3月中旬まで最低気温が-5度、最高気温が3度と冷え込んでいたのに、春一番が吹いたら、一気に気温が急上昇。春雨も降ってダンコウバイが突然開花しました。ほとんど落葉して葉がない季節の鮮やかな黄色は、雨上がりの陽射しを浴びると森の宝石のようです。ダンコウバイは、檀香梅と書きますが、花の香りは梅に近いかと言われると返答に困りますが、ほのかに甘いいい香りです。 学名は、Lindera obtusiloba Blumeといい、クスノキ科クロモジ属の落葉小木の一種。別名を鬱金花(うこんばな)といいますが、これは黄色い花を鬱金に例えたもの。檀香はビャクダンの漢名で、同じように材に香りがあるためです。枝を折ると好ましい芳香がありクロモジ同様、楊枝の材料となります。秋になる赤い実の種子からは、油を採り、灯火や髪油に用いられていたそうです。
本来、ダンコウバイは、ロウバイの一種の呼び名でしたが、明治以降本種に用いられるようになったそうです。同じ時期に咲く、アブラチャンと似ていて遠くからは全く見分けがつきませんが、ダンコウバイの花の方がボリュームがあって華やかなのと、近くで見ると花序の下に柄がないので区別がつきます。アブラチャンは柄があります。妻女山山系では、もう少し標高が高い所へ行かないとアブラチャンは見られません。
ダンコウバイは、蘖(ひこばえ、孫生え)が旺盛に出るので、里山の整備の時には、少々厄介な樹木でもあります。放置されて株から何本も大きくなった蘖は、絡み合い広がり、森を暗くします。除伐の際には、最も多く伐採される樹木のひとつです。妻女山山系では、西面だとヤマコウバシ。北面ではヤマザクラやガマズミ辺りが除伐の対象になります。日当りのいい尾根筋では、ヤマグワやヌルデ、サンショウ、キブシ、ノイバラ、ヤマフジなど。昔は、この蘖を利用してクヌギやコナラを増やし、薪にしたのです。そのようにして面妖な姿になった人面木を「山親爺」と呼んでいました。
陣場平では、昔薬草畑だった名残で編笠百合(貝母)の群生地があるのですが、ようやく芽吹きました。花の見頃は、ゴールデン・ウィーク辺りですが、今年は少し早いかもしれません。戦国時代の川中島合戦で、上杉謙信が七棟の陣城を建てたという陣場平ですが、今は兵どもが夢の後、清楚な編笠百合が人知れず咲き乱れる静かな森のギャップです。妻女山展望台から松代方面を見ると、低山にはほとんど残雪は見られなくなりました。根子岳と四阿山の樹木も、雪が溶けた様子が見えます。信州の春は一気にやってきて、梅、杏、桜、桃、林檎と慌ただしく咲いて駆け足で初夏になります。その様は、まるでカレイドスコープで見る幻の桃源郷の様です。★トレッキング・フォト・ルポ「妻女山から編笠百合の咲く陣場平経由で鞍骨城跡へ、花のトレッキング」
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