ナミルリモンハナバチ(波瑠璃紋花蜂)。「幸せを呼ぶ青い蜂」といわれ、ブルービー(Blue Bee)」の愛称を持ち、非常に希少な種で、長野県では準絶滅危惧種に指定されています。
今回は36度の猛暑の中、3日間撮影に出かけました。理由は簡単でなかなかいいカットが撮れなかったからです。相手が自然なので、気まぐれなブルービーはもちろん天候やノアザミの状態などが思うようには行かないのです。気温は27度で麓より6度ぐらい低く時折涼しい風も吹きますが、撮影時は炎天下に出るので厳しいです。
ナミルリモンハナバチは、学名をThyreus decorusといい、ハチ目ミツバチ科ルリモンハナバチ属の昆虫です。成虫の体長は雄10~13mm、雌11~14mm。分布は、日本(本州・四国・九州・大隅諸島)・台湾・東南アジア・中国・朝鮮半島・極東ロシアということなんですが、本州でも確認されているところはごく僅かです。ルリモンハナバチ(瑠璃紋花蜂)ともいいます。
二匹が吸蜜中。実はもう一匹います。
特徴の一つに「労働寄生」があります。 他の花蜂の巣に侵入して卵を産み付け、幼虫は宿主が保存する餌を横取りして成長するもので、労働寄生の対象となる花蜂は、コシブトハナバチ類やケブカハナバチ類といわれていますが詳細は不明です。
長い舌を差し込んで吸蜜しています。動画はInstagramに2本アップしています。
生息地の消滅や減少、宿主の生息や蜜源の減少により個体数が著しく減少しており、絶滅危惧II類に指定されています。
200mほど離れたハンミョウのポイントへ。ハンミョウ(斑猫)はナミハンミョウともいい、コウチュウ目オサムシ科のハンミョウ科の甲虫です。大きな複眼と鋭い大顎が目を引きます。動作は機敏で、アリや蛾などの小型の昆虫を捕らえて食べます。成虫は夏の終りに羽化し、冬は土中で集団越冬します。そして、翌春に交尾産卵をします。
近づくとすぐに逃げて1mぐらい先に止まります。これを繰り返すので「道教え」とか「道しるべ」とかいわれますが、撮影しようとすると逃げまくるので非常に厄介な被写体です。しかもまだ一匹しかいないので警戒心がマックス。旧盆をすぎると個体数は増えるはずです。
モノサシトンボ。モノサシトンボ科モノサシトンボ属。文房具の物差しの様にメモリが入っているトンボ。細くて黒い部分が多いので目立たなく見つけにくいイトトンボなので観察力が必要です。
前日に激しい雨が降ったためか三日目はブルービーは一匹が短時間現れただけ。そこで離れた茶臼山自然植物園の最上部へ下りてみました。葉の付け根に珠芽(むかご)が無いのでコオニユリ。コオニユリの百合根は非常に美味しく道の駅で売られていたりしますが高価です。猛暑で昆虫がいません。
ピラミッドアジサイ。日本の山に自生するノリウツギの仲間。和名をミナヅキ(水無月)といい中国と日本が原産地だそうですが、花房が全て装飾花化した園芸品種だそうです。背が高く見栄えがします。
ピラミッドアジサイに空蝉(うつせみ)が。大きさと触覚の根元から3番目の節が2番目の節の1.5倍の長さなのでアブラゼミです。ミンミンゼミはまだ出ていません。
ツマグロヒョウモンのメスが一頭。他にはモンキチョウ、コミスジ、オニヤンマが見られただけでした。途中の水たまりで翅の表がラベンダーブルーの大きいシジミチョウの仲間が二頭舞っていました。形や大きさはウラギンシジミですが、色が違います。同定できず。昨年は見られたオオムラサキは樹液バーにもいませんでした。ツクツクボウシとアブラゼミの合唱。
苔むした切り株に多孔菌科のキノコ。ベッコウタケでしょうか。生木に発生すると倒木を引き起こす厄介なキノコです。危険なので自治体によっては見つけたら報告を呼びかけるところもあります。
赤松の切り株にウバタマムシ(姥玉虫・姥吉丁虫)。幼虫は枯れた松の木を、成虫は松の葉を食べます。4センチぐらいある大型のタマムシ。松の木の樹皮に擬態した体が渋くて美しい。
ハキダメギクなどと共に可愛そうな名前の植物に必ずあげられるヘクソカズラ(屁糞葛)。別名は、ヤイトバナ(灸花)、サオトメバナ(早乙女花)、ウマクワズ(馬喰わず)。万葉集では屎葛(くそかずら)ですが、後年屁が追加されました。しもやけ、ひび、あかぎれなどの外用民間薬。
「そうきょうに 延ひおほとれる屎葛 絶ゆることなく 宮仕えせむ」 高宮王『万葉集』(巻十六、3855)
(そうきょう(皂莢・ジャケツイバラ)に絡みながら延びてゆくクソカズラ、その蔓のように絶えることなくいつまでも宮仕えしたいものだ)
茶臼山自然植物園から妻女山山系を望む。麓は36度ですが山上は28度。日陰は吹き上げてくる風が涼しいのですが、日向は地獄のような暑さです。
■ナミルリモンハナバチ 幸せを呼ぶ青い蜂ブルービー 230803
●インスタグラムはこちらをクリック。ツイッターはこちらをクリック。YouTubeはこちらをクリック。もう一つの古いチャンネルはこちら。76本のトレッキングやネイチャーフォト(昆虫や粘菌など)、ブラジル・アマゾン・アンデスのスライドショー。
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
