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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

金太郎伝説の大姥山へ。鎖場と絶景の北アルプス大パノラマを堪能した穏やかな秋日(妻女山里山通信)

2014-10-20 | アウトドア・ネイチャーフォト
 金太郎伝説のある大町市八坂(旧八坂村)の大姥山(1003m)に登りました。金太郎の出生地は五ヶ所ほどあるそうですが、この大姥山(おおうばやま・おおばやま)もそのひとつで、金時山ともいいます。標高が、1006.4mと1003mと書いてあるものがありますが、所謂アンテナと四阿のある山頂が1003mで、その600m西の三角点の場所(左右前山城跡)が1006.4mなのです。国土地理院の三角点は、必ずしも地元の人が昔から言う山頂にはないことがあるのです。北面はすぐ牧場があるほどなだらかなのに、南面は絶壁の対照的な地形が魅力の歴史ある里山です。

 国道19号線から県道469号線に入り、山姥の滝へ。滝の前の四阿のある空き地に駐車します。近くにはトイレと案内看板が。今回は、ループコースを組みました。山姥の滝から1キロほど下り(写真中)、旧八坂村の看板写真(写真左)の赤い矢印の遊歩道を登ります。ところが、ネットの検索でこの上上篭(かみあげろ)の遊歩道は廃道であることが分かりました。しかし、事前の下見で途中まで登ってみたところ、昔の農道の様でしっかりしていたので、地形図も見て大丈夫だろうとここを使うことにしました。廃屋のある脇を登ります(写真右)。入り口に祭りの幟旗を立てる石柱が2本あることから、昔はこの道も大姥神社への参道のひとつだったことが推測できます。

 ジグザグに登って行くと、小尾根に乗ります(写真左)。先の看板を見ると、旧道は畑地に沿って大きくくの字に曲がっているようですが、酷い草薮なので、構わず小尾根に取り付いて稜線を進むと、左手の畑地だったろう開けた場所から目指す大姥山の山頂が見えました(写真中)。更に進むと、檜林を経て薄暗い竹林に入りますが、登り口にあった様な石柱があり、道筋がはっきり分かるようになります。

 薄暗い竹林の道を抜けると、気持ちのいい山道。ここまで来ればもう迷うことはありません(写真左)。ほどなく大姥神社の参道に出ます(写真中)。とにかく、小尾根に取り付いたらその稜線から外れないことです。このループコースは、非常に魅力的なので、大町市は、この廃道になっている遊歩道を再生すべきだと思います。
 参道を登って行くと、まずトイレ。ついですぐに大姥神社の鳥居が見えてきます。その先には大姥神社(写真右)。登山道は、この裏に続いています。神社には、いつのものでしょう。花火を打ち上げたと思われる大筒が三つありました。

 神社の裏手を登って行くと、まず最初の鎖場(写真左)。鎖を使わず三点確保で登れる様な岩場です。ヤセ尾根を登って二番目の鎖場(写真中)。なにかの花粉症なのか鼻がつまり、私は呼吸が苦しくて困りました。先導は、ここを登ったことがあるKさんにお願いしました。ベンチで休憩。工程が短いので、急ぐとすぐ山頂だというので、楽しみつつゆっくり登ることにしました。

 三つ目の鎖場です(写真左)。岩場もですが、ヤセ尾根で両側共に急斜面なので、鎖場を越えても息が抜けません。標高が高くなるに連れて、紅葉がチラホラと。樹種は豊かです。漆の木が散見されます。

 逆光に透けるハウチワカエデ。山頂手前200mで、山姥が住んでいたという大穴との分岐。ここで小休止してザックをデポして大穴に向かいました。急斜面をトラバースする道ですが、ここが以外に厄介でした。道が細く、カラカラに乾いた枯れ葉が滑るのです。滑落したら恐らくただでは済まないでしょう。メンバーも、ここは改修した方がいいねと。最後に鎖場を登ると大穴です。砂岩洞でしょうか。足元は細かな砂です。天上には、水によって侵食されただろう穴がいくつも見られます。

