ヒーリングっど♥プリキュア (左から順に)
キュアフォンテーヌ
キュアグレース
キュアスパークル
キュアアース
今シーズンのヒーリングっど♥プリキュアは、「生きる」「地球のお医者さん」をテーマとした作品で、病原菌をモチーフとした敵と戦い、お手当(浄化)するというあらすじです。このあらすじは、おととしの年末から公式ホームページにて公表されていましたが、その後から新型コロナウイルスの感染が拡大し、偶然にもストーリーが現実世界と同じような世界観となりました。新作の放送が一時中断された他、映画の公開時期が延期されるなど、大きな影響を受けました。
2月21日の最終回(第45話)では、主人公たちは、行動を共にしてきたヒーリングアニマルの故郷に遊びに行きました。そこは、動物たちだけが住んでいる世界で、主人公たちを歓迎してくれましたが、ある住民は人間を嫌っていました。その理由は、「自分が生きていくために必要な殺生はやむを得ないが、人間は豊かさを求めすぎるあまりに、それが度を過ぎている。敵と同じだ。」とのこと。さらに、主人公たちが持ってきたお土産からビョーゲンズ(敵)が発生してしまい、「災いをもたらすのはいつも人間だ。」と非難しました。ビョーゲンズとの戦いの中で、最終回恒例の、次回プリキュアの主人公が登場するシーンがあり、「トロピカル~ジュ!プリキュア」のキュアサマーとともに、プリキュアたちはビョーゲンズを浄化しました。反省した主人公たちは、その住民と和解し、これからも地球のお手当てを続けていくと決意を新たにしました。
人間社会の在り方について、動物目線で問題提起する内容でした。人間は過ちを犯しますが、反省や改善をしながら前進することができます。一人ひとりの意識や行動で、みんなが共生できる世の中を築いていけるように願っております。
主人公は、かつて原因不明の病気にかかっており、諦めずに闘病を続けた経緯があります。ストーリーが進むにつれて、その病気の原因は、敵組織によるものと判明しました。
第42話にて、敵が主人公に助けを求めにきたが、助けると主人公自身が再び病気で苦しんでしまうために断り、その後、あのときはどうすべきだったのか悩んだシーンがありました。このとき、「自分が嫌だと思うものは、無理して受け入れなくていい。」とのアドバイスをもらった主人公は、「今まで悪いことばかりしてきたのに、都合よく助けを求めるのはよくない。」と決心し、敵に立ち向かっていきました。
これまでのプリキュアは、最終回までに敵を改心させて和解するものが多かったのですが、今回のプリキュアは「嫌なものは嫌でいい。」という路線に踏み込んだ上で、敵は絶対悪の存在のままで終えたのが印象的でした。無理強いをしてでも何かをすることが美徳とされる風潮が少なからずあるように思いますが、このストーリーからは、無理をせずに、自分自身のことを大事にしてほしいという願いが伝わってきました。
時代の流れとともに世の中の様相や価値観が変化しており、プリキュアのストーリーもそれに合わせて進化しています。前述の通り、「ヒーリングっど♥プリキュア」はコロナ禍の影響を受けて現実世界を反映したような世界観となりましたが、それゆえに、各ストーリーに込められた想いをより強く訴えることができたようにも思います。
新たに始まる「トロピカル~ジュ!プリキュア」も楽しみにしております。