今回は36度の猛暑の中、3日間撮影に出かけました。理由は簡単でなかなかいいカットが撮れなかったからです。相手が自然なので、気まぐれなブルービーはもちろん天候やノアザミの状態などが思うようには行かないのです。気温は27度で麓より6度ぐらい低く時折涼しい風も吹きますが、撮影時は炎天下に出るので厳しいです。
ナミルリモンハナバチは、学名をThyreus decorusといい、ハチ目ミツバチ科ルリモンハナバチ属の昆虫です。成虫の体長は雄10~13mm、雌11~14mm。分布は、日本(本州・四国・九州・大隅諸島)・台湾・東南アジア・中国・朝鮮半島・極東ロシアということなんですが、本州でも確認されているところはごく僅かです。ルリモンハナバチ(瑠璃紋花蜂)ともいいます。
二匹が吸蜜中。実はもう一匹います。
特徴の一つに「労働寄生」があります。 他の花蜂の巣に侵入して卵を産み付け、幼虫は宿主が保存する餌を横取りして成長するもので、労働寄生の対象となる花蜂は、コシブトハナバチ類やケブカハナバチ類といわれていますが詳細は不明です。
長い舌を差し込んで吸蜜しています。動画はInstagramに2本アップしています。
生息地の消滅や減少、宿主の生息や蜜源の減少により個体数が著しく減少しており、絶滅危惧II類に指定されています。
200mほど離れたハンミョウのポイントへ。ハンミョウ(斑猫)はナミハンミョウともいい、コウチュウ目オサムシ科のハンミョウ科の甲虫です。大きな複眼と鋭い大顎が目を引きます。動作は機敏で、アリや蛾などの小型の昆虫を捕らえて食べます。成虫は夏の終りに羽化し、冬は土中で集団越冬します。そして、翌春に交尾産卵をします。
近づくとすぐに逃げて1mぐらい先に止まります。これを繰り返すので「道教え」とか「道しるべ」とかいわれますが、撮影しようとすると逃げまくるので非常に厄介な被写体です。しかもまだ一匹しかいないので警戒心がマックス。旧盆をすぎると個体数は増えるはずです。
モノサシトンボ。モノサシトンボ科モノサシトンボ属。文房具の物差しの様にメモリが入っているトンボ。細くて黒い部分が多いので目立たなく見つけにくいイトトンボなので観察力が必要です。
前日に激しい雨が降ったためか三日目はブルービーは一匹が短時間現れただけ。そこで離れた茶臼山自然植物園の最上部へ下りてみました。葉の付け根に珠芽(むかご)が無いのでコオニユリ。コオニユリの百合根は非常に美味しく道の駅で売られていたりしますが高価です。猛暑で昆虫がいません。
ピラミッドアジサイ。日本の山に自生するノリウツギの仲間。和名をミナヅキ(水無月)といい中国と日本が原産地だそうですが、花房が全て装飾花化した園芸品種だそうです。背が高く見栄えがします。
ピラミッドアジサイに空蝉(うつせみ)が。大きさと触覚の根元から3番目の節が2番目の節の1.5倍の長さなのでアブラゼミです。ミンミンゼミはまだ出ていません。
ツマグロヒョウモンのメスが一頭。他にはモンキチョウ、コミスジ、オニヤンマが見られただけでした。途中の水たまりで翅の表がラベンダーブルーの大きいシジミチョウの仲間が二頭舞っていました。形や大きさはウラギンシジミですが、色が違います。同定できず。昨年は見られたオオムラサキは樹液バーにもいませんでした。ツクツクボウシとアブラゼミの合唱。
苔むした切り株に多孔菌科のキノコ。ベッコウタケでしょうか。生木に発生すると倒木を引き起こす厄介なキノコです。危険なので自治体によっては見つけたら報告を呼びかけるところもあります。
赤松の切り株にウバタマムシ(姥玉虫・姥吉丁虫)。幼虫は枯れた松の木を、成虫は松の葉を食べます。4センチぐらいある大型のタマムシ。松の木の樹皮に擬態した体が渋くて美しい。
ハキダメギクなどと共に可愛そうな名前の植物に必ずあげられるヘクソカズラ(屁糞葛)。別名は、ヤイトバナ(灸花)、サオトメバナ(早乙女花)、ウマクワズ(馬喰わず)。万葉集では屎葛(くそかずら)ですが、後年屁が追加されました。しもやけ、ひび、あかぎれなどの外用民間薬。
「そうきょうに 延ひおほとれる屎葛 絶ゆることなく 宮仕えせむ」 高宮王『万葉集』(巻十六、3855)
(そうきょう(皂莢・ジャケツイバラ)に絡みながら延びてゆくクソカズラ、その蔓のように絶えることなくいつまでも宮仕えしたいものだ)
茶臼山自然植物園から妻女山山系を望む。麓は36度ですが山上は28度。日陰は吹き上げてくる風が涼しいのですが、日向は地獄のような暑さです。
■ナミルリモンハナバチ 幸せを呼ぶ青い蜂ブルービー 230803
●インスタグラムはこちらをクリック。ツイッターはこちらをクリック。YouTubeはこちらをクリック。もう一つの古いチャンネルはこちら。76本のトレッキングやネイチャーフォト(昆虫や粘菌など)、ブラジル・アマゾン・アンデスのスライドショー。
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
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インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。