goo blog サービス終了のお知らせ 

世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ペルセウス

2013-12-18 08:47:07 | 詩集・空の切り絵

男の
女に対する欲望は激しい
それは
セックスによって得られる喜びが
女よりもずっと強いからだ

男の
肉体的な性の喜びは
激しく強い
それは時に
男を支配してしまうほどだ

だが
女が得られる喜びは
それほどではない
もし セックスによって
女も強い喜びを得られるなら
女は男から
あれほど逃げたりはしない

女は 男が怖いので
いつも逃げる
男は 逃げる女をつかまえるために
あらゆることをする
時には命さえかける

男は淫らということばを
女にくっつけたがるがね
本当は男の方が
よっぽど淫らなのだ

すべては
性欲のためにやっているからだよ



コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

月の船

2013-12-18 05:02:45 | 詩集・試練の天使

白い月の船が
下りてきていると
聞いたので
わたしはそれに乗るために
遠いところを旅して来た

話しに寄れば
船に乗るのには
乗車券も なにもいらないそうだ
ただ 乗りたいとだけ
言えばいいと言う

わたしは
にわかには信じられなかったが
乗れるものなら乗りたいと
やってきたのだ

白い月の船は
何げない どこにでもありそうな
郊外のゆるやかな丘の上にあった
だが わたしは
遠目にそれを見たとたん
呆然となった

船は それに乗りに来た
多くの獣たちによって
壊され 汚され
もはや 空にも海にも
乗り出せないほど
壊れ果てていたからだ

なんと
みな
白い月の船が
あまりに美しかったので
こんなものは嘘にちがいないと
励みに励んで
もっぱら船を壊すことだけに
生きていたのだった

わたしは
悲しみに打ちしおれた
たとえ 船がまだ
乗りなさいと言っても
もはやだれも
乗ることはできない

わたしは
白い月の船に
一礼をすると
その丘に背を向けて
歩きだした

自分で船を作るしかない

わたしは
背中に浴びる月船の光が
作る自分の影を見ながら
帰途についたのだった



コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする