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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

信州はキノコの季節。ハナイグチ、クリタケ、チャナメツムタケ、ベニテングタケ(妻女山里山通信)

2021-10-04 | アウトドア・ネイチャーフォト
 信州もキノコの季節になりました。一足早く出た松茸は豊作の様で、道の駅や直売所にはたくさん並んでいます。週末、とある標高1000m余りの高原へ出かけてみました。標高差300mもないのですが、急登は病み上がりの体には応えました。今回はキノコ狩りというより、撮影が主な目的です。一番撮影したいのは毒キノコのベニテングタケ。さて出会えたでしょうか。

 まず見つけたのはハナイグチ。信州ではじこぼう(時候坊)といわれて親しまれているキノコです。甘い香りとナメコより強いぬめりがあり、煮込みうどんや鍋にすると美味しいキノコです。落葉松林の林下に発生するので初心者でも見つけやすいキノコです。2008年に帰郷して、父が何十年も放置していた我が家の山を除伐したら、その秋にハナイグチが700本採れました。ぬるま湯で掃除して冷凍保存ができます。

 朽木にクリタケ。この右にも二株ほどありました。大きな株で出ることが多いので、人気のキノコです。ただ、似ている猛毒のニガクリタケがあるので同定は慎重に。死亡例もあります。クリタケだと思っても、必ず噛んで見ること。ニガクリタケは嫌な苦味があるので分かります。洗って生で冷凍保存ができます。

 チャナメツムタケ。地元ではジナメコやジナメといって人気のキノコです。ヌメリがありナメコ以上にコクのある旨味があります。

(左)ムレオオフウセンタケ。ヌメリがある大型のキノコ。和風以外に、バターやクリームとも合います。(右)ホテイシメジ。歯ごたえの良い甘い香りのキノコ。アルコールとの相性が悪く、これを食べる時はお酒は厳禁です。

(左)ヤマブシタケかサンゴハリタケでしょう。どちらも食菌です。両方とも味に癖がなく、中華スープの具などにします。(右)キシメジ科のキノコだと思うのですが、同定できません。

(左)激しく波打つ白い傘。群生していました。毒キノコのオシロイシメジだと思います。(右)立木に直径6センチぐらいの大きなホコリタケの仲間。ホコリタケは色々な種類があります。触るとゴムのように弾力があります。老菌になると頂部の孔から茶褐色の胞子が飛び出します。

 地上のホコリタケの仲間。直径3センチほど。中が白いのは食べられます。味噌汁や鍋や炒め物に。右上に山栗が落ちていますが、あちこちにたくさん落ちていました。栽培栗と比べると小さいのですが、その野趣あふれる濃い味は一度食べると虜になります。小さくて皮が向きにくいのですが、冷凍してから熱湯に浸けてふやかすと簡単にむけます。山栗で作るモンブランは別格の旨さです。

(左)傘が2センチぐらいの小さなキノコ。ハナオチバタケに似ているのですが。(右)やはり小さな桃色のかわいいキノコ。似ているキノコはあるのですが、同定できませんでした。

 マムシグサ(蝮草)の毒々しい赤い実。右下の茎で分かるようにマムシの柄をしています。誤って食べると口内が酷くただれます。毒草ですが薬草でもあります。観賞用としても人気がありますが、要注意です。

 この季節、里山から亜高山まで見られる猛毒のヤマトリカブト(山鳥兜)。全草が有毒ですが、特に根は最も猛毒です。花粉さえ有毒なので、不用意に触らないことです。若葉は山菜のニリンソウと似ていて、隣合わせで群生地があることもあり、要注意です。

(左)ガマズミの赤い実。抗酸化作用が強く、ルビー色の美しいお酒が作れます。(右)サルトリイバラの仲間のヤマガシュウの実。蔓性で、針のような鋭いトゲを持ち、これが登山道を塞ぐこともあります。

 キハダ(黄檗)でしょうか。冷え性、便秘などの生薬で、私は息子にもらったものを薬酒に入れています。

(左)ヤマボウシ(山法師)の赤い実が落ちていました。(右)見上げるとたくさんなっています。ツキノワグマやスズメバチの好物です。この実でジャムや果実酒が作れます。

 かわいいイヌセンボンタケ。枯れ木の根本に何百本、何千本と出ることがあります。毒キノコではないようですが、小さすぎて食べる人はいないと思います。

 栃の実がたくさん落ちていたので集めて撮影しました。10年ぐらい前に栃の実をたくさん拾って栃餅を作ったことがあります。アク抜きが大変でした。観光地で売られているものは完全にアク抜きされていますが、私は少し残っていて食べると舌がピリッとするぐらいが好みです。美味しくて亡き父にも好評だったのですが、あまりにも大変すぎて、もう作ることはないと思います。

 諦めかけていたのですが、最後に急斜面の森の中へ。ありましたベニテングタケ(紅天狗茸)。美しい。拙書では聖山のページに載せていますが、黒斑山に登った時にたくさん見ました。誤って食べると腹痛、おう吐、下痢、けいれんに幻覚症状が。信州の一部ではこれを塩漬けして毒抜きして食べるところがあります。ただ完全に毒が抜けるわけではありません。

 キノコではありませんが、突然食べたくなって臭豆腐を注文しました。かなりの中華料理通でもこれはだめという方が多いと思います。シュールストレミングかくさやかというほど臭いです。瓶を開けていないのに臭いです。ただ、酪酸菌を得られる数少ない貴重な食べ物なんです。妻女山里山デザインプロジェクトの納会に持っていって仲間に食べさせようと思っています(笑)。

信州の秋はジコボウはじめキノコ三昧。キノコ料理のレシピ。放射能除染方法も(妻女山里山通信):スライドショーもあります。

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本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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