 戻って最後の鎖場です。ここが一番急で大変かもしれません。昔の人が、岩にステップの刻みを入れてくれているので、それを上手く利用するのがいいでしょう。所々、赤松の根などを掴まないといけない所もありますが、大丈夫かどうか確かめるのと、全体重をかけないようにすることが肝心です。両側はとんでもない急斜面なので、慌てずゆっくり確実に登ることです。速く上手に登るより、確実に安全に登ること。そして、余裕があったら足元の自然にまで目を配る。今回もオケラやウルシ、ハウチワカエデ、コシアブラ、カツラの甘い芳香、ツルリンドウなどが、五感を楽しませてくれました。南面と北面で植生が異なるのも見逃せません。

 最後の鎖場を登って、アンテナが見えるとそこが山頂です。その山頂手前から東の展望(写真右)。左奥に飯縄山。右奥に根子岳と四阿山が見えます。中央奥は、志賀高原の山々。左の町は、信州新町。山頂からは、樹木が邪魔になって、この景色は見られません。

 山頂からは、丸い気象観測のアンテナがあるたらら山とその左奥へ続く幾つものアンテナのある聖山。手前は長野市大岡(旧大岡村)の山村。黄金色に輝く棚田が見えます。都会の人は、こんな山の中でよく生きていけるなと言いますが、本来山は豊かなのです。いずれ分かります。東京一極集中がいかに危険であるか。その日は、そう遠くありません。パンデミックとカタストロフィーに襲われるでしょう。真ん中の恐竜の背中の様な山塊は、GWに咲くヒカゲツツジで有名な京ヶ倉と大城です。この山も、鎖場あり、ミニ蟻の戸渡りありと、非常に魅力的な山です。そして白馬三山。

 雄大なパノラマを堪能しながら昼食です。私は鴨のパストラミと十穀クラッカーなどを持って行きました。N氏は得意の沖縄グルメ。ミミガー、ラフテー、島らっきょにジーマーミ豆腐。K氏はフリーズドライ食品で有名なアマノフーズのビーフシチューなど。風もなく穏やかな山頂で昼餉を楽しみました。山頂の空間放射線量は、0.04マイクロシーベルト。
 北アルプスは、まだ積雪は少なく、谷筋は靄っていましたが、槍ヶ岳の穂先がくっきりと見えました。左に大天井岳、右に燕岳。山頂にはTV局のアンテナがあるのですが、電磁波が凄まじく、コンパスが狂ってNが南を指していました。人口電磁波は放射線と同じく人体に非常に有害なのです。

山頂からの北アルプス方面のパノラマ。左に目をやると、中央アルプスも見えました、さらに左には美ヶ原の王ヶ頭。いつまで眺めていても見飽きません。
 帰路は大姥の散歩道へ。キノコ狩りをしたり、蝶の卵を探したり、廃屋探訪をしたり。のんびりと下りました。K氏は、ここで熊に遭遇しています。熊鈴は必携ですよ。途中、昔は養蚕をしていたと思われる立派な廃屋を見学して無事に山姥の滝へ帰還。その後、犀川沿いの「ふれあいセンターさざなみ」へ。トレッキングの疲れを癒やしました。眼下の犀川では、釣り人がニジマス釣り。穏やかな日だったので、川面ではカゲロウのスーパーハッチが見られました。入浴後はゆっくりと善光寺平へ、今回所要で参加できなかった可哀想な二人の待つ慰労会場へと向かったのでした。大姥山、高所恐怖症でない方なら、間違いなくおすすめの里山です。ただ単に登って面白い山ではなく、連綿と続く人々の歴史を感じられる奥深い里山です。さて、来週の日曜日は、中尾山-茶臼山ハイキングのインタープリターをします。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。大姥山は、ループコースを紹介しています。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

この大姥山トレッキングを、トレッキング・フォトレポートのMORIMORIKIDSにアップしました。大パノラマ写真が圧巻です

●ハイビジョンなのでYouTubeで見るをクリックしてフルスクリーンでご覧ください。


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10月26日(日)に、中尾山--茶臼山ハイキングが行われます。
受付:午前8時から
集合場所:黒き学園グランド(旧共和小学校校庭)
出発式:午前8時半から9時
出発:午前9時
中尾山--茶臼山の一本松コースと山麓アップルコースがあります。
私は一本松コースのインストラクターをします。昨年は100名ほどの参加でした。
交流会:正午から。恐竜公園内「童謡の森」昼食、ミニ公演、歌の後、解散となります。
◉お問い合わせ:026-292-6009(中尾山ハイキング実行委員会)

必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ:グリホサート剤)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)を引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。

★妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。

★ネイチャーフォトのスライドショーは、【Youtube-saijouzan
】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。

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