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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ダイバダッタ

2013-12-27 08:04:23 | 詩集・空の切り絵

あんなものがいたら
おれはどうしたらいい

どんなにがんばっても
あんなものになれはしない

うつくしい
おおきい
たまらないほど
深い

えらいことばかりする
よってきてくれる
いいことばかりしてくれる
わらってくれる
そして言ってくれるのだ
おまえを愛してるって

おれはどうしたらいい
あんなものに
いいやつだって言われたら
どうしたらいい
ばかみたいなことして
うそついて
いやなことして
いいことになってる
こんまいあほなのに

あいしてるんだよ
おれも
だけど

憎めたら
救われるのに



コメント (1)
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ヴォータン

2013-12-27 04:51:04 | 虹のコレクション・本館
No,43
コンスタンティン・ヴァシリエフ、「ヴォータン、古代スカンジナヴィアの至高神」、20世紀ロシア、象徴主義。

ソ連の時代のロシアの画家らしい。キュビズムやシュルレアリズムの作品も残しているが、この北欧の神話に題材を得た絵が面白い。

ヴォータンはもちろんオーディンのことである。実に賢い北欧神話の最高神だ。画家はこれに、大陸的父、勇者の相貌を感じているらしい。立派なヒゲに澄んだ瞳、立派な体格。男の理想だ。

精神の破壊というテーマを影に孕んでいた20世紀芸術の中で、ソ連の画家というのは面白いものを見せてくれる。国の体制の影響がなかったはずはない。確かにソ連は、極度に肥大した男性原理をもって貫かれていた国だった。こういう理想的な男を描ける環境があったのだ。

これがアメリカなら、スーパーマンのような漫画になる。正面から大真面目に描けるというのが、ロシアという国なのだろう。

もちろん、こういう絵は、男の現実に関連して馬鹿になる可能性が大いにある。現実の男には、こういうやつは、実際、存在不可能だからだ。大ウソのこんこんちきだと指をさされても仕方がない。実際これは、唯一神、全知全能の神という、男の永遠のあこがれの産物と言える。だがここに活路を作ると、おもしろいものもできるということだ。

童話的ファンタジーの世界にのみ生きられるような男を、ここまで立派に描いてくれたのがうれしいね。実に美しい。

男が、理想的に美しくなれば、こういうことにもなれる。そういう絵だ。これはおもしろい。




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