ウバユリは、ユリ科ウバユリ属の多年草で「姥百合」と書きますが、なんとも哀れな名前です。花はやや黄みがかった美しい白百合という感じなのですが、花期に葉が虫食いになってボロボロになってしまい、葉(歯)がないことから姥の百合「姥百合」と命名されてしまいました。
林道脇の森の縁に生えていることが多く、花期には葉がないといいますが、実際は結実しても葉はあります。ただ虫食いでボロボロにはなります。ぎっしり詰まった種の割には群生はあまり見ないので、この種は、数が多い割には発芽成長の確率はあまり高くないのかもしれませんね。花が咲くのはこぼれた種子が発芽してから6~8年目です。結構時間が掛かります。開花すると枯れますが、翌年は鱗茎から芽が出て開花します。高さは1.2mから1.8mと非常に大きくなります。
花の写真はまだ未撮影なのですが、有る場所は分かっているので今年はなんとか、その美しい百合の花を撮りたいと思います。ウバユリにしてみれば、「悲しくてやりきれない」ような名前です。しかし、どんな美しい花も「あの素晴しい愛をもう一度」のように、故郷のあの人の足元に咲く白百合の花は、ボロボロになってしまい、葉(歯)がない姥百合になってしまうのも世の常。
そのウバユリの種が掲載の写真です。種はプレパラートのような薄い膜状で、重なってぎっしりと詰まっています。それが乾燥すると実が割れて弾けて飛び出すのです。殻にレースのようなひも状の模様があるのは、なぜでしょう。「さよならをするために」このような風に舞いやすい薄い膜(比翼)つきの種をしているのに、それを飛ばないようにしているかのような……。不思議だなあと思い考えてみました。つまり、一気に全部が飛ばないようにでしょうか。風の強さや方向も違った方が、色々なところへ広く種を飛ばせますから。それ以外には思いつきませんでした。
ウバユリは、若芽、鱗茎ともに食べられる山菜です。野草なので相当あくが強いようですが、丁寧にあく抜きすれば大丈夫でしょう。群生地のようなものをまだ発見していないので食したことはないのですが、いつか食べてみたいと思います。
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