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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

ウラベニホテイシメジとクサウラベニタケの見分けクイズ!!(妻女山里山通信)

2016-10-01 | アウトドア・ネイチャーフォト
 9月に入って、「ウラベニホテイシメジとクサウラベニタケ」の記事にアクセスが集中しています。そこで、両者を見分けられるかクイズを作ってみました。ひとつでも間違えたら、ウラベニホテイシメジ狩りは止めた方がいいです。岡山県真庭市の道の駅「風の家」で、有毒なクサウラベニタケをハタケシメジとして販売。岡山市の夫婦がこのキノコを鍋に入れて食べたところ、嘔吐(おうと)などの症状が出たという記事が先日ありました。死亡例もあります。ウラベニホテイシメジ(食菌)とクサウラベニタケ(有毒)と思われるものの番号を分けてみてください。解答は最後にあります。

 写真だけで同定というのは、かなり難しいと思いますが、図鑑は写真ですから。そういうつもりで同定されるといいと思います。明らかにこれはクサウラベニタケだなというのもあれば、どっちだろうと迷うのもあると思います。ウラベニホテイシメジとハタケシメジは、どちらも霜降り模様がありますが、採取の場合は生えている場所が異なるので間違うことはありません。ウラベニホテイシメジは、ブナ科の林下。ハタケシメジは、林の縁の草むらや文字通り畑などに出ます。

 キノコ初め菌類や粘菌の撮影もしますが、キノコの専門家ではないので、同定できないものも出てきます。今回は、3種類のキノコが未同定です。まず左は、傘の直径が25センチもあります。高さも30センチはあるでしょう。テングタケ科のシロオニタケでしょうか。ただ、つばがないのです。別種なのか、つばが落ちてしまったのか不明。
 中は、傘が15センチぐらいで、高さが25センチぐらい。これもツバはありません。傘の上の突起物の形が独特です。これもテングタケ科でしょうか。
 右は、傘の直径が8センチぐらいで、抜いた高さが25センチぐらい。テングタケ科かハラタケ科か。これもいくつか図鑑などを観ましたが同定できていません。いずれにせよ毒キノコでしょう。

  栃木県民が大好きなチチタケ(左)。チタケともいいますが、傷をつけるとネバネバした乳液が出ます。ナスと炒めてうどんの汁に入れると絶品です。信州ではアカンボウというサクラシメジ(中)。たいてい1本見つけると周囲に何本もあります。天ぷらによし、煮込むとホッコリした食感の美味しいキノコ。煮込む場合は浅塩に漬けます。今年初物のハナイグチ(右)。信州ではジコウボウ・ジコボウ(時候坊)と呼び、最も愛されるキノコのひとつです。これの地粉とくにイガチクオレゴンを使った手打ち煮込みうどんは比類のない旨さです。

 杉林の林下にホコリタケ科のノウタケ(左)。直径5センチぐらいで、これぐらいだとソテーや汁物で食べられます。芝草の中に生えていたのは、イグチ科のアケボノアワタケ(中)。たぶん間違いないでしょう。食菌だそうですが、美味しければ皆さん採るでしょうから、まあ味は推して知るべしでしょうか。★後日恐る恐る煮て食べてみましたが、ニガイグチの様な嫌な苦味があってとても食べられませんでした。ウラベニホテイシメジの様に塩をして苦味を少し抜いて食べられるという味ではありません。毒キノコではないかもしれませんが、食菌にはなりません。
 ホウキタケ科のキホウキタケでしょうか(右)。高さが10センチぐらいあります。似ているヒメホウキタケに比べると、大きくしっかりしていました。ホウキタケの仲間で食べられるのは、軸が白く、先が淡紅色か淡紫色のホウキタケのみです。昔はよく採れたのですが、最近は全く見られなくなりました。

