原三郎(てしがわらさぶろう)氏は
90年代より国際的に活躍しているダンサー・振付家。
照明・美術・衣装なども自らが手がけ創り出す透徹した美意識に貫かれた作品で
世界のダンス界の最先端を走り続けている。
パリ・オペラ座やオランダのネザーランド・ダンス・シアターなどからも
公演・振付けの依頼がある振付家でもある。
2009年 紫綬褒章受賞

観劇後、妹と共に母の待つ実家へ―(②に続く)


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