モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

茶臼山の棚田は昆虫天国(妻女山里山通信)

2009-07-25 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 梅雨が明けたというのに不安定な天気が続きます。そんな晴れ間に茶臼山の棚田を覗いてみました。上杉謙信の妻女山と武田信玄の茶臼山は、奇しくも自然豊かな里山として、私のお気に入りのフィールドです。薄暗い針葉樹林を抜けると陽光眩しい棚田の縁に出ます。遠く棚田の向こうには白馬三山と神話の山虫倉山が見えます。
 
 青々とした稲が微風にそよぎ、蝉の鳴き声が谷に響きます。オニヤンマが空高く飛び、あぜ道を歩くと小さなカエル*が草むらから何匹も飛び出します。逃げ足が速くて撮影させてくれません。この谷からは現代的な構造物がいっさい見えず、モノクロ写真で撮影すると昭和30年代の風景といっても通るでしょう。絵日記つけてた夏休みの記憶が蘇るような心の原風景です。

 まず私の横をつがいで飛び去ったのはキイトトンボでした。これはそのままどこかへ飛び去り撮影できませんでした。ついで目に入ったのが細く青いトンボ。ターキッシュブルーが美しいアオイトトンボです。これがなかなか撮らせてくれません。レンズを向けるとすぐに飛び立ってしまいます。無理もないことです。レンズを10~3センチまで近づけなければならないわけですから。反っ歯胃の連続、辛抱の撮影が続きました。

 太陽は真夏のもので直射されるとジリジリと暑いのですが、うまい具合に雲が次々に通り過ぎては適度に太陽を遮ってくれます。やっと撮影させてくれたのはいいのですが、ピントがこちら側の眼にいきませんでした。残念。でもその美しいボディはちゃんと撮れていたので一安心。

 次に見つけたのはノアザミに吸蜜に訪れたマメヒラタアブ。8ミリあるかないかの小さなアブです。これも逃げはしませんがせわしなく動いてアングルが決まりません。それでもなんとか撮影。その間にも周りを飛び回るチョウたち。ヤマトシジミやコヒョウモンなどです。ヤマトシジミは、【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】の「ゼフィルスの饗宴」の3ページ目をご覧ください。

 別のノアザミでオオシロカネグモを撮影した後、棚田の縁にフキバッタを発見しました。フキバッタは、はねが退化したものがほとんどで、そのため地域等により様々に分化しているのが特徴。そのため生息地からある程度の種を絞ることができるというのですが、今回のものは緑色で頭部後に三角の黒い文様があるものと、茶色の個体と特徴があり分かりやすいのですが、なかなかいい資料がなく同定に手間取っています。

 緑の個体は、レンズを近づけすぎてピョンと棚田の水面にジャンプ。そのままバッタ泳ぎで進むと稲につかまりよじ登っていきました。茶色の方は、珍しい種でしょうか。色から最初バッタかと思いましたが、よく見るとはねが小さい。フキバッタの一種なのでしょう。同じ棚田で二種類のフキバッタが見られるとは幸運でした。同定はこれから慎重にしたいと思います。フキバッタといいますが、フキばかり食べているわけではなく、フジバカマやクズの葉も食べるようです。

 最後は、その田んぼにいた前回も紹介したマツモムシです。前回よりいいカットが撮れたので載せました。背泳ぎで青空を見ながら(実際は上から落ちてくる小さな昆虫を狙っているのですが…)なんだかゆったりと泳ぐ姿が好きなんです。見ていて飽きません。空も飛ぶのですが、さすがに空は逆さではなく反転してから飛び立ちます。

*蛙はすべて毒を持っています。アマガエルや小さな蛙でも手にのせた後は、必ず手を洗うこと。そのまま目をこすると腫れます。ヒキガエル等は決して素手で掴まないこと。アマゾン水系にはピパピパという和名コモリアオガエルがいます。スポンジ状になったメスの背中にオスが卵を埋め込み、子供は小さな蛙になってメスの背中の幕を破って生まれてきます。その思わず背中がむずがゆくなる衝撃的な映像は、ぜひYoutubeで

★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、特殊な技法で作るパノラマ写真など。キノコ、夏の花、昆虫、樹木、蝶などを更新しました。トレッキング・フォトルポにない写真も掲載してあります。

★妻女山には、夏休みの観光客と昆虫採集の子供達が来ています。スズメバチに注意してください。黒髪、黒い服は危険です。威嚇されたら姿勢を低くしてその場を立ち去ること。絶対に手などで振り払ってはいけません。妻女山の真実について、詳しくは、本当の妻女山について研究した私の特集ページ「妻女山の位置と名称について」をご覧ください。
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