
No,43
コンスタンティン・ヴァシリエフ、「ヴォータン、古代スカンジナヴィアの至高神」、20世紀ロシア、象徴主義。
ソ連の時代のロシアの画家らしい。キュビズムやシュルレアリズムの作品も残しているが、この北欧の神話に題材を得た絵が面白い。
ヴォータンはもちろんオーディンのことである。実に賢い北欧神話の最高神だ。画家はこれに、大陸的父、勇者の相貌を感じているらしい。立派なヒゲに澄んだ瞳、立派な体格。男の理想だ。
精神の破壊というテーマを影に孕んでいた20世紀芸術の中で、ソ連の画家というのは面白いものを見せてくれる。国の体制の影響がなかったはずはない。確かにソ連は、極度に肥大した男性原理をもって貫かれていた国だった。こういう理想的な男を描ける環境があったのだ。
これがアメリカなら、スーパーマンのような漫画になる。正面から大真面目に描けるというのが、ロシアという国なのだろう。
もちろん、こういう絵は、男の現実に関連して馬鹿になる可能性が大いにある。現実の男には、こういうやつは、実際、存在不可能だからだ。大ウソのこんこんちきだと指をさされても仕方がない。実際これは、唯一神、全知全能の神という、男の永遠のあこがれの産物と言える。だがここに活路を作ると、おもしろいものもできるということだ。
童話的ファンタジーの世界にのみ生きられるような男を、ここまで立派に描いてくれたのがうれしいね。実に美しい。
男が、理想的に美しくなれば、こういうことにもなれる。そういう絵だ。これはおもしろい。
コンスタンティン・ヴァシリエフ、「ヴォータン、古代スカンジナヴィアの至高神」、20世紀ロシア、象徴主義。
ソ連の時代のロシアの画家らしい。キュビズムやシュルレアリズムの作品も残しているが、この北欧の神話に題材を得た絵が面白い。
ヴォータンはもちろんオーディンのことである。実に賢い北欧神話の最高神だ。画家はこれに、大陸的父、勇者の相貌を感じているらしい。立派なヒゲに澄んだ瞳、立派な体格。男の理想だ。
精神の破壊というテーマを影に孕んでいた20世紀芸術の中で、ソ連の画家というのは面白いものを見せてくれる。国の体制の影響がなかったはずはない。確かにソ連は、極度に肥大した男性原理をもって貫かれていた国だった。こういう理想的な男を描ける環境があったのだ。
これがアメリカなら、スーパーマンのような漫画になる。正面から大真面目に描けるというのが、ロシアという国なのだろう。
もちろん、こういう絵は、男の現実に関連して馬鹿になる可能性が大いにある。現実の男には、こういうやつは、実際、存在不可能だからだ。大ウソのこんこんちきだと指をさされても仕方がない。実際これは、唯一神、全知全能の神という、男の永遠のあこがれの産物と言える。だがここに活路を作ると、おもしろいものもできるということだ。
童話的ファンタジーの世界にのみ生きられるような男を、ここまで立派に描いてくれたのがうれしいね。実に美しい。
男が、理想的に美しくなれば、こういうことにもなれる。そういう絵だ。これはおもしろい。