 オケラの花(左)。は直径1.5~2cmで、魚の骨を並べたような苞葉があります。「山で旨いはトトキ(ツリガネニンジン)にオケラ」と言われるように、若葉が食用とされます。万葉集にも「恋しけば袖も振らむを武蔵野のうけらが花の色に出なゆめ」とうたわれています。
 以前、花を紹介しましたが、日当たりの良いギャップのガガイモの実(中)。古事記には少名毘古那神、日本書紀では少彦名命と書かれたスクナビコナ神が、天之蘿摩船(あまのかがみのふね)に乗ってやって来たというのは、このガガイモの実を二つに割った形の船のことといわれています。大国主命と共に国造りをしたとされる神です。これが割れて晩秋に空を舞う種はケサランパサランと呼ばれます。
 20m以上下に二頭のニホンカモシカを発見(右)。オーイと呼び止めると、一頭が振り返りました。シロです。出産を無事に終えた様です。この前日に陣馬平で、生後4ヶ月ぐらいの小さな個体が一頭で草を食べているのを見ました。こんな早くから単独で歩いて草も食べるのかと驚きました。シロと一緒にいるのは、最初に生まれた双子の娘の方だと思います。出産する母親を見守りに付いていたのか、自分が出産する時の参考にもするのでしょうか。興味深い行動です。この後、別の森で、その後生まれた双子を見かけました。大家族です。何よりシロの無事が確認できてホッとしました。

 北アルプスの鹿島槍ヶ岳が見えました。何ヶ月ぶりでしょうか。この夏はいつも稜線が雲に覆われていましたから。台風16号の増水は引きましたが、連日の雨で千曲川は泥色に濁っています。樹液バーは、樹液が出なくなったので何もいません。幼虫が大きくなって子育てに忙しいスズメバチは、セミや他の昆虫を狙って地面近くを飛び回っています。この時期のスズメバチは、子育てのストレスもありかなり攻撃的なので要注意です。

 上杉謙信の本陣と伝わる斎場山(旧妻女山)から北に伸びる尾根の天狗山から妻女山(旧赤坂山)越しに松代城方面を撮影。上信越自動車道のカーブの奥に横に広がる森が松代城跡(海津城)です。手前の妻女山には、左に展望台、中程に戊辰戦争以降の戦没者を祀る妻女山松代招魂社、右に大きな駐車場があります。どちらも『真田丸』効果で観光客やハイカーが増えています。週末など時間があるときには、展望台でボランティアでガイドもしています。

 その妻女山展望台から北の眺め。千曲川の向こうに南長野運動公園。右には、AC長野パルセイロのホームスタジアム。野球場の左は、合戦場という住所で、第四次川中島合戦の激戦地と伝わっているところです。右に大きな山体の飯縄山、左に戸隠連峰と別名を戸隠富士と呼ばれる高妻山。拙書でも記していますが、上杉謙信の兜の前立ては飯縄権現です。東京の高尾山の薬王院も飯綱権現を祀っています。

 同じく妻女山展望台から撮影したパノラマ写真。9枚の写真を合成してあります。実際は左右が25000ピクセルぐらいあります。松代方面は高い木があるのでカットしましたが、芽吹き前や落葉期ならば180度のパノラマ写真が撮影できます。善光寺平の中で、仁科三山、白馬三山、茶臼山、戸隠連峰、斑尾山、信越トレイルの峰、高社山、志賀高原の山々、根子岳と四阿山を一望できるのは、この展望台だけです。ぜひ、晴天の日にお出かけください。

★クイズの答え
◉ウラベニホテイシメジは、1・3・6・7・9・11
◉毒のクサウラベニタケは、2・4・5・8・10
◉12は、毒のイッポンシメジ

【解説】1は霜降りで指で押した様な班があるのでウラベニだと分かります。4は土の付いた部分が長いのでウラベニかと思うかもしれませんが、これは地中部ではなく枯葉(腐葉土)が厚いのです。地中には入っていません。9は太い根本が5センチもあり中空でクサウラみたいですが、ウラベニホテイシメジです。何かの理由で奇形になったのですが、食するに問題はありません。
 10は色合い的にウラベニホテイシメジに見えます。ウラベニも雨に当たり乾くと霜降りが消え艶が出ます。これは軸をよく観察するとウラベニと分かります。11の様に霜降りがあればいいのですが。12は軸も太く、一見ウラベニホテイシメジに見えますが毒キノコのイッポンシメジです。なお、信州ではウラベニホテイシメジのことをイッポンカンコウともいいますが、イッポンシメジという地域もあるので要注意です。写真のイッポンシメジは傘がこげ茶色ですが、ウラベニの様な色のものもあります。毒性はクサウラベニタケと同様。同定の難しさは、場合によってはクサウラベニタケより困難かもしれません。
 今年は山中に猛毒のドクツルタケが生えています。致死量は8グラムですから、大きなものだと1本で7、8人分の致死量となります。白いキノコは要注意。

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本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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■『国分寺・国立70Sグラフィティ』村上春樹さんの国分寺「ピーター・キャット」の想い出。

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