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モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

森の杏が満開! 楊貴妃の体臭は杏仁豆腐の香りか…。(妻女山里山通信)

2013-04-08 | アウトドア・ネイチャーフォト

 曇天の土曜日の午前中にわずかな時間杏を観に行きましたが、午後に入って嵐模様になりました。予報のためか花見客の出足ももうひとつでした。爆弾低気圧の通過のため、花散しの雨になるかと思われたのですが、意外に静かでした。信州は、高い山に囲まれているため、それほど強風に晒されることが少ないのです。その代わり、高山の尾根では、人が吹き飛ばされるほどの強風が吹きますが。

 意外に速く低気圧が通り過ぎたため、翌日曜は早朝から撮影に出かけてみました。台風一過の様にスカッと晴れるかと思ったらさにあらず。曇ったり晴れたり、突然雨が降ったりと忙しい日になりました。花見客も戸惑ったことでしょう。昼頃少し強い雨が降りましたが、午後は概ね晴れたので、いい花見ができたと思います。杏の花は、桜と違って見頃が短いので、業者も観光客もなかなか大変なのです。

 そんな一日を写真でまとめてみました。写真と文章を同時に見たい時は、ブログのタイトルをクリックしてください。最初の写真は、雨上がりの早朝。当然観光客はまだ来ていませんが、杏農家の方が消毒を始めていて、農薬散布車のエンジン音が山麓に響いています。軽トラにタンクとエンジンを積んできて散布している農家もいます。果樹は害虫に弱いので、なかなか無農薬というわけにはいかないのです。無農薬にしたら歩留まりが悪くて採算が合わないのです。消費者がアザがあるものや虫食いや形の悪いものも買ってくれれば別ですが。
 そんな訳で、昼に杏の花の香りを嗅いでいる女性がいましたが、おすすめしません。農薬を吸い込むことにもなりかねないからです。もちろん、無農薬や減農薬で育てている農家や農園もあります。調べてみてください。

 山際を歩いていると、雲の切れ間から陽が差しました。雨露に濡れた杏の花が光ります。森の中で雉がケーン!と鳴きました。しかし、なかなかスッキリと晴れません。でも、こんな天気の方がいいのです。ピーカンの青空では、みな絵葉書の様な写真になってしまいますからね。撮影していると雨雲が襲来。慌てて車に戻ります。止んでから戻ると、随分と花見客が増えて来ました。


 村上義清の一族、清野氏が開いたという禅透院へ行ってみました。ここの在来種の古木は見応えがありますが、同時に咲く黄色い花のサンシュユ(山茱萸)との対比が面白いのです。鐘楼の欄干のベンガラ(弁柄・紅殻)の紅との対比も面白い。裏山に登ると、最も杏の木が多い、向かいの上平が一望できます。戻って赤い屋根が目印の横島物産の売店の上にある古木へ。樹影200年以上ということですが、数年前に比べると、ちょっと花の勢いがなくなりましたね。私にとって杏の花の色というと、この色なんです。現在はピンクが多くなりましたが、在来種が多かった昔は、やや黄色がかったコーラルピンクが主でした。

 森の杏は、伊予宇和島藩主の伊達宗利の娘、豊姫が、15歳で第3代松代藩主真田幸道(17歳)に お輿入れをする際に、故郷の風情を偲ぶようにと、杏の種子を持参したのが始まりといわれています。杏の花には乙女や童女がよく似合います。
「花の色は うつりにけりな いたづらに 我が身世にふる 眺め(長雨)せしまに」 [小野小町]
(長雨をぼんやり眺めているうちに桜花の色は移ろい、私自身もつまらない物思いにふけっているうちに盛りの時を過ごしてしまった) いやいや、女性は40歳過ぎてからでしょう。

 今年は、白馬連山は見えなかったのですが、戸隠富士(高妻山)と飯縄山はよく見えました。これに気づいて写真を撮っている人は、ほとんどいませんでしたが、今回は、これのベストポイントを探してあちこち歩いてみました。やはり歩かないと駄目ですね。そして、あんずの里スケッチパークへ。また雨が降り出したので、案内所のベンチで雨宿りしながら花見。今回は色々な種類の杏の花をマクロで撮ってみました。ピンクか白しかないように見える花も、よく見ると色々な表情があって見飽きません。

 最後のカットは、薬師山の展望台から見た杏の里ですが、昔と違うのは、集落が藁葺きでなく瓦屋根になってしまったこと。昔は集落の中にもたくさん杏があって奇麗だったのが、ほとんど切られてしまったこと。在来種が減って遠くから見る花の色が違っていることなどがあります。なんだか、桃の花の様なピンクが増えて来たのが気になります。

 杏は花見だけが有名ですが、実を収穫する頃も見頃なのです。以前は、どこの家にも杏の木があって干し杏やシロップ漬け、杏ジャム、焼酎漬けや紫蘇巻き杏などを作っていたものです。他には杏露酒や杏ワイン、杏ビールもあります。アプリコットタルト、ロールケーキ、あんずアイスにあんずソフトもオススメです。昔は、収穫されずに落ちた杏が道にごろごろして、集落の中は杏の甘酸っぱい匂いが充満していたものでした。杏仁も獲りました。6月中旬過ぎから7月上旬にかけて、杏狩り体験もあるので、興味のある方は申し込まれるといいでしょう。

 楊貴妃は若さと美貌を保つために、全身に杏仁油を塗っていましたが、杏仁にはシアン化合物が含まれているんです。現在はそれを取り除く技術があるそうですが、楊貴妃の頃はどうしていたのでしょう。シアン化合物は青酸に変化しますから身体に毒です。保湿抗菌清浄作用があるそうなので果実を食べるだけでなく杏仁油も利用したのでしょうが、楊貴妃からはいつも杏仁の香りがしたのでしょうね。楊貴妃の体臭は杏仁豆腐の香りだったのでしょうか…。
 森の杏の見頃は、もって今週いっぱいぐらいでしょうか。週末には、妻女山や松代城跡の桜も満開になるでしょう。


興正寺山門の「子持龍」は、天才・立川和四郎富昌の作。一見の価値があります。一足先に咲いた山門脇のしだれ桜も見事でした。
天才・立川和四郎富昌についての記事

 前日、土曜日のことですが、杏をバックになんとスバル・スキーチームのオフィシャルカーが! これは息子達が喜ぶだろうと尋ねると、好きでわざわざ買って乗られているとか。色々お話させていただきました。 息子達のペパクラのサイト[T&T STUDIO]をご案内しました。こういう派手なオフィシャルカーは、満開の花景色によく似合います。


●森の杏の花の写真
2009年の杏の花
2010年の杏の花-1
2010年の杏の花-2
2011年の杏の花
2011年の杏の花スライドショー
●09/04/09 2009年・森の春のあんず祭(古墳遠望)フォトルポ

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★GWに山登りに行かれる方は、「測ってガイガー!」や「奥多摩、中央アルプス、北アルプスの放射線量」などを参考にしてください。山によっては、かなり汚染されているところもあります。「測ってガイガー!」を見ると、山の計測箇所が少ない。ガイガーカウンタ持っているハイカーは、ぜひ計測を。これから花粉の季節。風で再浮遊での内部被曝は、10倍といいます。充分注意を!

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