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「真田家御霊屋公開と寺宝展」松代藩二代藩主 真田信政公の御霊屋のある清野の林正寺へ(妻女山里山通信)

2022-05-02 | 歴史・地理・雑学
 このゴールデンウィーク、信州の観光地は賑わっています。長野市も善光寺御開帳で大勢の方が訪れていますが、松代町では真田信之松代入部400年で静かに盛り上がっています。そして、5月8日(日)まで、「真田家御霊屋公開と寺宝展」が行われています。初代藩主真田信之御霊屋のある長国寺は、以前訪れて御霊屋内部の紹介もさせていただいたので、今回は二代藩主真田信政御霊屋のある清野の林正寺を訪れました。

 松代町清野の大村の奥に鎮座する浄土宗眞光山林正寺。後ろには妻女山から続く天城山(てしろやま)と左に清野氏の鞍骨城跡がそびえています。どちらも拙書でルートや歴史を紹介していますが、大河ドラマ『真田丸』のときは全国から大勢の歴史マニアが訪れました。現在も人気の里山です。

 林正寺本堂(長野県宝)。南北朝(1320〜)の頃に、この地に流された右大弁*信廣の菩提を弔うために創建されたと伝えられ、眞光(信廣)の山号があります。(*右大弁とは、律令制で、太政官右弁官局の長。従四位上相当)昭和27(1952)年に、長国寺より御霊屋と表門が移築されました。本堂は万治字三年(1660)に二代藩主真田信政御霊屋として建立されたもの。入母屋、千鳥破風、向拝唐破風屋根で、黒い漆塗りを基調に典型的な桃山様式の極彩色の装飾が施されています。

 木鼻には、貘(ばく)と唐獅子。創建当時にどんな塗りが施されていたかは分かりませんが、極彩色で彩られていたと考えられます。霊廟(御霊屋)は、起源は中国といわれ、王者や偉人の霊を祀る場所・建造物のことです。

 手挟(たばさみ)の木彫。向拝柱の斗栱(ときょう)と垂木(たるき)との間に取り付けられた板のことで、非常に高度な透かし彫りの技法が施されています。わずかに残った塗料から、これも創建当時は極彩色であったのでしょう。

(左)外陣(げじん)の格子天井には、花鳥風月の絵が金箔の下地に描かれています。(右)出組の下には和歌の額。

 欄間には天女の木彫。天女とは仏語で、欲界六天に住む天上界の女性。女性の天人。吉祥天女、弁財天女はその一つ。あまつおとめ。「にょ」は「女」の呉音のことで、古く春秋戦国時代の呉に起源を持つと思われます。滅亡した呉の豪族が日本に移民し、その後の中国への使者が、我らは大伯(呉の始祖)の末裔と述べたと中国の古代の文献にあります。先に渡来した旧石器人と縄文人に、呉と越の帰化、徐福伝説、高句麗の帰化と激動の古代史が今の日本を作ったのです。

 左右の天女像。中央の天女と違って羽があります。鳳凰の化身が中央の天女を守るの図でしょうか。

 須弥壇(しゅみだん)は創建当時のもの。本殿の後に飛び出ている構造です。右は信政公の位牌。

 中央に本尊の阿弥陀如来。右に観世音菩薩、左に勢至菩薩の像。

 内陣の花鳥風月の絵。この特別公開は、長国寺、大英寺、大鋒寺、林正寺、西楽寺の五ケ寺で行われています。お問い合わせは、信州松代観光協会へ。

松代藩の祖 真田信之の御霊屋と墓所のある長国寺へ。真田宝物館へも(妻女山里山通信)

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